Clinical Trial

WJOG5208L

肺癌

Nedaplatin plus docetaxel versus cisplatin plus docetaxel for advanced or relapsed squamous cell carcinoma of the lung (WJOG5208L): a randomised, open-label, phase 3 trial

T Shukuya, T Yamanaka, T Seto.et al. Lancet Oncol. 2015; 16(16): 1630-38. [PubMed]

第3相一次治療PublishedUpdated May 2026

主要結果サマリ

OS中央値13.6ヶ月 vs 11.4ヶ月
OS HR0.81
OS p値p=0.037
PFS中央値4.9ヶ月 vs 4.5ヶ月
PFS HR0.83
PFS p値p=0.050
奏効割合56% vs 53%
登録例数355例

基本情報

対象疾患治療ライン研究の相主要評価項目実施地域日本の参加
肺扁平上皮癌一次治療第3相全生存期間日本あり

試験名 :WJOG5208L

レジメン:CDGP+DOC vs CDDP+DOC

登録期間:2009年7月6日〜2012年7月26日

背景

シスプラチン(CDDP)+ドセタキセル(DOC)は、過去の第3相試験の結果から、肺扁平上皮癌に対する一次治療における、標準治療の一つと位置付けられている。 ネダプラチン(CDGP)はCDDPによる消化器毒性や腎毒性を軽減するために開発された第二世代プラチナ誘導体である。進行・再発肺扁平上皮癌に対するCDGPとDOCの併用療法は、先行研究の第1-2相試験では、奏効割合62%、無増悪生存期間中央値は7.4ヶ月(95% CI 3.5-11.4ヶ月)、生存期間中央値16.1ヶ月と良好な成績を示している。WJOG5208L試験は、未治療進行・再発肺扁平上皮癌に対するCDGP+DOC併用療法の有効性・安全性をCDDP+DOCと比較するために行われた無作為化第3相試験である。

シェーマ

WJOG5208L 試験シェーマ

未治療進行・再発肺扁平上皮癌に対する無作為化第3相試験

対象患者

進行・再発 肺扁平上皮癌

n=355

非盲検
R
1:1

CDGP+DOC群

ネダプラチン+ドセタキセル

CDGP 100 mg/m² + DOC 60 mg/m²

n=178

CDDP+DOC群

シスプラチン+ドセタキセル

CDDP 80 mg/m² + DOC 60 mg/m²

n=177

主な適格基準

1Stage IIIB/IVもしくは術後再発
220〜74歳
3ECOG PS 0〜1
4未治療、または術後補助化学療法から1年以上経過
5臓器機能が保たれている
6無治療で無症候性の脳転移は許容
7原発巣に対する放射線治療は除外

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

当初の設定では、生存期間中央値をCDGP併用療法で14ヶ月、CDDP併用療法で10ヶ月、ハザード比(HR)0.78と仮定し、片側α=0.05、検出力80%を得るために必要なサンプルサイズは250例、必要なイベント数は218であった。2011年1月に、データはマスキングした状態で、HRは変更せず、検出力を90%に上昇させることを決定、サンプルサイズが350例、必要イベント数が303に変更された。 2回の中間解析を予定し、1回目はサンプルサイズの半分が無作為に割り付けられた時点(2011年7月1日)、2回目は患者登録が完了した時点(2013年12月12日)で、O’Brien and Fleming型のα消費関数を用いて多重性の調整を行った上で、主要評価項目について解析をおこなった。

試験結果:

2009年7月6日から2012年7月26日までに355人の患者が日本の53施設から登録され、CDGP+DOC群に178例、CDDP+DOC群に177例が割り付けられた。

CDGP群のうち1例、CDDP群のうち5例が登録後不適格であったため有効性評価から除外された。また、CDGP群のうち1例、CDDP群のうち2例が試験治療前に脱落したため安全性解析から除外された。

両群間で患者背景の偏りはみられず、治療回数や投与量強度に明らかな差はなかった。

1. 全生存期間

CDGP+DOC併用療法で全生存期間は有意に延長をみとめた。

中央値95%信頼区間
HR 0.81
(95% CI 0.65-1.02)
p=0.037
CDGP+DOC13.6ヶ月11.6-15.6
CDDP+DOC11.4ヶ月10.2-12.2

2. 無増悪生存期間

CDGP+DOC併用療法で無増悪生存期間の延長をみとめなかった。

中央値95%信頼区間
HR 0.83
(95% CI 0.67-1.04)
p=0.050
CDGP+DOC4.9ヶ月4.5-5.6
CDDP+DOC4.5ヶ月4.2-4.8

3. 奏効割合

奏効割合は両群間で差をみとめなかった。

CDGP+DOC (n=172)CDDP+DOC (n=168)
完全奏効(CR)3(2%)1(1%)
部分奏効(PR)93(54%)88(52%)
安定 (SD)50(29%)47(30%)
奏効割合56%53%p=0.66
病勢制御割合85%81%p=0.39

4. 有害事象

Grade3以上の嘔気・疲労・低ナトリウム血症・低カリウム血症はCDGP群で少なく、Grade3以上の白血球減少・好中球減少・血小板数減少はCDGP群で多くみられた。

10%以上の頻度の有害事象

有害事象CDGP+DOC(N=177) N(%)CDDP+DOC(N=175) N(%)
Grade 1-2Grade 3Grade 4Grade 5Grade 1-2Grade 3Grade 4Grade 5
白血球減少70(40)84(48)14(8)086(49)64(37)13(7)0
好中球減少24(14)48(27)98(55)041(23)58(33)65(37)0
貧血111(63)18(10)2(1)0123(70)26(15)1(1)0
血小板減少59(33)15(9)1(1)026(15)000
発熱性好中球減少症022(12)1(1)1(1)026(15)1(1)0
感染19(11)29(16)02(1)20(11)26(15)1(1)1(1)
嘔気119(67)7(4)00113(65)25(14)00
嘔吐45(25)5(3)0055(31)6(3)00
食欲不振120(68)23(13)00111(63)46(26)00
便秘80(45)2(1)0099(57)000
下痢67(38)7(4)0085(49)9(5)00
疲労117(66)6(3)00117(67)19(11)1(1)0
発熱63(36)001(1)58(33)1(1)00
皮疹33(19)00026(15)1(1)00
粘膜炎43(24)1(1)0028(16)2(1)00
脱毛症118(67)000116(66)000
感覚神経障害38(22)2(1)0031(18)1(1)00
腫瘍疼痛18(10)2(1)0016(9)1(1)00
疼痛36(20)00033(19)1(1)00
吃逆7(4)00033(19)1(1)00
低アルブミン血症106(60)8(5)00119(68)3(2)00
ALP増加49(28)00041(23)000
AST増加70(40)2(1)0044(25)2(1)00
ALT増加71(40)3(2)0059(34)3(2)00
血中ビリルビン増加30(17)2(1)0018(10)000
クレアチニン増加17(10)1(1)0082(47)3(2)00
低ナトリウム血症85(48)23(13)1(1)090(51)47(27)5(3)1(1)
高カリウム血症55(31)4(2)1(1)057(33)1(1)00
低カリウム血症18(10)4(2)0038(22)12(7)3(2)0
低カルシウム血症100(57)2(1)00105(60)4(2)2(1)0

その他の特徴的な有害事象

有害事象CDGP+DOC(N=177) N(%)CDDP+DOC(N=175) N(%)
Grade 1-2Grade 3Grade 4Grade 5Grade 1-2Grade 3Grade 4Grade 5
肺臓炎4(2)1(1)01(1)5(3)4(2)00
アレルギー反応12(7)1(1)3(2)05(3)2(1)00
運動性神経障害5(3)01(1)04(2)2(1)00
高ナトリウム血症5(3)0003(2)000
高カルシウム血症3(2)1(1)1(1)03(2)000

結語

CDGP+DOC併用療法はCDDP+DOC併用療法と比較して全生存期間を有意に延長した。安全性プロファイルは異なり、進行・再発肺扁平上皮癌に対する新しい治療選択肢となりえる。

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員 日野 葵 先生

監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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