Clinical Trial

GEST

膵癌

Randomized Phase III Study of Gemcitabine Plus S-1, S-1 Alone, or Gemcitabine Alone in Patients With Locally Advanced and Metastatic Pancreatic Cancer in Japan and Taiwan: GEST Study.

Ueno H, Ioka T, Ikeda M, et al. J Clin Oncol. 2013 ;31(13):1640-8 [PubMed]

第3相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値GS 10.1 / GEM 8.8 / S-1 9.7ヶ月
GS vs GEM OS HR0.88
優越性 p値0.15
S-1 vs GEM OS HR0.96
非劣性 p値<0.001
PFS中央値GS 5.7 / GEM 4.1 / S-1 3.8ヶ月

基本情報

項目内容
対象疾患膵癌
治療ライン一次治療
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域日本・台湾
日本の参加あり
試験名GEST
レジメンGEM+S-1 vs GEM vs S-1
登録期間2007年7月〜2009年10月

背景

進行膵癌に対してはゲムシタビン(GEM)単剤療法が標準治療であり、様々な第2相試験において有望とされた治療があったが、本試験が行われていた当時、第3相試験においてGEM単剤に優越性を示した治療はGEM+erlotinibのみであり、かつ、その上乗せ効果はわずかなものであった。

第2相試験において、S-1単剤およびGEM+S-1療法(GS)の有効性が示唆されていた。本試験は、全生存期間において、GEM単剤に対する、S-1単剤の非劣性と、GSの優越性を検証するために行われた。

シェーマ

進行膵癌患者834例を対象に、非盲検下でGEM+S-1群、GEM群、S-1群へ1:1:1で無作為化された。

GEST 試験シェーマ

進行膵癌

n=834

非盲検
1:1:1

R

GEM+S-1(n=277)

ゲムシタビン 1000mg/m² Day 1, 8

S-1 60mg/m² Day 1-14

3週ごと

GEM(n=277)

ゲムシタビン 1000mg/m² Day 1, 8, 15

4週ごと

S-1(n=280)

S-1 80mg/m² Day 1-28

4投2休・6週ごと

主な適格基準

切除不能局所進行 or 遠隔転移
腺癌 or 腺扁平上皮癌
20歳から80歳未満
ECOG PS 0-1

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

本試験はGEM群を対照として、全生存期間において、S-1群の非劣性と、GS群の優越性を検証する3群試験として設計された。生存期間中央値は、GEM群が7.5ヶ月、S-1群が8.0ヶ月、GS群が10.5ヶ月と見積もられた。試験全体の片側α=0.025とし、非劣性・優越性ともにα=0.0125とした。

GSの優越性はlog-rank testで検定され、S-1の非劣性はCoxハザードモデルで両側97.5%の信頼区間で検定された。S-1の非劣性マージンは1.33に設定された。

当初の計画では検出力80%、登録期間3年、追跡期間2年として、600例との登録が必要と設定されていた。しかし、症例登録が予定よりも早く進んだため、検出力を90%として750例を目標登録症例数としてプロトコール変更が行われた。最終的に680イベントが発生した後に最終解析が行われた。

試験結果

2007年7月から2009年10月、日本、台湾の75施設で834例が登録された。

2例は登録後同意撤回があり、832例に対し、解析が行われた。

データカットオフは、2010年7月であり、観察期間中央値は、18.4ヶ月であった。

患者背景に大きな隔たりはなかったが、PS1はGS群にやや多く、CA19-9はGEM群で高値であった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

GEM群を対照として、GS群の優越性およびS-1群の非劣性が検証された。GS療法の優越性は示されず、S-1単剤のGEM単剤に対する非劣性が示された。

中央値95%信頼区間比較結果
GEM+S-1(n=277)10.1ヶ月9.0-11.2

GS vs GEM:優越性 HR 0.88(97.5%C.I. 0.71-1.08), p=0.15

S-1 vs GEM:非劣性 HR 0.96(97.5%C.I. 0.78-1.18), p<0.001

GEM(n=277)8.8ヶ月8.0-9.7
S-1(n=280)9.7ヶ月7.6-10.8

2. 無増悪生存期間

無増悪生存期間を以下に示す。

中央値95%信頼区間比較結果
GEM+S-1(n=277)5.7ヶ月5.4-6.7

GS vs GEM:優越性 HR 0.66(97.5%C.I. 0.54-0.81), p<0.001

S-1 vs GEM:非劣性 HR 1.09(97.5%C.I. 0.90-1.33), p=0.02

GEM(n=277)4.1ヶ月3.0-4.4
S-1(n=280)3.8ヶ月2.9-4.2

3. 奏効割合

奏効割合を以下に示す。

奏効割合95%信頼区間比較結果
GEM+S-1(n=277)29.3%23.7-35.5

GS vs GEM:p<0.001

S-1 vs GEM:p=0.02

GEM(n=277)13.3%9.3-18.2
S-1(n=280)21.0%16.1-26.6

4. 病勢制御割合

病勢制御割合を以下に示す。

病勢制御割合95%信頼区間比較結果
GEM+S-1(n=277)71.5%65.4-77.1

GS vs GEM:p=0.04

S-1 vs GEM:p=0.88

GEM(n=277)62.7%56.2-68.8
S-1(n=280)63.3%57.0-69.3

5. 有害事象(CTCAE ver.3.0)

有害事象はCTCAE ver.3.0により評価された。

GEM(n=273)S-1(n=272)GS(n=267)
Grade 3以上Grade 3以上Grade 3以上
好中球数減少51 (18.7%)10 (3.7%)101 (37.8%)
白血球減少112 (41.0%)24 (8.8%)166 (62.2%)
血小板数減少30 (11.0%)4 (1.5%)46 (17.2%)
貧血39 (14.3%)26 (9.6%)46 (17.2%)
疲労10 (3.7%)18 (6.6%)13 (4.9%)
皮疹2 (0.7%)2 (0.7%)11 (4.1%)
食欲不振20 (7.3%)31 (11.4%)25 (9.4%)
下痢3 (1.1%)15 (5.5%)12 (4.5%)
口内炎0 (0.0%)2 (0.7%)6 (2.2%)
嘔気5 (1.8%)5 (1.8%)12 (4.5%)
嘔吐2 (0.7%)4 (1.5%)12 (4.5%)
発熱性好中球減少1 (0.4%)1 (0.4%)5 (1.9%)
肺臓炎5 (1.8%)0 (0.0%)2 (0.7%)

結語

切除不能局所進行もしくは遠隔転移を有する膵癌に対して、全生存期間におけるS-1単剤のGEM単剤に対する非劣性が証明され、忍容性も良好で、経口投与という利便性も認められた。GS療法の優越性は認められなかった。

執筆・監修

執筆:北海道大学 特任助教 川本 泰之 先生

監修:神奈川県立がんセンター 消化器内科(肝胆膵) 部長 上野 誠 先生

Trial Pulse

この記事を読んだ先生にお聞きします

関連情報