Clinical Trial

E2201

肺癌

Dabrafenib plus trametinib in patients with previously treated BRAF(V600E)-mutant metastatic non-small cell lung cancer: an open-label, multicentre phase 2 trial

Planchard D, Besse B, Groen HJM, et al. Lancet Oncol. 2016;17(7):984-993.

第2相既治療PublishedUpdated May 2026
PubMedClinicalTrials.gov

主要結果サマリ

奏効割合(CR+PR)36(63.2%)
病勢制御割合(CR+PR+SD)45(78.9%)
無増悪生存期間中央値9.7ヶ月
奏効期間中央値9.0ヶ月
登録例数57例

背景

BRAF V600E遺伝子変異は肺腺癌のおよそ1-2%にみられるドライバー変異であり、BRAF変異例は予後不良であると報告されている。

E2201試験は、BRAF V600E遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象とした、3つのコホートからなる第2相試験である。コホートAでは、選択的BRAF阻害薬であるダブラフェニブ(DAB)の既治療BRAF V600E陽性非小細胞肺癌に対する有効性が評価され、DAB単剤では奏効割合33%(95% CI 23-45)、無増悪生存期間中央値は5.5ヶ月という結果であった。

過去のBRAF V600E陽性切除不能悪性黒色腫を対象とした試験では、BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用療法は、BRAF阻害薬単剤と比較して、奏効割合・無増悪生存期間・全生存期間のいずれも良好な治療成績が得られており、また、BRAF遺伝子変異陽性のヒト肺癌細胞株を用いた前臨床のデータでも、BRAF阻害薬にMEK阻害薬を併用することで相乗的に抗腫瘍効果が認められている。

これらの背景から、E2201試験のコホートBでは既治療、コホートCでは未治療の切除不能BRAF V600E陽性非小細胞肺癌患者を対象として、BRAF阻害薬のDABとMEK阻害薬のトラメチニブ(TRA)の併用療法の有効性および安全性を評価した。本報告は、コホートBの結果である。

シェーマ

既治療BRAF V600E陽性非小細胞肺癌患者を対象に、ダブラフェニブ150mg/回 1日2回とトラメチニブ2mg/回 1日1回を投与した。

E2201 試験シェーマ

既治療BRAF V600E陽性非小細胞肺癌

ダブラフェニブ+トラメチニブ(n=57)

ダブラフェニブ 150mg/回 1日2回
トラメチニブ 2mg/回 1日1回

主な適格基準

18歳以上

プラチナダブレットでの治療歴がある

前治療が3次治療以内

RECISTでの測定可能病変を有する

ECOG PS 0–2

予後3ヶ月以上あることが予測される

BRAF阻害薬/MEK阻害薬の治療歴がない

無症候性・未治療・1cm未満の脳転移は許容

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合(治験責任医師による評価)

2段階のGreen-Dahlbergデザインを用いて、臨床的効果を試験中にモニタリングし、十分な効果が示されなかった場合には試験治療は無効と判断して試験を早期中止できるよう設定した。20人の患者が、少なくとも2回の画像評価を受けたか、画像評価前に試験から脱落したことが確認された時点で、中間解析を実施する計画とした。

BRAF V600E陽性非小細胞肺癌に対する二次治療から四次治療としてのDAB+TRA併用療法の奏効割合が30%以下とする帰無仮説と、55%以上とする対立仮説を立てた。20症例登録時点で6例以上、40例中18例以上に奏効が確認されなかった場合には試験を無効中止することとした。

統計解析は計画された40例の登録に基づいて行われ、両側α=0.032、検出力を92.2%とした。患者数が想定以上となっても、効果と安全性については統計学的な設定を変えず、ITT集団で評価を行うこととした。

試験結果

2013年12月20日から2015年1月14日までに北アメリカ、ヨーロッパ、アジアの9ヶ国30施設から59人の患者が登録された。2人の初回治療例患者はプロトコール逸脱として扱い別に評価し、57人をDAB+TRAによる治療を受けた評価対象とした。

1人の患者が無症候性の測定可能病変のない脳転移を有していた。2015年10月7日のデータカットオフ時点では、57人中21人(37%)が治療継続中だった。28人(49%)が病勢増悪、7人(12%)が有害事象、1人(2%)が患者希望により治療中止されていた。病勢増悪後の治療としては抗がん薬治療が最も多く行われていた。

1. 治療効果

主要評価項目であるDAB+TRAの客観的奏効割合(ORR)は63.2%(57人中36人;95%信頼区間49.3-75.6)だった。全生存期間中央値は、報告時点で未到達だった(※フォローアップ解析時点で18.2ヵ月;95%信頼区間 14.3-NE)。

最良総合効果治験責任医師による評価(N=57)独立評価(N=57)
完全奏効(CR)2(3.5%)0
部分奏効(PR)34(59.6%)36(63.2%)
安定(SD)9(15.8%)4(7.0%)
進行(PD)7(12.3%)8(14.0%)
Non-CR/non-PD03(5.3%)
Not evaluable5(8.8%)6(10.5%)
奏効割合(CR+PR)36(63.2%)(95% CI 49.3−75.6)36(63.2%)(95% CI 49.3−75.6)
病勢制御割合(CR+PR+SD)45(78.9%)(95% CI 66.1−88.6)43(75.4%)(95% CI 62.2−85.9)
無増悪生存期間、中央値9.7ヶ月(95% CI 6.9−19.6)8.6ヶ月(95% CI 5.2−19.1)
奏効期間、中央値9.0ヶ月(95% CI 6.9−18.3)9.0ヶ月(95% CI 5.8−17.6)

2. 有害事象

有害事象に伴う投与中止は7人(12%)、投与中断・延期は35人(61%)、薬剤減量は20人(35%)でみられた。DABは33人(58%)、TRAは43人(75%)で予定量の80%以上の投与を行うことができた。56人(98%)が何らかの有害事象を経験し、およそ半分の28人(49%)がGrade3/4の有害事象を経験した。

有害事象Grade 1–2Grade 3Grade 4Grade 5
発熱25(44%)1(2%)00
悪心23(40%)000
嘔吐20(35%)000
下痢18(32%)1(2%)00
食欲不振17(30%)000
倦怠感16(28%)2(4%)00
皮膚乾燥14(25%)1(2%)00
末梢性浮腫13(23%)000
悪寒12(21%)1(2%)00
咳嗽12(21%)000
皮疹11(19%)1(2%)00
関節痛11(19%)000
便秘10(18%)000
疲労9(16%)1(2%)00
血中ALP上昇9(16%)000
呼吸困難8(14%)2(4%)00
そう痒症8(14%)1(2%)00
浮動性めまい8(14%)000
貧血7(12%)2(4%)1(2%)0
体重減少7(12%)1(2%)00
上腹部痛7(12%)000
低血圧7(12%)000
好中球減少症6(11%)5(9%)00
胸痛6(11%)000
味覚異常6(11%)000
頭痛6(11%)000
筋痙攣6(11%)000
筋肉痛6(11%)000
湿性咳嗽6(11%)000
回転性めまい6(11%)000
過角化5(9%)1(2%)00
体重増加5(9%)1(2%)00
背部痛4(7%)01(2%)0
喀血4(7%)1(2%)00
AST上昇3(5%)1(2%)00
血中クレアチニン上昇3(5%)1(2%)00
低リン酸血症3(5%)1(2%)00
血小板数減少3(5%)1(2%)00
低ナトリウム血症2(4%)3(5%)1(2%)0
白血球数減少2(4%)2(4%)00
ALT上昇2(4%)1(2%)00
脱水1(2%)2(4%)00
高血圧1(2%)2(4%)00
アミラーゼ上昇1(2%)1(2%)00
基底細胞癌1(2%)1(2%)00
結節性紅斑1(2%)1(2%)00
血尿1(2%)1(2%)00
末梢神経障害1(2%)1(2%)00
疼痛1(2%)1(2%)00
肺塞栓症1(2%)1(2%)00
間質性腎炎1(2%)1(2%)00
視力障害1(2%)1(2%)00
G-GTP上昇01(2%)1(2%)0
高カルシウム血症02(4%)00
呼吸困難01(2%)01(2%)
皮膚扁平上皮癌02(4%)00
CRP上昇01(2%)00
急性胆嚢炎01(2%)00
冠動脈狭窄01(2%)00
発熱性好中球減少症01(2%)00
肝細胞癌01(2%)00
股関節骨折01(2%)00
瘢痕ヘルニア01(2%)00
腸閉塞01(2%)00
レジオネラ感染症001(2%)0
肺悪性腫瘍01(2%)00
悪性腫瘍進行0001(2%)
汎血球減少01(2%)00
胸水貯留01(2%)00
腎盂腎炎01(2%)00
四肢麻痺01(2%)00
腎不全01(2%)00
後腹膜出血0001(2%)
くも膜下出血0001(2%)
心室細動001(2%)0

結語

DAB+TRAの併用療法はBRAF V600E陽性非小細胞肺癌において高い奏効割合と管理可能な毒性を示した新規標的治療である。

執筆・監修

  • 執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 医員 日野 葵 先生
  • 監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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