Clinical Trial

NSAS-GC

胃癌

Randomized controlled trial of adjuvant uracil-tegafur versus surgery alone for serosa-negative, locally advanced gastric cancer.

Nakajima T, Kinoshita T, Nashimoto A, et al. Br J Surg. 2007 Dec;94(12):1468-76. [PubMed]

第3相術後補助化学療法Published
PubMed原著論文

主要結果サマリ

5年OS86% vs 73%
OS HR0.48
OS p値0.017
5年無再発生存85% vs 68%
無再発生存 HR0.44
無再発生存 p値0.005

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌術後(pT2N1-2)
治療ライン術後補助化学療法
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域国内
日本の参加あり
試験名NSAS-GC
レジメン手術+UFT療法 vs 手術単独
登録期間1997年6月〜2001年3月

背景

本試験が企画された時点では、根治切除後の局所進行胃癌に対する術後補助化学療法はメタ解析によって有意な生存期間の延長を示唆していたが、これを実証した個別の臨床試験はほとんど存在しなかった。術後補助化学療法の試験結果は、将来の研究が適切な標的集団の選定と、エビデンスに基づいた用量強度を高めた治療レジメンが必要になることを示唆した。

過去に行われた術後補助化学療法の大部分の試験では、他の薬剤と併用してUFTが用いられており、安全性を確保するために、UFTの一日用量は単剤療法で推奨される用量よりも少ない300-400mg(188-250mg/m²)が用いられていた。多剤併用療法の臨床研究は、pT2N1-2の中等度局所進行胃癌を対象とした試験において、手術単独群と比較してUFT+マイトマイシンCを用いた術後補助化学療法群で良好な生存期間を示したが、他は概ね、有効性を示せないか、ギリギリの生存延長を示すのみであった。

1997年、NSAS(National Surgical Adjuvant Study)グループは乳癌、大腸癌、胃癌に対して高用量のUFT単剤療法の大規模臨床研究を行うことを決定した。進行胃癌に対するUFT単剤療法(奏効割合 27.5%)の標準投与量に準じて、UFT 360 mg/m²/日を5日内服2日休薬(16カ月間投与)を選択した。この投与スケジュールにおけるUFTの総投与量は多剤併用療法で一般的に用いられる投与量(210 mg/m²、連日投与、18カ月間)とほぼ同程度であった。

本試験はこの投与スケジュールを用いて、根治切除が施行されたpT2N1-2の局所進行胃癌を対象に、手術単独療法に対するUFT単剤療法による術後補助化学療法の有効性を検討するために行われた。

シェーマ

NSAS-GC シェーマ
胃癌術後 pT2N1–2
(n=188)
非盲検
R
1:1
優越性試験
n=93
手術+UFT療法
UFT 360 mg/m²/日、5日内服2日休薬。術後6週以内に開始し16カ月間投与。
n=95
手術単独群
主な適格基準
1)D2リンパ節郭清を伴うR0切除後
2)組織学的に腺癌と診断された胃癌
3)病理学的T2、N1–2
4)ECOG PS 0–2
5)年齢20–75歳

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

過去の試験よりpT2N1-2の手術単独療法による5年生存割合は70%と報告されており、術後補助化学療法によってハザード比 33%の改善を期待した(5年生存割合で78.8%に相当)。片側α=0.05、検出力80%、登録期間3年、観察期間5年として、各群244例が必要と算出された。若干の不適格例を考慮し、目標症例数は500例と設定した。

試験結果

症例登録が予想よりも進まず、目標症例数に到達する前に試験途中で症例登録を終了した。

1997年6月〜2001年3月の間に190例が登録され、手術単独群に95例、術後補助化学療法群に95例が割り付けられた。

2例が無作為化後に最終病理組織診断の結果から早期胃癌であることが判明したため、不適格と判断し、最終解析から除外された。

したがって、適格188例(UFT群93例/手術単独群95例)が有効性解析に含まれた。

1. 患者背景

主な予後因子は両群間でバランスがとれていた。

2. 全生存期間(主要評価項目)

2003年12月に2年の中間解析が行われ、全生存割合は術後補助化学療法群で有意に良好であったことが確認された。

2度目の中間解析(登録終了後 3年)が2004年11月に行われ、観察期間中央値は3.8年であった。本中間解析において、全生存割合は術後補助化学療法群で有意に良好であった(HR 0.46, 4年生存割合で13%の差違)。

最終解析は登録終了後 5年の時点で行われ、観察期間中央値は6.2年であった。

全生存期間5年生存割合
UFT群(n=93)86%HR 0.48
(95%信頼区間 0.26–0.89)
p=0.017
手術単独群(n=95)73%

HRはUFT群/手術単独群。

3. リンパ節転移状況によるサブ解析

リンパ節転移HR(95%信頼区間)
pN10.52(0.26–1.05)p=0.061
pN20.40(0.12–1.34)p=0.124

HRはUFT群/手術単独群。

4. 無再発生存割合

2003年12月に2年の中間解析が行われ、無再発生存割合は術後補助化学療法群で有意に良好であったことが確認された。

無再発生存5年無再発生存割合
UFT群(n=93)85%HR 0.44
(95%信頼区間 0.25–0.79)
p=0.005
手術単独群(n=95)68%

HRはUFT群/手術単独群。

5. 投与状況

術後補助化学療法群で再発を認めなかった症例の内、治療開始後3カ月間に予定投与量のUFTが投与された症例は80%(73例/91例)、治療開始後16カ月間では51%(44例/86例)であった。

術後補助化学療法群では、治療開始後3カ月以内に2例が再発し、16カ月以内に7例が再発した。

6. 主な有害事象

術後補助化学療法群の1例は投薬を拒否され、有害事象解析からは除外した。

手術単独群の1例は患者希望により、有害事象解析からは除外した。

有害事象UFT群(n=92)手術単独群(n=94)
Grade 3Grade 4Grade 3Grade 4
全有害事象29例(32%)1例(1%)4例(4%)0例(0%)
好中球数減少11例(13%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)
貧血1例(1%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)
AST増加1例(1%)0例(0%)2例(2%)0例(0%)
ALT増加2例(2%)0例(0%)2例(2%)0例(0%)
血中ビリルビン増加8例(9%)0例(0%)2例(2%)0例(0%)
悪心/嘔吐1例(1%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)
下痢1例(1%)1例(1%)0例(0%)0例(0%)
感染1例(1%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)
食欲不振6例(7%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)
皮疹1例(1%)0例(0%)0例(0%)0例(0%)

原著Table 3からの主なGrade 3–4有害事象。数値は例数(%)。

項目により評価対象数が異なる。全有害事象の解析対象はUFT群92例、手術単独群94例。治療関連死亡は認められなかった。

7. 全生存期間に対する多変量解析

術後補助化学療法の有無(p=0.021)と性別(p=0.032)が有意に独立した予後予測因子であった。

年齢(p=0.918)、壁深達度(p=0.539)、リンパ節転移の範囲(p=0.996)は予後予測因子にはならなかった。

8. 死因

全ての原因による死亡:術後補助化学療法群で13例、手術単独例で28例

術後補助化学療法群で他癌による死亡が2例、手術単独群で交通事故死が1例、死因不明が1例含まれている。

9. 再発部位

再発部位UFT群(n=93)手術単独群(n=95)
全再発症例数13例28例—
腹膜播種4例3例p=0.680
局所再発0例4例p=0.050
血行性転移9例14例p=0.290
遠隔リンパ節転移3例11例p=0.010

結語

本試験により、根治的な胃切除術が施行されたpT2N1-2胃癌に対する術後補助化学療法としてのUFT療法の生存期間の延長効果が確認された。

執筆・監修

執筆:九州大学大学院 消化器・総合外科 助教 中島 雄一郎 先生 監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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