Clinical Trial

IMpower133

肺癌

First-Line Atezolizumab Plus Chemotherapy in Extensive-Stage Small-Cell Lung Cancer

Horn L, Mansfield AS, Szczęsna A, et al. N Engl J Med. 2018;379(23):2220-2229.

第3相一次治療PublishedUpdated May 2026
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値12.3ヶ月 vs 10.3ヶ月
OS HR0.70
PFS中央値5.2ヶ月 vs 4.3ヶ月
PFS HR0.77
奏効割合60.2% vs 64.4%
登録例数403例

背景

進展型小細胞肺癌の一次治療は、長らくプラチナ併用療法が標準であり、依然として予後は不良である。アテゾリズマブは、ヒト化モノクローナル抗PD-L1抗体であり、PD-L1とPD-1およびB7-1との結合を阻害し抗腫瘍免疫を回復・再活性化させる事で抗腫瘍効果を発揮する。免疫チェックポイント阻害薬と細胞傷害性抗がん剤を併用することで抗腫瘍免疫が増強され、相乗効果が期待される。本試験は、進展型小細胞肺癌患者を対象にカルボプラチンとエトポシドの一次治療にAtezoを追加した場合の安全性と有効性を、プラセボ併用群と比較して評価した第1/3相試験である。

シェーマ

進展型小細胞肺癌403例を対象に、二重盲検下でCBDCA+ETP+Atezolizumab群とCBDCA+ETP+プラセボ群へ1:1で無作為化された。

IMpower133 試験シェーマ

進展型小細胞肺癌

n=403

二重盲検
1:1
R

CBDCA+ETP+Atezolizumab群(n=201)

CBDCA AUC 5 Day 1
ETP 100 mg/m² Day 1–3
Atezolizumab 1200 mg Day 1
3週間毎、最大4サイクル
→ Atezolizumab 1200 mg Day 1、3週間毎

CBDCA+ETP+プラセボ群(n=202)

CBDCA AUC 5 Day 1
ETP 100 mg/m² Day 1–3
3週間毎、最大4サイクル
→ プラセボ Day 1、3週間毎

主な適格基準

細胞診または組織診で小細胞肺癌の診断

ECOG PS 0–1

RECIST ver1.1で評価可能な病変を有する

全身化学療法を受けたことがない

脳転移がある場合は無症候性で局所治療済み

統計学的事項

主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)である。全体での両側αエラーを0.05に制御するため、PFSには両側α=0.005、OSには両側α=0.045がそれぞれの一次解析に割り当てられた。OSの中間解析は、238人の死亡が発生した時点で行い、その際にPFSの一次解析も行う計画とした。

試験結果

2016年6月6日〜2017年5月31日の期間に21カ国106施設より403例が登録され、Atezo併用群には201例、プラセボ併用群には202例が無作為に割り付けられた。患者背景の特徴は、両群間で偏りは認められなかった。有効性解析のデータカットオフは2018年4月24日、観察期間の中央値は13.9ヵ月であった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

データカットオフ時点で、Atezo併用群201例中104例、プラセボ併用群202例中134例が死亡した。

全症例中央値95%信頼区間
Atezo併用12.3ヶ月10.8−15.9ヶ月HR 0.70 (95%CI 0.54−0.91) p=0.007
プラセボ併用10.3ヶ月9.3−11.3ヶ月

2. 無増悪生存期間

データカットオフ時点で、Atezo併用群201例中171例、プラセボ併用群202例中189例に病勢進行または死亡のイベントが発生した。

全症例中央値95%CI
Atezo併用5.2ヶ月4.4−5.6ヶ月HR 0.77 (95%CI 0.62−0.96) p=0.02
プラセボ併用4.3ヶ月4.2−4.5ヶ月

3. 奏効割合

Atezo併用群では5例、プラセボ併用群では2例に完全奏効が認められた。奏効期間の中央値はAtezo併用群で4.2ヶ月、プラセボ併用群で3.9ヶ月であり、両群でほぼ同程度であった。

全症例奏効割合95%CI
Atezo併用60.2%53.1−67.0%
プラセボ併用64.4%57.3−71.0%

4. 有害事象 (CTCAE ver4.0)

Grade3−4の有害事象で最も頻度が高かったのは、好中球減少症、貧血であった。治療関連の死亡は、Atezo併用群で3例、プラセボ併用群で3例であった。

有害事象Atezo併用 N=198(%)プラセボ併用 N=196(%)
Grade
1 or 2
Grade
3 or 4
Grade
5
Grade
1 or 2
Grade
3 or 4
Grade
5
全有害事象73(36.9)112(56.6)3(1.5)68(34.7)110(56.1)3(1.5)
好中球減少症26(13.1)45(22.7)1(0.5)20(10.2)48(24.5)0
貧血49(24.7)28(14.1)041(20.9)24(12.2)0
脱毛69(34.8)0066(33.7)00
嘔気62(31.3)1(0.5)058(29.6)1(0.5)0
疲労39(19.7)3(1.5)037(18.9)1(0.5)0
好中球数低下7(3.5)28(14.1)012(6.1)33(16.8)0
食思不振39(19.7)2(1.0)026(13.3)00
血小板減少症12(6.1)20(10.1)014(7.1)15(7.7)0
血小板数低下17(8.6)7(3.5)021(10.7)7(3.6)0
嘔吐25(12.6)2(1.0)019(9.7)3(1.5)0
便秘19(9.6)1(0.5)025(12.8)00
白血球減少症15(7.6)10(5.1)010(5.1)8(4.1)0
白血球数低下10(5.1)6(3.0)016(8.2)9(4.6)0
下痢15(7.6)4(2.0)018(9.2)1(0.5)0
発熱性好中球減少症06(3.0)0012(6.1)0
インフュージョンリアクション6(3.0)4(2.0)09(4.6)1(0.5)0

Grade3−4の有害事象で最も頻度が高かったのは、好中球減少症、貧血であった。治療関連の死亡は、Atezo併用群で3例(1.5%)、プラセボ併用群で3例(1.5%)であった。免疫関連有害事象は、Atezo併用群で39.9%、プラセボ併用群で24.5%に発現した。

5. サブグループ解析

Atezo併用によるOSおよびPFSに関する有益性、OSサブグループ解析、血漿TMB解析について以下に示す。

サブグループ解析の要点

1. OSおよびPFSの一貫性

  • Atezo併用によるOSおよびPFSに関する有益性は、サブグループ間で一貫していた。

2. OSのサブグループ解析

65歳未満

HR 0.92

95%CI:0.64−1.32

ECOG PS 0

HR 0.79

95%CI:0.49−1.27

脳転移あり

HR 1.07

95%CI:0.47−2.43

肝転移あり

HR 0.81

95%CI:0.55−1.20

これらは探索的な解析であり、慎重な解釈を要する。

3. 血漿TMB解析

  • 全患者のうち374人(92.8%)が、腫瘍のTumor mutational burden(TMB)の分析に使用できる血漿を有していた。
  • 351人(93.8%)から、分析に使用できる質の高いデータが得られた。
  • あらかじめ規定されたTMBのカットオフ値(メガベースあたり10または16の変異数)では、いずれもAtezo投与の有益性を予測できる結果は得られなかった。

結語

進展型小細胞肺癌の一次治療において、化学療法へのAtezoの追加は、化学療法単独よりも全生存期間および無増悪生存期間を有意に延長させた。

執筆・監修

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 池田 英樹 先生 監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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