Clinical Trial

FLAURA

肺癌

Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer

Soria JC, Ohe Y, Vansteenkiste J, et al. N Engl J Med. 2018;378(2):113-125.

第3相一次治療PublishedUpdated May 2026
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値18.9ヶ月 vs 10.2ヶ月
PFS HR0.46
CNS転移ありPFS15.2ヶ月 vs 9.6ヶ月
OS HR0.63
奏効割合80% vs 76%
登録例数556例

背景

未治療EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対する一次治療として、第一世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬であるゲフィチニブやエルロチニブ、第二世代EGFR-TKIであるアファチニブが標準治療となっている。第三世代EGFR-TKIであるオシメルチニブは、第一世代、第二世代EGFR-TKIに対する耐性例の約50%で認められるEGFR T790M変異陽性例に対して有効であることが知られている。しかし、オシメルチニブを一次治療で使用した場合の有効性はまだ検証されていない。この試験では、EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療として、オシメルチニブと標準治療であるゲフィチニブまたはエルロチニブの有効性を比較した第3相試験である。

シェーマ

EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌556例を対象に、二重盲検下でオシメルチニブ群と標準EGFR-TKI群へ1:1で無作為化された。

FLAURA 試験シェーマ

EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌

n=556

二重盲検
1:1
R

オシメルチニブ群(n=279)

オシメルチニブ 80mg 1日1回

標準EGFR-TKI群(n=277)

ゲフィチニブ 250mg 1日1回
またはエルロチニブ 150mg 1日1回

主な適格基準

局所進行または転移性NSCLC

EGFR ex19del または L858R が陽性

前治療歴がない

18歳以上

ECOG PS 0–1

層別化因子:人種、EGFR遺伝子変異の種類

統計学的事項

本試験の主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目は全生存期間(OS)、客観的奏効割合、奏効期間、病勢制御割合、安全性とした。層別化因子は、人種(アジア人 vs 非アジア人)、EGFR遺伝子変異の種類(ex19del vs L858R)とした。両側αが5%でハザード比0.71を検出力90%で検出するためには、両群の症例数を530例、進行または死亡のイベントが359例で必要であった。有効性のデータカットオフは2017年6月12日とした。

試験結果

2014年12月~2016年3月に29か国132施設から556症例が登録され、OSI群に279例、標準治療群に277例が割り付けられた。標準治療群では、GEF投与例が183例、ERL投与例が94例であった。総投与期間の中央値はOSI群で16.2か月、標準治療群で11.5か月であった。標準治療群のうち、55例で後治療としてOSIが投与された。

1. PFS(主要評価項目)

OSI群は標準治療群と比較してPFSを有意に延長した。PFSの追跡期間中央値はOSI群15.0ヵ月、標準治療群9.7ヵ月であった。

全症例中央値95%信頼区間
OSI群18.9ヶ月15.2−21.4ヵ月HR 0.46 (95%CI 0.37−0.57) P<0.001
標準治療群10.2ヶ月9.6−11.1ヵ月

2. 中枢神経転移のある症例のPFS

中枢神経転移のある症例においても、OSI群でPFS延長が認められた。

全症例中央値95%信頼区間
OSI群15.2ヶ月12.1−21.4ヵ月HR 0.47 (95%CI 0.30−0.74) P<0.001
標準治療群9.6ヶ月7.0−12.4ヵ月

3. 中枢神経転移のない症例のPFS

中枢神経転移のない症例においても、OSI群でPFS延長が認められた。

全症例中央値95%信頼区間
OSI群19.1ヶ月15.2−23.5ヵ月HR 0.46 (95%CI 0.36−0.59) P<0.001
標準治療群10.9ヶ月9.6−12.3ヵ月

4. OS

全生存期間は、OSI群で良好な傾向を示した。

全症例中央値95%信頼区間
OSI群NCNC−NCHR 0.63 (95%CI 0.45−0.88) P=0.007
標準治療群NCNC−NC

5. 客観的奏効割合

客観的奏効割合はOSI群80%、標準治療群76%であった。

全症例奏効割合95%信頼区間
OSI群80%75−85%オッズ比 1.27 (95%CI 0.85−1.90) P=0.24
標準治療群76%70−81%

6. 病勢制御割合

病勢制御割合はOSI群97%、標準治療群92%であった。

全症例病勢制御割合95%信頼区間
OSI群97%94−99%オッズ比 2.78 (95%CI 1.25−6.78) P=0.01
標準治療群92%89−95%

7. 奏効期間

奏効期間中央値はOSI群17.2ヶ月、標準治療群8.5ヶ月であった。

全症例奏効期間中央値95%信頼区間
OSI群17.2ヶ月13.8−22.0ヵ月
標準治療群8.5ヶ月7.3−9.8ヵ月

8. 有害事象

OSI群および標準治療群で認められた有害事象の内訳を示す。

有害事象OSI群(N=278)標準治療群(N=277)
Any
Grade
Grade
1
Grade
2
Grade
3
Grade
4
Any
Grade
Grade
1
Grade
2
Grade
3
Grade
4
すべての有害事象273(98%)34(12%)144(52%)83(30%)6(2%)271(98%)22(8%)125(45%)103(37%)11(4%)
皮疹またはざ瘡様皮疹161(58%)134(48%)24(9%)3(1%)0216(78%)110(40%)87(31%)19(7%)0
下痢161(58%)120(43%)35(13%)6(2%)0159(57%)116(42%)35(13%)6(2%)0
皮膚乾燥100(36%)87(31%)12(4%)1(<1%)0100(36%)76(27%)21(8%)3(1%)0
爪囲炎97(35%)52(19%)44(16%)1(<1%)091(33%)55(20%)34(12%)2(1%)0
口内炎80(29%)65(23%)13(5%)1(<1%)1(<1%)56(20%)47(17%)8(3%)1(<1%)0
食欲不振56(20%)27(10%)22(8%)7(3%)052(19%)25(9%)22(8%)5(2%)0
掻痒症48(17%)40(14%)7(3%)1(<1%)043(16%)30(11%)13(5%)00
咳嗽46(10%)34(12%)12(4%)0042(15%)25(9%)16(6%)1(<1%)0
便秘42(15%)33(12%)9(3%)0035(13%)28(10%)7(3%)00
悪心39(14%)28(10%)11(4%)0052(19%)32(12%)19(7%)00
疲労38(14%)21(8%)15(5%)2(1%)033(12%)23(8%)8(3%)2(1%)0
呼吸困難35(13%)24(9%)10(4%)1(<1%)020(7%)8(3%)8(3%)3(1%)0
貧血34(12%)19(7%)12(4%)3(1%)025(9%)18(6%)4(1%)3(1%)0
頭痛33(12%)26(9%)6(2%)1(<1%)019(7%)12(4%)7(3%)00
嘔吐31(11%)25(9%)6(2%)0029(10%)22(8%)3(1%)4(1%)0
上気道感染28(10%)16(6%)12(4%)0018(6%)9(3%)9(3%)00
発熱28(10%)27(10%)1(<1%)0011(4%)8(3%)2(1%)1(<1%)0
QT延長28(10%)11(4%)11(4%)5(2%)1(<1%)11(4%)6(2%)3(1%)2(1%)0
AST増加26(9%)18(6%)6(2%)2(1%)068(25%)38(14%)18(1%)12(4%)0
脱毛20(7%)17(6%)3(14.3%)0035(13%)31(11%)4(1%)00
ALT増加18(6%)11(4%)6(2%)1(<1%)075(27%)31(11%)19(7%)21(8%)4(1%)

結語

EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療において、OSI群は標準治療群(GEFまたはERL)と比較して有意にPFSを延長した。

執筆・監修

執筆:横浜市立大学附属病院 呼吸器病学教室 久保 創介 先生 監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

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