Clinical Trial

IMpower150

肺癌

Atezolizumab for First-Line Treatment of Metastatic Nonsquamous NSCLC

Socinski MA, et al. N Engl J Med. 2018;378(24):2288-2301.

第3相一次治療PublishedUpdated May 2026
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値8.3ヶ月 vs 6.8ヶ月
PFS HR0.62
OS中央値19.2ヶ月 vs 14.7ヶ月
OS HR0.78
奏効割合63.5% vs 48.0%
登録例数1202例

背景

非扁平上皮非小細胞肺癌(non-Sq NSCLC)の一次治療は、ドライバー遺伝子変異陽性の症例は分子標的薬治療、PD-L1腫瘍発現割合が高い症例は抗PD-1抗体薬単剤治療、それ以外の症例はプラチナ併用化学療法±ベバシズマブが標準治療となっている。抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブは、二次治療以降においてPD-L1発現割合に関わらず既存の標準治療よりも全生存割合を改善させることが示されている。本試験は、未治療進行期non-Sq NSCLCに対して、カルボプラチン+パクリタキセルにAtezoとBEVの上乗せ効果を検証するための第3相試験である。

シェーマ

進行非扁平上皮非小細胞肺癌1202例を対象に、非盲検下でABCP群、BCP群、ACP群へ1:1:1で無作為化された。

IMpower150 試験シェーマ

非扁平非小細胞肺癌

n=1202

非盲検
1:1:1
R

ABCP群(n=400)

CBDCA AUC 6 day 1
PTX 200 mg/m² day 1
Atezo 1200 mg day 1
BEV 15 mg/kg day 1
3週毎、4または6サイクル

BCP群(n=400)

CBDCA AUC 6 day 1
PTX 200 mg/m² day 1
BEV 15 mg/kg day 1
3週毎、4または6サイクル

ACP群(n=402)

CBDCA AUC 6 day 1
PTX 200 mg/m² day 1
Atezo 1200 mg day 1
3週毎、4または6サイクル
※解析対象外

主な適格基準

前治療で殺細胞性抗癌剤投与がない

18歳以上

EGFR遺伝子変異およびALK融合遺伝子陽性も含む

ECOG PS 0–1

ベバシズマブ投与可能な条件を満たしている

統計学的事項

本試験の主要評価項目は、当初はITT集団およびPD-L1発現陽性例のPFSとされていたが、試験途中でEGFR遺伝子変異、ALK遺伝子転座のないITT集団(WT集団)のPFSとOS、およびTeff-high-WT集団のPFSに変更となった。主な副次評価項目は、全症例におけるPFSとOS、WT集団の奏効割合、奏効期間、安全性、PD-L1発現割合のサブグループ毎のPFSとされた。

試験結果

2015年3月~2016年12月に240施設の1202症例が登録され、ABCP群が400例、BCP群が400例、ACP群が402例に割り付けられた。そのうちWT集団はABCP群で356例、BCP群で336例、ACP群で348例であった。ABCP群とBCP群において臨床背景に大きな違いはみられなかった。

1. WT集団の無増悪生存期間(主要評価項目)

有効性解析のデータカットオフ時において、ABCP群の追跡期間中央値は9.5ヶ月、BCP群は15.5ヶ月であった。EGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子陽性症例およびTeff-high-WT集団においても、ABCP群でPFS延長が認められた。

WT集団中央値95%信頼区間
ABCP群8.3ヶ月7.7−9.8ヶ月HR 0.62 (95%CI 0.52−0.74) P<0.001
BCP群6.8ヶ月6.0−7.1ヶ月

2. WT集団の全生存期間(主要評価項目)

中間解析時のデータカットオフ時において、ABCP群、BCP群あわせた追跡期間の中央値は20.0ヶ月であった。ABCP群の死亡例は359例中179例、BCP群は337例中197例であった。

WT集団中央値95%信頼区間
ABCP群19.2ヶ月17.0−23.8ヶ月HR 0.78 (95%CI 0.64−0.96) P=0.02
BCP群14.7ヶ月13.3−16.9ヶ月

3. WT集団の客観的奏効割合

WT集団の客観的奏効割合は、ABCP群63.5%、BCP群48.0%であった。

WT集団客観的奏効割合95%信頼区間
ABCP群63.5%58.2−68.5
BCP群48.0%42.5−53.6

4. WT集団の奏効期間

WT集団の奏効期間中央値は、ABCP群9.0ヶ月、BCP群5.7ヶ月であった。

WT集団奏効期間中央値範囲
ABCP群9.0ヶ月0.4−24.9
BCP群5.7ヶ月0.0−22.1

5. 有害事象

ABCP群およびBCP群で認められた治療関連有害事象、10%以上に生じた有害事象、免疫関連有害事象を示す。

有害事象ABCP群(N=393)BCP群(N=394)
Grade
1,2
Grade
3,4
Grade
5
Grade
1,2
Grade
3,4
Grade
5
治療関連有害事象141(35.9%)219(55.7%)11(2.8%)179(45.4%)188(47.7%)9(2.3%)
10%以上に生じた有害事象
脱毛183(46.6%)00173(43.9%)00
末梢性ニューロパチー141(35.9%)11(2.8%)0113(28.7%)9(2.3%)0
悪心119(30.3%)15(3.8%)0101(25.6%)8(2.0%)0
疲労88(22.4%)13(3.3%)079(20.1%)10(2.5%)0
貧血70(17.8%)24(6.1%)071(18.0%)23(5.8%)0
食思不振77(19.6%)10(2.5%)056(14.2%)3(0.8%)0
下痢70(17.8%)11(2.8%)058(14.7%)2(0.5%)0
好中球減少症18(4.6%)54(13.7%)024(6.1%)44(11.2%)0
高血圧50(12.7%)25(6.4%)042(10.7%)25(6.3%)0
関節痛63(16.0%)3(0.8%)055(14.0%)4(1.0%)0
便秘65(16.5%)0045(11.4%)00
衰弱52(13.2%)5(1.3%)053(13.5%)11(2.8%)0
鼻出血50(12.7%)4(1.0%)068(17.3%)00
嘔吐50(12.7%)6(1.5%)051(12.9%)5(1.3%)0
血小板数減少34(8.7%)20(5.1%)035(8.9%)9(2.3%)0
筋肉痛51(13.0%)2(0.5%)046(11.7%)1(0.3%)0
血小板減少症36(9.2%)16(4.1%)028(7.1%)17(4.3%)0
たんぱく尿41(10.4%)10(2.5%)037(9.4%)11(2.8%)0
好中球数減少14(3.6%)34(8.7%)010(2.5%)25(6.3%)0
皮疹47(12.0%)5(1.3%)020(5.1%)00
口内炎43(10.7%)4(1.0%)020(5.1%)1(0.3%)0
麻痺42(10.7%)0036(9.1%)1(0.3%)0
発熱性好中球減少症2(0.5%)33(8.4%)3(0.8%)023(5.8%)0

免疫関連有害事象

項目ABCP群(N=393)BCP群(N=394)
Any GradeGrade 3–4Any GradeGrade 3–4
皮疹113(28.8%)9(2.3%)52(13.2%)2(0.5%)
肝障害47(12.0%)16(4.1%)29(7.4%)3(0.8%)
甲状腺機能低下症50(12.7%)1(0.3%)15(3.8%)0
甲状腺機能亢進症16(4.1%)1(0.3%)5(1.3%)0
肺臓炎11(2.8%)6(1.5%)5(1.3%)0
大腸炎9(2.3%)5(1.3%)2(0.5%)2(0.5%)
肝炎8(2.0%)4(1.0%)00
重症皮膚反応4(1.0%)—1(0.3%)—
副腎不全2(0.5%)1(0.3%)3(0.8%)1(0.3%)
膵炎5(1.3%)2(0.5%)00
下垂体炎3(0.8%)1(0.3%)00
腎炎3(0.8%)1(0.3%)00
眼炎症性障害3(0.8%)1(0.3%)00
筋炎2(0.5%)1(0.3%)00
自己免疫性貧血1(0.3%)—0—
血管炎1(0.3%)—0—
糖尿病1(0.3%)000
脳炎1(0.3%)1(0.3%)00
脊髄脳炎1(0.3%)1(0.3%)00

結語

ALK遺伝子転座またはEGFR遺伝子変異のない進行非扁平上皮非小細胞肺癌患者の一次治療において、ABCP療法はBCP療法と比較してPFS及びOSを有意に延長した。

執筆・監修

執筆:横浜市立大学附属病院 呼吸器病学教室 久保 創介 先生 監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

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