Clinical Trial

KEYNOTE-010

肺癌

Pembrolizumab versus docetaxel for previously treated, PD-L1-positive, advanced non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-010): a randomised controlled trial

Herbst RS et al. Lancet. 2016;387:1540-50.

第2/3相既治療PublishedUpdated May 2026
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値10.4 / 12.7 / 8.5ヶ月
OS HR0.71 / 0.61
PFS中央値3.9 / 4.0 / 4.0ヶ月
PFS HR0.88 / 0.79
奏効割合18% / 18% / 9%
登録例数1034例

背景

非小細胞肺癌の治療では分子標的薬が進歩してきているが、標的になる遺伝子変異を有する症例は限られている。ドライバー変異陰性非小細胞肺癌におけるプラチナ併用化学療法増悪後の2次治療の標準治療は長らくドセタキセル(DOC)単剤であった。ペムブロリズマブ(Pemb)はヒト化IgG4抗PD-1抗体で、PD-1を阻害することで抗腫瘍免疫効果を発揮する免疫チェックポイント阻害薬である。非小細胞肺癌を対象とした第1b相試験であるKEYNOTE-001を受け、プラチナ併用化学療法増悪後の非小細胞肺癌の2次治療においてPemb単剤とDOC単剤を比較する第2/3相試験である本試験(KEYNOTE-010)が行われた。

シェーマ

KEYNOTE-010 試験シェーマ

PD-L1発現陽性既治療非小細胞肺癌

n=1034

1:1:1
非盲検
R
優越性試験

ペムブロリズマブ 2mg/kg(n=345)

day 1 3週毎

ペムブロリズマブ 10mg/kg(n=346)

day 1 3週毎

ドセタキセル 75mg/m²(n=343)

day 1 3週毎

主な適格基準

18歳以上

プラチナ併用化学療法による治療歴を有する

ECOG PS 0–1

PD-L1 TPS*≧1%

注記

EGFR遺伝子変異ないしALK融合遺伝子を有する場合は、該当する分子標的薬による治療歴を有する

層別化因子:ECOG PS(0 vs 1)、地域(東アジア vs それ以外)

* TPS(tumor proportion score):PD-L1を発現している腫瘍細胞の割合

** PembからDOCへのクロスオーバーは認められない

統計学的事項

主要評価項目:

本試験の主要評価項目は、全体集団 (PD-L1発現陽性; TPS≧1%) およびPD-L1発現強陽性集団 (TPS≧50%) それぞれにおける、全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)とした。本試験はDOC群を対照群とし、全体集団におけるPemb群のOSのハザード比 (HR) が0.7、TPS≧50%集団におけるPemb群のOSのHRが0.55となることを検証する優越性試験として設計された。検出力を80%、片側α=0.00825と設定すると、550イベントが必要と見込まれ、16か月の登録期間、8か月のフォローアップ期間から920例が必要と計算された。登録数はイベント数に応じて変更され、TPS≧50%の集団で3群合計200イベントが発生するまで登録が行われた。試験全体のαを片側2.5% (PFSに0.35%、OSに2.15%が割り当てられた) とし、それぞれのエンドポイントに対して多重性の調整 (Hochberg法, Bonferroni法, ゲートキーピング法) が行われた。ゲートキーピング法を用いて、PD-L1発現強陽性集団 (TPS≧50%) の解析で統計的有意差がついた場合、その有意水準は全体集団 (TPS≧1%) に対する解析に再分配された。OSの最終解析については、PFSの解析結果 (中間解析および最終解析) に応じて、TPS≧50%と全体集団のそれぞれで0.825-1%の有意水準を用いて検定が行われた。

試験結果

2013年8月~2015年2月の期間に202施設から1034例が登録され、Pemb2mg/kg群に345例、Pemb10mg/kg群に346例、DOC群に343例が割付けられた。

患者背景は各群で差を認めなかった。

フォローアップ期間中央値は全群で13.1か月であった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

全体集団(TPS≧1%)において、Pemb2mg/kg、Pemb10mg/kgのいずれの用量でもDOC群と比較して有意にOSの延長を認めた。

TPS≧50%の集団において、Pemb2mg/kg (14.9ヶ月 vs 8.2ヶ月; HR 0.54[95%CI 0.38-0.77]; p=0.0002), 10mg/kg (17.3ヶ月 vs 8.2ヶ月; HR 0.5 [95%CI 0.36-0.70]; p<0.0001) のいずれの用量でもDOC群と比較してOSを有意に延長した。

群中央値95%信頼区間
Pemb 2mg/kg(n=345)10.4ヶ月9.4–11.9HR 0.71 (95%CI 0.58–0.88) p=0.0008
DOC(n=343)8.5ヶ月7.5–9.8
群中央値95%信頼区間
Pemb 10mg/kg(n=346)12.7ヶ月10.0–17.3HR 0.61 (95%CI 0.49–0.75) p<0.0001
DOC(n=343)8.5ヶ月7.5–9.8

2. 無増悪生存期間

全体集団(TPS≧1%)において、PFSはいずれも有意差をみとめなかった。

TPS≧50%の集団において、Pemb2mg/kg (5.0ヶ月 vs 4.1ヶ月; HR 0.59[95%CI 0.44-0.78]; p=0.0001), 10mg/kg (5.2ヶ月 vs 4.1ヶ月; HR 0.59 [95%CI 0.45-0.78]; p<0.0001) のいずれの用量でもDOC群と比較してPFSを有意に延長した。

群中央値95%信頼区間
Pemb 2mg/kg(n=345)3.9ヶ月3.1–4.1HR 0.88 (95%CI 0.74–1.05) P=0.07
DOC(n=343)4.0ヶ月3.1–4.2
群中央値95%信頼区間
Pemb 10mg/kg(n=346)4.0ヶ月2.7–4.3HR 0.79 (95%CI 0.66–0.94) P=0.004
DOC(n=343)4.0ヶ月3.1–4.2

3. 奏効割合

全体集団(TPS≧1%)において、Pemb2mg/kg、Pemb10mg/kgのいずれの用量でもDOCと比較して奏効割合が有意に高かった。

群奏効割合
Pemb 2mg/kg18%p=0.0005
Pemb 10mg/kg18%p=0.0002
DOC9%

4. 有害事象

有害事象PEMB 2MG/KG(N=339)PEMB 10MG/KG(N=343)DOC(N=309)
Any gradeGrade 3–5Any gradeGrade 3–5Any gradeGrade 3–5
全有害事象215(63%)43(13%)226(66%)55(16%)251(81%)109(35%)
いずれかの群で≧10%で起こる有害事象
食思不振46(14%)3(1%)33(10%)1(<1%)49(16%)3(1%)
疲労46(14%)4(1%)49(14%)6(2%)76(25%)11(4%)
悪心37(11%)1(<1%)31(9%)2(1%)45(15%)1(<1%)
皮疹29(9%)1(<1%)44(13%)1(<1%)14(5%)0(0%)
下痢24(7%)2(1%)22(6%)0(0%)56(18%)7(2%)
無力症20(6%)1(<1%)19(6%)2(1%)35(11%)6(2%)
口内炎13(4%)0(0%)7(2%)1(<1%)43(14%)3(1%)
貧血10(3%)3(1%)14(4%)1(<1%)40(13%)5(2%)
脱毛3(1%)0(0%)2(1%)0(0%)101(33%)2(1%)
好中球減少症1(<1%)0(0%)1(<1%)0(0%)44(14%)38(12%)
PEMB群で2例以上に発生した注目すべき有害事象
甲状腺機能低下症28(8%)0(0%)28(8%)0(0%)1(<1%)0(0%)
肺臓炎16(5%)7(2%)15(4%)7(2%)6(2%)2(1%)
甲状腺機能亢進症12(4%)0(0%)20(6%)1(<1%)3(1%)0(0%)
大腸炎4(1%)3(1%)2(1%)1(<1%)0(0%)0(0%)
皮膚障害4(1%)3(1%)7(2%)6(2%)2(1%)2(1%)
膵炎3(1%)2(1%)0(0%)0(0%)0(0%)0(0%)
副腎不全2(1%)0(0%)3(1%)1(<1%)0(0%)0(0%)
筋炎2(1%)0(0%)1(<1%)0(0%)1(<1%)0(0%)
甲状腺炎2(1%)0(0%)0(0%)0(0%)0(0%)0(0%)
自己免疫性肝炎1(<1%)1(<1%)2(1%)0(0%)0(0%)0(0%)
下垂体機能低下症1(<1%)1(<1%)1(<1%)1(<1%)0(0%)0(0%)
1型糖尿病1(<1%)1(<1%)2(1%)1(<1%)0(0%)0(0%)

5. サブ解析

サブグループ解析では、性別や年齢、PSなどにかかわらずPemb群でOSが良好な傾向を示した。

EGFR遺伝子陽性サブグループではOSはHR0.88 (95%CI 0.45-1.70) であったが、PFSはHR 1.79 (95%CI 0.94-3.42) とDOC群で良好であった。

結語

PD-L1陽性の既治療進行非小細胞肺癌において、Pembは2mg/kg群、10mg/kg群のいずれにおいてもDOC群と比較し全生存期間を延長した。Pembの有害事象としては、免疫関連有害事象が特徴的であったが、毒性は許容される範囲であった。

執筆・監修

執筆:慶應義塾大学病院 呼吸器内科 助教 堀内 康平 先生 監修:順天堂大学大学院 医学研究科 呼吸器内科学 助教 朝尾 哲彦 先生

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