Clinical Trial

GC ± Veliparib

膵癌

Randomized, Multicenter, Phase II Trial of Gemcitabine and Cisplatin With or Without Veliparib in Patients With Pancreas Adenocarcinoma and a Germline BRCA/PALB2 Mutation.

O’Reilly EM, Lee JW, Zalupski M, et al. Journal of Clinical Oncology. 2020;38(13):1378-88. [PubMed]

第2相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

ORR74.1% vs 65.2%
ORR p値0.55
DCR100% vs 78.3%
DCR p値0.02
PFS中央値10.1 vs 9.7ヶ月
OS中央値15.5 vs 16.4ヶ月

基本情報

項目内容
対象疾患生殖細胞系BRCA/PALB2変異を持つ切除不能再発膵臓がん
治療ライン一次治療
研究の相第2相
主要評価項目奏効割合
実施地域国際
日本の参加なし
試験名なし
レジメンゲムシタビン+シスプラチン±Veliparib
登録期間2014年1月〜2018年11月

背景

膵癌の5-9%に生殖細胞系列BRCA/PALB2変異を認めることが知られている。BRCA変異を有する膵癌は、プラチナレジメンの有効性が期待されるとともに、POLO Study試験ではプラチナレジメン奏効中の維持療法としてPARP阻害薬であるオラパリブの有効性が示されている。

さらにBRCA/PALB2変異を認める膵癌に対するゲムシタビン+シスプラチン+Veliparib療法が第1b相試験において高い奏効割合と病勢制御割合を示し、生存期間中央値でも23.3ヶ月と良好な成績が示された。

今回、PARP阻害薬とプラチナレジメンの併用療法の有効性を検討する第2相試験として本試験が実施された。

シェーマ

生殖細胞系BRCA/PALB2変異を有する切除不能膵癌患者50例を対象に、ゲムシタビン+シスプラチン療法にVeliparibを併用する群と併用しない群へ1:1で無作為化された。

GC ± Veliparib 試験シェーマ

切除不能膵癌

N=50

Open label

R

1:1

ゲムシタビン+シスプラチン療法 3週ごと

ゲムシタビン 600 mg/m² Day 3・10

シスプラチン 25 mg/m² Day 3・10

+Veliparib 80 mg Day 1–12 内服(n=27)

ゲムシタビン+シスプラチン療法 3週ごと

ゲムシタビン 600 mg/m² Day 3・10

シスプラチン 25 mg/m² Day 3・10

n=23

主な適格基準

18歳以上
PS(ECOG)0–1
生殖細胞系列 BRCA/PALB2 変異

統計学的事項

主要評価項目:奏効割合

閾値奏効割合を10%、期待奏効割合を30%とし、αエラーを両側10%、検出力90%としてサンプルサイズの算出が行われた。

それぞれの治療群において、第一段階としてそれぞれ16人の治療が行われ、2人以上の奏効が得られたら、さらに9人の登録がおこなわれ、25人の登録の中で5人以上の奏効を期待した。

試験結果

2014年1月~2018年11月に52人の患者登録が行われ、3か国6施設が参加した。2019年7月31日にデータカットオフが行われた。

GC療法群に割り当てられた2名の患者が治療開始を拒否した。

1. 奏効割合(主要評価項目)

奏効割合はGC療法+Veliparib群で74.1%、GC療法群で65.2%であった。

奏効割合p値
GC療法+Veliparib群74.1%p=0.55
GC療法群65.2%

2. 病勢制御割合

病勢制御割合はGC療法+Veliparib群で100%、GC療法群で78.3%であった。

病勢制御割合p値
GC療法+Veliparib群100%p=0.02
GC療法群78.3%

3. 無増悪生存期間

無増悪生存期間中央値はGC療法+Veliparib群で10.1ヶ月、GC療法群で9.7ヶ月であった。

中央値95%信頼区間p値
GC療法+Veliparib群10.1ヶ月6.7‐11.5ヶ月p=0.73
GC療法群9.7ヶ月4.2‐13.6ヶ月

4. 全生存期間

全生存期間中央値はGC療法+Veliparib群で15.5ヶ月、GC療法群で16.4ヶ月であった。

中央値95%信頼区間p値
GC療法+Veliparib群15.5ヶ月12.2‐24.3ヶ月p=0.60
GC療法群16.4ヶ月11.7‐23.4ヶ月

5. 有害事象

有害事象を以下に示す。GC療法+Veliparibの併用療法ではGC療法よりも血液毒性の頻度が多く認められた。

血液毒性
GC療法+Veliparib群(N=27)GC療法群(N=23)
Grade 1Grade 2Grade 3Grade 4Grade 1Grade 2Grade 3Grade 4
貧血3(11%)7(26%)13(48%)1(4%)4(17%)10(43%)8(35%)‐
白血球減少6(22%)6(22%)7(26%)‐5(22%)10(43%)1(4%)‐
好中球減少2(7%)5(19%)11(41%)2(7%)‐6(26%)7(30%)‐
FN*‐‐1(4%)‐‐‐‐‐
リンパ球減少1(4%)2(7%)3(11%)‐2(9%)2(9%)4(17%)‐
血小板減少5(19%)3(11%)9(33%)6(22%)10(43%)4(17%)2(9%)‐
全体1723449213222‐
*FN:Febrile Neutropenia(発熱時好中球減少)
非血液毒性
GC療法+Veliparib群(N=27)GC療法群(N=23)
Grade 2Grade 3Grade 4Grade 2Grade 3Grade 4
高血圧1‐‐32‐
食欲不振‐‐‐-2‐
膨満感2‐‐--‐
便秘32‐51‐
下痢‐‐‐‐1‐
消化管出血‐‐2‐‐‐
吐き気8‐‐3‐‐
口内炎1‐‐‐‐‐
嘔吐2‐‐1‐‐
高血糖65‐731
低血糖‐‐‐1‐‐
高マグネシウム‐‐‐‐1‐
低マグネシウム2‐‐31‐
低アルブミン2‐‐4‐‐
低カルシウム3‐‐2‐1
低カリウム‐2‐121
低ナトリウム‐3‐‐2‐
低リン31‐‐‐‐
胆道感染12‐‐2‐
感染4‐‐‐1‐
敗血症‐11‐‐‐
ALP上昇72‐23‐
ALT上昇14‐53‐
AST上昇31‐11‐
ビリルビン上昇13‐11‐
勃起不全‐‐‐1‐‐
聴力障害‐‐‐1‐‐
末梢神経障害2‐‐11‐
けいれん発作1‐‐‐‐‐
失神1‐‐‐1‐
腹痛52‐61‐
疼痛4‐‐2‐‐
末梢性肺炎‐1‐‐‐‐
上気道炎3‐‐1‐‐
深部静脈血栓症5‐‐‐‐‐
肺塞栓2‐‐1‐1
詳細不明血栓22‐‐‐‐

結語

GC療法は生殖細胞系BRCA/PALB2変異を有する膵癌において効果的であった。

GC療法+Veliparibの併用療法はGC療法に対する上乗せ効果は示されなかった。

GC療法+Veliparibの併用療法はGC療法よりも血液毒性の頻度が多く認められた。

執筆・監修

執筆:国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 医員 丸木 雄太 先生

監修:神奈川県立がんセンター病院 消化器内科 肝胆膵 部長 上野 誠 先生

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