Clinical Trial

G-SOX

胃癌

Phase III study comparing oxaliplatin plus S-1 with cisplatin plus S-1 in chemotherapy-naïve patients with advanced gastric cancer.

Yamada Y, Higuchi K, Nishikawa K, et al. Ann Oncol. 2015 Jan;26(1):141-8.

第3相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値(SOX/CS)5.5 / 5.4カ月
PFS HR(SOX/CS)1.004
OS中央値(SOX/CS)14.1 / 13.1カ月
OS HR(SOX/CS)0.958
ORR(SOX/CS)55.7% / 52.2%
登録例数685例

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌
治療ライン一次治療
研究の相第3相
主要評価項目無増悪生存期間/全生存期間
実施地域国内
日本の参加あり
試験名G-SOX
レジメンS-1+オキサリプラチン vs S-1+シスプラチン
登録期間2010年1月〜2011年10月

背景

本試験の立案当時、進行胃癌に対する一次化学療法として、シスプラチン+フッ化ピリミジン系薬剤±エピルビシン or ドセタキセルが広く使用されていた。AIO(ドイツ)では5-FU+ロイコボリン+シスプラチンに対する5-FU+ロイコボリン+オキサリプラチンの同等性を報告し、REAL-2試験ではエピルビシン+フッ化ピリミジン系薬剤+シスプラチンに対するエピルビシン+フッ化ピリミジン系薬剤+オキサリプラチンの同等性が示された。 本邦ではその当時、JCOG9912試験/SPIRITS試験の結果に基づき、標準的一次化学療法はS-1+シスプラチン療法であった。米国で行われたFLAGS試験ではS-1+シスプラチン療法が5-FU+シスプラチンに匹敵する可能性を示唆した。その後、本邦でS-1+オキサリプラチン療法の有効性を検証する第2相試験が実施され、無増悪生存期間中央値6.5カ月、生存期間中央値16.5カ月と有望な治療成績であったことから、切除不能進行・再発胃癌において、標準治療であるS-1+シスプラチン療法に対するS-1+オキサリプラチン療法の有効性と安全性を検証する本試験(非劣性試験)が実施されるに至った。

シェーマ

G-SOX シェーマ
切除不能進行・再発胃癌
(n=685)
非盲検
R
1:1
非劣性試験
S-1+オキサリプラチン(SOX)(n=343)
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1-14
オキサリプラチン 100mg/m² Day 1
3週毎
S-1+シスプラチン(CS)(n=342)
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1-21
シスプラチン 60mg/m² Day 8
5週毎
主な適格基準
1)組織学的に診断されている切除不能進行・再発胃癌
2)年齢:20歳以上
3)ECOG PS 0-2
4)測定可能病変を有する
5)経口摂取可能

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間/全生存期間 症例数の計算は無増悪生存期間を元に算出された。非劣性検証はPer protocol集団(PP集団:適格性を満たし、実際に投与された症例)で行われた。無増悪生存期間の非劣性マージンは過去に報告されたSPIRITS試験とS-1+オキサリプラチンの第2相試験結果を基に1.30(SOX/CS)と設定され、片側α=0.025、検出力80%で計画され、必要イベント数は456、必要症例数は600例と計算された。しかし、計画された期間内に必要イベントを集積するのは困難と判断されたため、必要症例数は680例に修正された。 全生存期間に関してはS-1+オキサリプラチン群とS-1+シスプラチン群の生存期間中央値をそれぞれ14.5カ月/13.0カ月と推定し、片側α=0.025、検出力80%で計画され、非劣性マージン1.15(SOX/CS)と設定された(必要イベント数508)。

試験結果

2010年1月から2011年10月までの間に日本全国51施設より685例が登録された(S-1+オキサリプラチン群343例、S-1+シスプラチン群342例)。 上記症例から試験治療が行われなかった症例(未投与例/治験薬ではなく保険診療薬を使用した症例)を除いたS-1+オキサリプラチン群338例、S-1+シスプラチン群335例が安全性解析集団となった。 さらに不適格症例を除いたS-1+オキサリプラチン群318例、S-1+シスプラチン群324例をPer protocol集団(PP集団:適格性を満たし、実際に投与された症例)として有効性の解析対象となった。 患者背景は、概ねバランスがとれていた。

1. 無増悪生存期間(主要評価項目)

無増悪生存期間の観察期間中央値は6.9カ月 (四分位範囲:2.9–9.6)であった。

PP集団症例数イベント数中央値95%信頼区間
S-1+オキサリプラチン3182605.5カ月4.4-5.7HR 1.004(SOX/CS)
(95%信頼区間:0.840–1.199)
p=0.0044(非劣性)
S-1+シスプラチン3242495.4カ月4.2-5.7

2. 全生存期間(主要評価項目)

全生存期間の観察期間中央値は25.9カ月 (四分位範囲:21.0–29.2)であった。 S-1+オキサリプラチン群の1例(ECOG PS 2で術後補助化学療法歴のある症例)が解析に含まれておらず、この症例を含めた解析だとHR 0.958(SOX/CS、95%信頼区間:0.803–1.142)であった。 ITT解析集団(S-1+オキサリプラチン群339例、S-1+シスプラチン群337例)での解析では、無増悪生存期間:HR 0.979(SOX/CS、95%信頼区間:0.821–1.167)、全生存期間:HR 0.934(SOX/CS、95%信頼区間:0.786–1.108)であった。

PP集団症例数イベント数中央値95%信頼区間
S-1+オキサリプラチン31824914.1カ月13.0-15.8HR 0.958(SOX/CS)
(95%信頼区間:0.803–1.142)
S-1+シスプラチン32425913.1カ月12.1-15.1

3. 全生存期間に関するサブ解析

S-1+オキサリプラチン群において腹膜播種を有する症例の予後が有意に良好であった(HR 0.646(SOX/CS、95%信頼区間:0.433–0.964))。 多変量解析では、ECOG PS 1-2、初回切除不能、びまん型(Diffuse type)、腫瘍径の総和(中央値以上)が予後不良因子であった。

因子分類HR95%信頼区間
レジメンS-1+オキサリプラチン(vs S-1+シスプラチン)0.9550.802–1.1380.61
性別男性(vs 女性)1.1080.904–1.3570.32
年齢(歳)70歳以上(vs 70歳未満)0.9240.762–1.1190.42
ECOG PS1,2(vs 0)1.6031.328–1.935<0.0001
病態再発(vs 初回切除不能)0.5880.451–0.7670.0001
組織型びまん型[Diffuse](vs 腸型[Intestinal])1.3781.151–1.6490.0005
腹膜播種あり(vs なし)1.0990.878–1.3770.41
腫瘍径の総和中央値以上(vs 中央値未満)1.4371.195–1.7280.0001
ALP中央値以上(vs 中央値未満)1.0970.916–1.3150.31

4. 奏効割合/病勢制御割合

無作為化から30%の腫瘍縮小が得られるまでの期間中央値(95%信頼区間)は、S-1+オキサリプラチン群1.5カ月(1.4–2.5)、S-1+シスプラチン群1.5カ月(1.4–1.6)であった。

S-1+オキサリプラチンS-1+シスプラチン
CR24
PR175165
SD9496
奏効割合55.7%52.2%
病勢制御割合85.2%81.8%

5. 投与状況

投与サイクル中央値(範囲)は、S-1+オキサリプラチン群7.0サイクル (範囲:1–43)、S-1+シスプラチン群5.0サイクル (範囲:1–19)であった。

相対用量強度
オキサリプラチンシスプラチンS-1
S-1+オキサリプラチン79.0%(62.3-95.1)ー78.9%(65.9-91.3)
S-1+シスプラチンー80.7%(64.2-94.6)79.8%(68.1-90.0)

6. 有害事象(CTCAE ver.3.0)

Grade 3以上の白血球減少、好中球数減少、貧血、発熱性好中球減少症、低ナトリウム血症はS-1+シスプラチン群で有意に高かった。一方、Grade 3以上の末梢性感覚ニューロパチーはS-1+オキサリプラチン群で有意に高かった。 血小板数減少は両群間で明らかな差異は認めなかった。

主な有害事象
有害事象S-1+オキサリプラチン(n=338)S-1+シスプラチン(n=335)
全GradeGrade 3以上全GradeGrade 3以上全GradeGrade 3以上
白血球減少205(60.7%)14(4.1%)248(74.0%)65(19.4%)0.0002<0.0001
好中球数減少233(68.9%)66(19.5%)266(79.4%)140(41.8%)0.0019<0.0001
貧血187(55.3%)51(15.1%)247(73.7%)109(32.5%)<0.0001<0.0001
血小板数減少265(78.4%)34(10.1%)232(69.3%)35(10.4%)0.00690.87
発熱性好中球減少症3(0.9%)3(0.9%)23(6.9%)23(6.9%)<0.0001<0.0001
血中ビリルビン増加131(38.8%)9(2.7%)80(23.9%)4(1.2%)<0.00010.17
AST増加205(60.7%)10(3.0%)77(23.0%)4(1.2%)<0.00010.11
ALT増加136(40.2%)10(3.0%)80(23.9%)3(0.9%)<0.00010.052
クレアチニン増加30(8.9%)1(0.3%)132(39.2%)6(1.8%)<0.00010.056
低ナトリウム血症74(21.9%)15(4.4%)154(46.0%)45(13.4%)<0.0001<0.0001
下痢163(48.2%)19(5.6%)196(58.5%)25(7.5%)0.00750.33
悪心208(61.5%)13(3.8%)231(69.0%)13(3.9%)0.0430.98
口腔粘膜炎109(32.2%)5(1.5%)138(41.2%)4(1.2%)0.0160.75
食欲不振252(74.6%)52(15.4%)271(80.9%)62(18.5%)0.0480.28
末梢性感覚ニューロパチー289(85.5%)16(4.7%)79(23.6%)0(0%)<0.0001<0.0001
重篤な有害事象99(29.3%)ー127(37.9%)ー0.017ー
治療関連死亡4例ー8例ーーー

7. Grade 3以上の発熱性好中球減少症に関する解析

S-1+オキサリプラチンS-1+シスプラチン
Ccr 70mL/min未満3/113(2.7%)12/111(10.8%)
Ccr 70mL/min以上0/225(0%)11/224(4.9%)
70歳未満1/224(0.4%)12/234(5.1%)
70歳以上2/114(1.8%)11/101(10.9%)

8. 二次化学療法

S-1+オキサリプラチンS-1+シスプラチン
二次化学療法導入261/308(84.7%)269/319(84.3%)
タキサン系併用131/261(50.2%)102/269(37.9%)
イリノテカン併用87/261(33.3%)84/269(31.2%)
S-1併用20/261(7.7%)46/269(17.1%)

結語

進行胃癌に対するS-1+オキサリプラチン療法は、S-1+シスプラチン療法と同程度の有効性を示した。一般的にS-1+オキサリプラチン療法は有害事象の頻度が少なく、シスプラチンと異なりHydrationも不要で臨床的に有用であるため、S-1+オキサリプラチン療法はS-1+シスプラチン療法に置き換わり得ると考えられた。

執筆・監修

執筆:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科 医師 長谷川 裕子 先生 監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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