Clinical Trial

PROFILE 1001

肺癌

Crizotinib in ROS1-Rearranged Non-Small-Cell Lung Cancer

Alice T Shaw, Sai-Hong I Ou, Yung-Jue Bang, et al. N Engl J Med. 2014;371(21):1963-71.

第1相-PublishedUpdated Jun 2026
PubMed

主要結果サマリ

奏効割合(ORR)72%
PFS中央値19.2ヶ月
12ヶ月生存率85%
OS中央値未到達
奏効期間中央値17.6ヶ月

背景

ROS1融合遺伝子は、非小細胞肺癌の約1-2%にみられる癌原遺伝子である。本邦では2012年に承認された第1世代ALK阻害薬であるクリゾチニブは、ALK融合遺伝子のほか、c-Met/肝細胞増殖因子受容体(HGFR)、ROS1およびRecepteur d’Origine Nantais(RON)に対するチロシンキナーゼ阻害薬であり、ROS1融合遺伝子陽性肺癌に対する標的特異的な治療となりうる。PROFILE1001試験は、進行期ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌の患者を対象としたクリゾチニブの有効性および安全性を検証した非盲検、多施設、単群、国際共同、第1相試験である。推奨用量(250mg/回、1日2回)での拡大コホートとして、50人を登録した結果が報告された。

シェーマ

PROFILE 1001 試験シェーマ
ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌
クリゾチニブ(n=50)
250mg/回 1日2回内服
主な適格基準
18歳以上
ECOG PS 0–2
多臓器機能が保たれている
RECISTでの測定可能病変を有する

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

クリゾチニブに対する奏効割合が10%以下とする帰無仮説と、10%以上とする対立仮説で、片側α=0.05、検出力を85%で検定するためには30例の登録を必要とした。対立仮説での奏効割合は30%と仮定した。2012年4月の段階で評価可能な14例中8例で奏効を確認していたため、帰無仮説を棄却したため、より正確な評価をおこなうためサンプルサイズを最大50例に拡大した。

試験結果

2010年10月から2013年8月までに50人の患者が登録された。 78%の患者に喫煙歴がなく、98%の患者の組織型は腺癌だった。86%の患者は既治療例だった。 FISH法によりROS1融合遺伝子を同定されたのが49例(98%[※そのうち1例は次世代シーケンサーでROS1融合遺伝子は陰性であり、1例はFISH法でALK、ROS1いずれの融合遺伝子も陽性であったが、次世代シーケンサーではALK融合遺伝子のみ陽性であった])、RT-PCRでROS-1融合遺伝子を同定されたのが1例(2%)であった。 データカットオフは、安全性に関しては2014年4月11日、薬物動態に関しては2014年5月16日だった。

1. 治療効果

クリゾチニブの客観的奏効割合(ORR)は72%だった。

治療効果人数(%)
完全奏効(CR)3(6%)
部分奏効(PR)33(66%)
安定(SD)9(18%)
進行(PD)3(6%)
早期死亡2(4%)
奏効割合(ORR)72%(95% CI 58–84)
初回奏効までの時間中央値 7.9週(range 4.3–32.0週)
奏効期間中央値 17.6ヶ月(95% CI 14.5–NR)

2. 無増悪生存期間

無増悪生存期間中央値は19.2ヶ月(95% CI 14.4-NR)だった。

評価項目結果
無増悪生存期間中央値19.2ヶ月(95% CI 14.4–NR)

3. 全生存期間

12ヶ月生存率は85%(95% CI 72-93)であり、全生存期間中央値は未到達だった。

評価項目結果
12ヶ月生存率85%(95% CI 72–93)
全生存期間中央値未到達

4. 有害事象

グレード3の治療関連有害事象では、低リン酸血症および好中球減少症(ともに5.0%)が最多であった。グレード4の治療関連有害事象、治療関連死亡は報告されていない。

有害事象人数(%)
Grade 1Grade 2Grade 3All Grades
視力障害41(82)0041(82)
下痢21(42)1(2)022(44)
悪心18(36)2(4)020(40)
末梢性浮腫15(30)5(10)020(40)
便秘16(32)1(2)017(34)
嘔吐15(30)1(2)1(2)17(34)
AST上昇9(18)1(2)1(2)11(22)
疲労9(18)1(2)010(20)
味覚障害9(18)009(18)
浮動性めまい8(16)008(16)
ALT上昇3(6)2(4)2(4)7(14)
低リン酸血症02(4)5(10)7(14)
テストステロン減少2(9)1(5)03(14)
好中球減少1(2)05(10)6(12)
消化不良5(10)005(10)
洞性徐脈5(10)005(10)

5. ROS1融合パートナーの同定

腫瘍標本からROS1融合パートナーを標的化次世代シーケンサーまたはRT-PCRアッセイを用いて同定した。ROS1融合パートナーとしては25検体中11検体(14%)にCD74をコードする遺伝子がみられ、他に、SDC4(4例)、EZR(4例)、SLC34A2(3例)、TPM3(1例)、LIMA1、MSNを同定した。クリゾチニブの臨床効果とROS1融合パートナーとの間に相関はみられなかった。

結語

ROS1融合遺伝子陽性非小細胞肺癌に対するクリゾチニブは著明な抗腫瘍効果をみとめた。ROS1融合遺伝子はクリゾチニブが高い活性を示す第2の分子サブグループであることが示唆された。 ※その後アップデートされた結果(N=53、2018年6月30日データカットオフ)が報告され、フォローアップ期間中央値62.6ヵ月[95%信頼区間:58.2-66.6ヵ月]における生存期間中央値51.4ヵ月[95%信頼区間:29.3ヵ月-未達]という良好な結果が示された(Shaw, A.T. et al.:Ann Oncol 30(7):1121, 2019)

執筆・監修

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員 日野 葵 先生 監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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