Clinical Trial

JACCRO GC-07

胃癌術後

Addition of docetaxel to S-1 results in significantly superior 5-year survival outcomes in Stage III gastric cancer: a final report of the JACCRO GC-07 study.

Kodera Y, Yoshida K, Kochi M, et al. Gastric Cancer. 2023 Nov;26(6):1063-1068.

第3相術後補助化学療法Published

主要結果サマリ

5年RFS(S-1+DOC/S-1)59.78% / 50.63%
RFS HR(95%信頼区間)0.726(0.599–0.879)
RFS p値p=0.0010
5年OS(S-1+DOC/S-1)67.91% / 60.27%
OS HR(95%信頼区間)0.752(0.613–0.922)
OS p値p=0.0059
追跡期間中央値63.7カ月
最終解析集団912例(453例/459例)

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌術後(pStage III)
治療ライン術後補助化学療法
研究の相第3相
主要評価項目3年無再発生存割合
実施地域国内
日本の参加あり
試験名JACCRO GC-07
レジメンS-1+ドセタキセル vs S-1
登録期間2013年4月〜2017年4月

背景

アジアにおいて、胃がんは切除可能例が多いことと、D2郭清により良好な局所コントロールが得られることから、補助治療として術後補助化学療法に焦点が当てられてきた。 2007年に報告されたACTS-GC試験では、pStage II/IIIの術後胃がん症例を対象として、手術単独療法と比較し、術後12カ月間のS-1単剤療法が全生存期間と無再発生存期間を有意に延長した。更に、韓国を中心として行われたCLASSIC試験においても、手術単独療法と比較し、術後6カ月間のカペシタビン+オキサリプラチン併用療法が5年生存割合においてS-1単剤療法と同等の改善を示し、アジアでは2つの標準的術後補助化学療法が存在している。 S-1単剤療法に関しては、pStage III症例において有効性が低下し、血行性転移再発を十分に防ぐことができず、更なる改良が必要と考えられてきた。 ドセタキセルは胃がんに対して、単剤のみならず、S-1との併用や5-FU/シスプラチンとの併用で有効性が示されており、術後補助化学療法として、S-1+ドセタキセル併用療法のS-1単剤療法に対する優越性を検証する臨床試験が計画された。

シェーマ

JACCRO GC-07 シェーマ
胃癌術後:pStage III
無作為化(n=915)
非盲検
R
1:1
S-1+ドセタキセル(n=456)
ITT解析対象(n=454)
1コース目:
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1–14、3週毎
2–7コース目:
ドセタキセル 40mg/m² Day 1
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1–14、3週毎
8コース以降:
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1–28、6週毎
手術1年後まで継続
S-1(n=459)
無作為化・ITT解析対象
S-1 40mg/m²×2回/日 Day 1–28、6週毎
手術1年後まで継続
2023年最終解析集団:912例(S-1+ドセタキセル群453例/S-1群459例)。無作為化915例、2019年中間解析ITT 454例/459例、安全性解析341例/348例とは解析集団・時点が異なる。
主な適格基準
1)20-80歳
2)D2以上の郭清を行いR0切除
3)pStage IIIである(胃癌取扱い規約 第14版)

統計学的事項

主要評価項目:3年無再発生存割合 ACTS-GC試験の結果を基に、S-1群の3年無再発生存割合を62%と設定し、S-1+ドセタキセル群で7%の上乗せがあることを期待した。 観察期間3年、両側α=0.05、検出力80%で必要症例数を各群530例と設定した。若干の脱落例を考慮し、各群550例で計1,100例の登録予定とした。 本試験では2回の中間解析が予定された。初回は試験開始後25カ月、予定されたイベント数の5分の1に当たる100イベントが生じた時点に行われた。早期試験中止の可否は試験開始後34カ月、予定されたイベントの3分の1に当たる170イベントが生じた時点での2回目中間解析で評価された。

試験結果

2013年4月から2017年4月までに日本国内138施設から915例が登録・無作為化され、S-1+ドセタキセル群456例、S-1群459例に割り付けられた。2019年中間解析のITT解析対象はS-1+ドセタキセル群454例、S-1群459例であった。 2023年最終報告では、不適格3例を除く912例(S-1+ドセタキセル群453例/S-1群459例)を解析した。追跡期間中央値は63.7カ月(範囲3.5–111.9カ月)であった。 安全性解析は2016年4月30日までに登録され、実際に治療を受けた689例(S-1+ドセタキセル群341例/S-1群348例)を対象とした。無作為化集団、2019年中間解析ITT集団、2023年最終解析集団、安全性解析集団は解析時点と分母が異なる。

1. 無再発生存期間/3年無再発生存割合(主要評価項目)

本試験は2017年4月に実施された第2回中間解析(観察期間中央値12.5カ月)において、無再発生存期間と3年無再発生存割合がS-1群と比較してS-1+ドセタキセル群で有意な改善を認め、独立データ・安全性モニタリング委員会より試験の有効中止が推奨され、試験中止となった。 性別、年齢、病期、深達度、リンパ節因子、組織分類、ECOG PS、術式、原発部位でのサブ解析では治療レジメンとこれら因子の間に交互作用は認めなかった。下記に病期によるサブ解析結果を記載する。

5年無再発生存割合最終解析集団
S-1+ドセタキセル59.78%n=453HR 0.726(S-1+DOC/S-1)
95%信頼区間:0.599–0.879
p=0.0010
S-150.63%n=459
病期別5年無再発生存割合(最終解析)
病期S-1+ドセタキセルS-1
pStage IIIA75.10%64.06%HR 0.600(95%信頼区間:0.308–0.907)/p=0.0140
pStage IIIB57.84%56.32%HR 0.871(95%信頼区間:0.629–1.205)/p=0.4035
pStage IIIC46.81%31.35%HR 0.674(95%信頼区間:0.505–0.901)/p=0.0073

2. 全生存期間

2023年最終解析(912例、追跡期間中央値63.7カ月)における5年全生存割合は、S-1+ドセタキセル群67.91%、S-1群60.27%で、併用群が有意に良好であった(HR 0.752[S-1+DOC/S-1]、95%信頼区間:0.613–0.922、p=0.0059)。2019年中間解析時点ではOSイベントが少なく有意差は認められなかったが、これは補助的な早期解析であり、最終結論は2023年報告に基づく。

3. 投与状況

S-1およびドセタキセルの投与状況は下表のとおりである。 投与延期を要した症例はS-1+ドセタキセル群で66%(95%信頼区間:61–71)、S-1群で57%(95%信頼区間:52–62)であった。 投与延期は最初の3カ月(S-1+ドセタキセル群 46%[95%信頼区間:41–51]/S-1群 31%[95%信頼区間:26–35])と次の3カ月(S-1+ドセタキセル群 48%[95%信頼区間:42–54]/S-1群 30%[95%信頼区間:25–35])に多かった。

S-1投与状況
S-1+ドセタキセル(n=341)S-1(n=348)
3カ月投与303例(89%)312例(90%)
6カ月投与262例(77%)275例(79%)
9カ月投与226例(66%)242例(70%)
12カ月投与168例(49%)195例(56%)
減量132例(39%)103例(30%)
ドセタキセル投与状況
S-1+ドセタキセル(n=341)
0サイクル21例(6%)
1サイクル29例(9%)
2サイクル13例(4%)
3サイクル8例(2%)
4サイクル9例(3%)
5サイクル20例(6%)
6サイクル234例(69%)
減量94例(28%)

4. 有害事象(CTCAE ver.4.0)

Grade 3以上の有害事象はS-1+ドセタキセル群で198例(58%、95%信頼区間:53–63)、S-1群で147例(42%、95%信頼区間:37–47)に生じた。 S-1群の1例が呼吸不全で死亡し、治療関連と考えられた。 重篤な有害事象によりS-1+ドセタキセル群の47例(食欲不振8例、腸閉塞7例、発熱性好中球減少5例、血栓症4例)、S-1群の41例(食欲不振8例、下痢7例、腸閉塞5例、腸炎4例)が入院を要した。

主な有害事象(CTCAE ver.4.0)
有害事象S-1+ドセタキセル(n=341)S-1(n=348)
Grade 1Grade 2Grade 3Grade 4Grade 3–4Grade 1Grade 2Grade 3Grade 4Grade 3–4
白血球減少50例66例67例10例77例(22.6%)74例77例6例1例7例(2.0%)
好中球数減少24例46例72例58例130例(38.1%)38例68例53例3例56例(16.1%)
血小板数減少59例3例3例1例4例(1.2%)57例16例1例0例1例(0.3%)
貧血69例66例15例0例15例(4.4%)67例79例8例0例8例(2.3%)
血中ビリルビン増加42例28例2例0例2例(0.6%)72例35例5例0例5例(1.4%)
食欲不振109例59例48例0例48例(14.1%)94例47例43例0例43例(12.4%)
悪心88例31例14例0例14例(4.1%)69例36例5例0例5例(1.4%)
下痢122例36例12例0例12例(3.5%)95例37例31例0例31例(8.9%)
口腔粘膜炎93例29例15例0例15例(4.4%)61例14例7例0例7例(2.0%)
脱毛117例80例———12例0例———
発熱性好中球減少——15例1例16例(4.7%)——1例0例1例(0.3%)

5. 初回再発部位

5年間の再発部位S-1+ドセタキセル(n=453)S-1(n=459)
再発患者数169例(37.3%)[95%信頼区間:32.85–41.76]221例(48.1%)[95%信頼区間:43.58–52.72]p=0.0009
局所再発13例(2.9%)[95%信頼区間:1.33–4.41]20例(4.4%)[95%信頼区間:2.49–6.22]p=0.2876
リンパ節転移31例(6.8%)[95%信頼区間:4.52–9.17]69例(15.0%)[95%信頼区間:11.76–18.30]p<0.0001
腹膜播種89例(19.6%)[95%信頼区間:15.99–23.31]104例(22.7%)[95%信頼区間:18.83–26.49]p=0.2920
血行性転移46例(10.2%)[95%信頼区間:7.37–12.94]72例(15.7%)[95%信頼区間:12.36–19.01]p=0.0137

結語

2023年最終解析により、D2切除後のpStage III胃がんに対するS-1+ドセタキセル術後補助化学療法は、S-1単剤と比較して5年RFSおよび5年OSを有意に改善することが確認された。一方、無作為化3年超の晩期再発は抑制しなかった。2024年Correctionを反映し、5年間のイベントは計426件(併用群190件/S-1群236件)として扱う。

執筆・監修

執筆:神戸市立医療センター中央市民病院 腫瘍内科 医長 松本 俊彦 先生 監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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