Clinical Trial

ALEX

肺癌

Alectinib versus Crizotinib in Untreated ALK-Positive Non-Small-Cell Lung Cancer.

Peters S, Camidge DR, Shaw AT, et al. N Engl J Med. 2017; 377(9): 829-38. [PubMed]

第3相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値未到達 vs 11.1ヶ月
PFS HR0.47
PFS p値<0.001
CNS進行HR0.16
ORR82.9% vs 75.5%
12ヶ月生存割合84.3% vs 82.5%

基本情報

項目内容
対象疾患非小細胞肺癌
治療ライン一次治療
研究の相第3相
主要評価項目無増悪生存期間
実施地域国際
日本の参加なし
試験名ALEX
レジメンalectinib vs crizotinib
登録期間2014年8月〜2016年1月

背景

非小細胞肺癌(NSCLC)の約5%はALK融合遺伝子を有する。ALK陽性NSCLCに対して最初に承認された分子標的治療薬のクリゾチニブは、化学療法と比較して高い抗腫瘍効果が示されているが、ALKの二次的な変異など様々なメカニズムで耐性化し、また、しばしば中枢神経(CNS)病変に対する制御が困難となる。

アレクチニブは、クリゾチニブに対して抵抗をもたらす二次的なALK変異に対して活性を有する強力な新世代のALKチロシンキナーゼ阻害剤であり、また血中脳関門を透過して中枢神経系に浸透する薬剤で、前臨床試験と臨床試験の両方においてCNS病変に対して活性を示した。

本試験は、前治療歴のないALK陽性進行期NSCLC患者(無症候性CNS転移を含む)を対象に、アレクチニブ(600 mg 1日2回投与)とクリゾチニブを比較した国際共同無作為化非盲検の第3相試験である。

シェーマ

ALK陽性進行期非小細胞肺癌患者303例を対象に、非盲検下でアレクチニブ群とクリゾチニブ群へ1:1で無作為化された。

ALEX 試験シェーマ

ALK陽性進行期非小細胞肺癌

n=303

非盲検

R

1:1

アレクチニブ(n=152)

600mg 1日2回

クリゾチニブ(n=151)

250mg 1日2回

主な適格基準

局所進行・再発NSCLCで全身化学療法の既往がないこと
Ventana IHC検査でALK陽性
ECOG PS 0-2
症候性脳転移は照射等を完了し安定

統計学的事項

主要評価項目:無増悪生存期間(PFS)

本試験はクリゾチニブ群を対照として、アレクチニブ群の無増悪生存期間(PFS)のハザード比が0.65となることを検証する優越性試験として設計された。約25ヶ月間に286人の患者を1:1の無作為化割り付けで非線形リクルートの形で登録する予定とし、検出力80%、両側α=0.05の設定で、170例のPFSイベントが必要と見込まれた。

試験結果

2014年8月〜2016年1月の期間に98施設より303例が登録され、アレクチニブ群には152例、クリゾチニブ群には151例が割り付けられた。

患者背景の特徴は、中枢神経系転移の有無(アレクチニブ群42%、クリゾチニブ群38%)を含め、両群間で偏りは認められなかった。

有効性解析のデータカットオフは2017年2月9日。フォローアップ期間中央値はアレクチニブ群が18.6ヶ月、クリゾチニブ群が17.6ヶ月であった。

フォローアップ期間に腫瘍の進行または死亡のイベントが発生したのは、アレクチニブ群では152例中62例(41%)、クリゾチニブ群では151例中102例(68%)であった。

1. 無増悪生存期間(主要評価項目)

無増悪生存期間中央値はアレクチニブ群で未到達、クリゾチニブ群で11.1ヶ月であった。治験責任医師が評価した12カ月時点での無増悪生存割合はアレクチニブ群68.4%[95%CI:61.0−75.9%]vs クリゾチニブ群48.7%[95%CI:40.4−56.9]で、アレクチニブ群の方がクリゾチニブ群よりも有意に高かった。

中央値95%信頼区間HR / p値
アレクチニブ未到達17.7−NA

HR 0.47(95%CI: 0.34−0.65)

P<0.001

クリゾチニブ11.1ヶ月9.1−13.1

2. CNS病変の進行、ならびに12ヶ月時点での累積発症率

CNS病変の進行までの期間は、クリゾチニブ群よりもアレクチニブ群の方が有意に長い(ハザード比0.16;95%CI、0.10−0.28;P<0.001)結果であった。CNS病変の進行イベント数と累積発生率も、アレクチニブ群の方がクリゾチニブ群よりも低かった。

CNS病変進行イベント数累積発症率中央値(95%CI)HR / p値
アレクチニブ18(12%)9.4%(5.4−14.7%)

HR 0.16(95%CI: 0.10−0.28)

P<0.001

クリゾチニブ68(45%)41.4%(33.2−49.4%)

3. 奏効割合

奏効割合はアレクチニブ群82.9%、クリゾチニブ群75.5%であった。アレクチニブの奏効期間の中央値は未到達(95%CI:未到達)、クリゾチニブは11.1ヶ月(95%CI:7.9−13.0)でHR 0.36(95%CI:0.24−0.53)であり、クリゾチニブ群よりもアレクチニブ群の方が有意に長かった。

奏効割合95%CIp値
アレクチニブ82.9%76.0−88.5%

p=0.09

クリゾチニブ75.5%67.8−82.1%

4. CNS奏効割合

CNS奏効割合はアレクチニブ群81%、クリゾチニブ群50%であった。アレクチニブのCNS奏効期間の中央値は17.3ヶ月(95%CI:14.8−未到達)、クリゾチニブは5.5ヶ月(95%CI:2.1−17.3)であった。

CNS奏効割合95%CI
アレクチニブ81%58−95%
クリゾチニブ50%28−72%

5. 12ヶ月生存割合

データカットオフ時点で、全体75例(アレクチニブ群35例[23%]、クリゾチニブ群40例[26%])の死亡であり、全生存期間の中央値はいずれの群でも推定できなかった。

12ヶ月生存割合95%CIHR / p値
アレクチニブ84.3%78.4−90.2

HR 0.76(95%CI: 0.48−1.20)

P=0.24

クリゾチニブ82.5%76.1−88.9

6. 有害事象(CTCAE ver4.0)

グレード3~5の全有害事象は、アレクチニブ群では頻度が低かった。

有害事象(AE)クリゾチニブ(N=151)アレクチニブ(N=152)
全GradeGrade 3-5全GradeGrade 3-5
全有害事象146(97%)76(50%)147(97%)63(41%)
重篤な有害事象(SAE)44(29%)43(28%)
死亡につながったAE7(5%)5(3%)
治療中止につながったAE19(13%)No data17(11%)No data
減量につながったAE31(21%)No data24(16%)No data
治療中断につながったAE38(25%)No data29(19%)No data
有害事象の詳細
嘔気72(48%)5(3%)21(14%)1(1%)
下痢68(45%)3(2%)18(12%)0
嘔吐58(38%)5(3%)11(7%)0
ALT値の上昇45(30%)22(15%)23(14%)7(5%)
AST値の上昇37(25%)16(11%)21(15%)8(5%)
血中ビリルビン値の上昇2(1%)023(15%)3(2%)
体重増加0015(10%)1(1%)
ΓGTP値の上昇10(7%)2(1%)1(1%)1(1%)
末梢浮腫42(28%)1(1%)26(17%)0
めまい21(14%)012(8%)0
味覚異常29(19%)04(3%)0
視覚異常18(12%)02(1%)0
目のかすみ11(7%)03(2%)0
光視症9(6%)000
筋痛3(2%)024(16%)0
筋骨格痛3(2%)011(7%)0
貧血7(5%)1(1%)30(20%)7(5%)
脱毛11(7%)01(1%)0
光線過敏008(5%)1(1%)
皮疹14(9%)017(11%)1(1%)
心電図でのQT延長No data8(5%)No data0
肺動脈血栓塞栓症No data5(3%)No data2(1%)
肺臓炎No data3(2%)No data0
急性腎障害No data0No data4(3%)

7. PFSのサブグループ解析

年齢、性別、人種、ECOG-PS、脳転移の有無によらずアレクチニブが有効であった。現喫煙者ではHR1.16(95%CI:0.35−3.90)、PS2の患者群ではHR0.74(0.25−2.15)という結果であったが、いずれも対象集団の人数が少ない(それぞれ17人、20人)ため、慎重な解釈を要する。

結語

ALK陽性NSCLCの一次治療において、アレクチニブはクリゾチニブよりも無増悪生存期間の延長を示し、毒性も低いことを示した。なお、本試験のアレクチニブ投与量は600mg/回×1日2回投与である。国内で行われたALK融合遺伝子陽性の日本人非小細胞肺癌患者を対象とした第3相無作為化比較試験(J-ALEX試験)におけるアレクチニブ投与量は300mg/回×1日2回投与であり、留意すべきである。

執筆・監修

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 池田英樹 先生

監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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