Clinical Trial

IMpower130

肺癌

Atezolizumab in Combination With Carboplatin Plus Nab-Paclitaxel Chemotherapy Compared With Chemotherapy Alone as First-Line Treatment for Metastatic Non-Squamous Non-Small-Cell Lung Cancer (IMpower130): A Multicentre, Randomised, Open-Label, Phase 3 Trial

West H, McCleod M, Hussein M, et al. Lancet Oncol. 2019;20(7):924-937.

第3相一次治療PublishedUpdated May 2026
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値7.0ヶ月 vs 5.5ヶ月
PFS HR0.64
OS中央値18.6ヶ月 vs 13.9ヶ月
OS HR0.79
奏効割合49.2% vs 31.9%
登録例数723例

背景

アテゾリズマブは、PD-L1とPD-1およびB7-1との結合を阻害し抗腫瘍免疫を回復・活性化させるヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体である。第2相POPLAR試験および第3相OAK試験において、アテゾリズマブはドセタキセルと比較して前治療歴のある非小細胞肺がん患者の全生存期間を改善した。化学療法は、がん細胞を破壊し抗原を放出させる事で、がん抗原特異的T細胞の活性化を促し、がん免疫反応を増強する可能性があり、アテゾリズマブと化学療法を併用することの相乗効果が期待された。ナブパクリタキセルは、ナノ粒子アルブミン結合型のパクリタキセルであるが、免疫抑制効果のあるステロイドの前投薬を必要としないため、併用する化学療法として関心が向けられた。本試験は、非扁平上皮非小細胞肺がんの一次治療として、アテゾリズマブと化学療法を併用した場合の有効性と安全性を、化学療法単独と比較し評価した。

シェーマ

進行非扁平上皮非小細胞肺癌723例を対象に、非盲検下でCBDCA+nab-PTX+Atezolizumab群とCBDCA+nab-PTX群へ2:1で無作為化された。

IMpower130 試験シェーマ

進行非扁平上皮非小細胞肺癌

n=723

非盲検
2:1
R

CBDCA+nab-PTX+Atezolizumab群(n=483)

CBDCA AUC 6 Day 1
nab-PTX 100 mg/m² Day 1, 8, 15
Atezolizumab 1200 mg/body Day 1
3週毎、4–6サイクル
→ Atezolizumab維持療法

CBDCA+nab-PTX群(n=240)

CBDCA AUC 6 Day 1
nab-PTX 100 mg/m² Day 1, 8, 15
3週毎、4–6サイクル
→ 支持療法またはペメトレキセド維持療法

主な適格基準

ECOG PS 0–1

化学療法による前治療歴なし

EGFR/ALK変異陽性ではTKI治療に不耐または病勢進行後登録可

PD-L1測定可能

CNS転移がある場合は無症候性かつ局所治療済み

統計学的事項

本試験はEGFR/ALK遺伝子野生型集団において、化学療法群を対照として、アテゾリズマブ併用群の無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の優越性を検証する試験である。PFSは検出力95%、両側α=0.006でアテゾリズマブ併用群のハザード比が0.65となること、OSは検出力80%、両側α=0.044の設定でアテゾリズマブ併用群のハザード比が0.75となることを見込んだ。

試験結果

2015年4月16日から2017年2月13日の期間に131施設より724例が登録され、723例がITT集団に含まれた。アテゾリズマブ+化学療法群には483例、化学療法単独群には240例が割り付けられた。EGFR/ALK遺伝子野生型集団はアテゾリズマブ+化学療法群451例、化学療法単独群228例で構成された。有効性解析のデータカットオフは2018年3月15日であった。

1. 無増悪生存期間(主要評価項目)

データカットオフ時点で、アテゾリズマブ+化学療法群451例中347例、化学療法群228例中198例にPFSイベントが発生した。

全症例中央値95%信頼区間
アテゾリズマブ併用群7.0ヶ月6.2−7.3ヶ月HR 0.64 (95%CI 0.54−0.77) P<0.001
化学療法群5.5ヶ月4.4−5.9ヶ月

2. 全生存期間(主要評価項目)

データカットオフ時点で、アテゾリズマブ+化学療法群451例中226例、化学療法群228例中131例が死亡した。

全症例中央値95%信頼区間
アテゾリズマブ併用群18.6ヶ月16.0−21.2ヶ月HR 0.79 (95%CI 0.64−0.98) p=0.033
化学療法群13.9ヶ月12.0−18.7ヶ月

3. 奏効割合

奏効期間中央値は、アテゾリズマブ併用群が8.4ヶ月、化学療法群が6.1ヵ月であり、アテゾリズマブ併用群の方が長かった。

全症例奏効割合95%CI
アテゾリズマブ併用群49.2%44.5−54.0%オッズ比 2.07 (95%CI 1.48−2.89)
化学療法群31.9%25.8−38.4%

4. 有害事象

Grade 3−4の有害事象は、アテゾリズマブ併用群で81%、化学療法群で71%であった。治療関連の重篤な有害事象は、アテゾリズマブ併用群で24%、化学療法群で13%であった。

有害事象アテゾリズマブ併用群(N=473)化学療法群(N=232)
Grade
1–2
Grade
3
Grade
4
Grade
5
Grade
1–2
Grade
3
Grade
4
Grade
5
治療関連有害事象101(21%)237(50%)109(23%)8(2%)74(32%)109(23%)31(13%)1(<1%)
好中球減少症66(14%)92(19%)60(13%)039(17%)47(20%)18(8%)0
貧血110(23%)138(29%)0062(27%)46(20%)1(<1%)0
好中球数低下36(8%)37(8%)20(4%)014(6%)11(5%)8(3%)0
血小板減少症82(17%)30(6%)15(3%)043(19%)12(5%)3(1%)0
倦怠感156(33%)28(6%)1(<1%)077(33%)14(6%)00
白血球減少20(4%)25(5%)6(1%)010(4%)6(3%)1(<1%)0
下痢127(27%)22(5%)1(<1%)044(19%)11(5%)00
嘔気194(41%)13(3%)0092(40%)4(2%)00
嘔吐90(19%)9(2%)0030(13%)3(1%)00
無力症52(11%)9(2%)0028(12%)3(1%)00
食欲減退100(21%)7(1%)0042(18%)4(2%)00
低マグネシウム血症57(12%)4(1%)1(<1%)021(9%)3(1%)00
便秘72(15%)1(<1%)0033(14%)000
脱毛145(31%)00061(26%)000
味覚障害51(11%)00011(5%)000

Grade 3−4の有害事象は、アテゾリズマブ併用群で81%、化学療法群で71%であった。治療関連の重篤な有害事象は、アテゾリズマブ併用群で24%、化学療法群で13%であった。治療関連による死亡は、アテゾリズマブ併用群で473例中8例(2%)、化学療法群で232例中1例(1%未満)であった。

5. サブグループ解析(PFS・OS)

無増悪生存期間のサブグループ解析では、PD-L1の発現レベルにかかわらずアテゾリズマブと化学療法を併用したことによる有益性が確認された。一方、全生存期間のサブグループ解析では、無増悪生存期間での解析結果と異なり、全てのPD-L1の発現レベルにおいて、アテゾリズマブと化学療法を併用したことによる有益性は確認されなかった。化学療法群の59%が病勢進行後にアテゾリズマブを含む免疫チェックポイント阻害剤による治療を受けていることが一因である可能性がある。肝転移患者においては、無増悪生存期間と生存期間のいずれにおいてもアテゾリズマブ併用群での有益性は確認されなかった。

結語

ALKまたはEGFR変異のないステージIVの非扁平上皮非小細胞肺がん患者において、アテゾリズマブと化学療法(カルボプラチン+ナブパクリタキセル)を併用した場合、化学療法と比較して全生存期間と無増悪生存期間の有意な改善を示した。

執筆・監修

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 池田英樹 先生 監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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