Clinical Trial

KEYNOTE-024

肺癌

Pembrolizumab versus Chemotherapy for PD-L1–Positive Non–Small-Cell Lung Cancer

Reck M et al. N Engl J Med. 2016;375:1823-33.

NEW第3相一次治療PublishedUpdated Jun 2026
PubMed

主要結果サマリ

PFS中央値10.3 / 6.0ヶ月
PFS HR0.50
6ヶ月OS率80.2% / 72.4%
OS HR0.60
奏効割合44.8% / 27.8%
Grade3以上TRAE26.6% / 53.3%

背景

ペムブロリズマブ(Pemb)はPD-1に対するヒト化モノクローナル抗体である。第1相試験であるKEYNOTE-001試験では、PD-L1を高発現する非小細胞肺癌(NSCLC)に対してPembは抗腫瘍効果が高いことが示されている。また、第2/3相試験であるKEYNOTE-010試験では、PD-L1陽性進行期NSCLCの二次治療において、ドセタキセル単剤と比較しPembは有意に全生存期間の延長を認め、PD-L1発現スコア(TPS)≧50%でより効果が高いことが示されている。本試験は、PD-L1 TPS≧50%の進行期NSCLCの一次治療において、標準治療であるプラチナ併用化学療法とPembを比較した第3相試験である。

シェーマ

KEYNOTE-024 試験シェーマ

非小細胞肺癌(NSCLC)

n=305

非盲検
R
1:1

ペムブロリズマブ 200mg(n=154)

day1 3週毎 最大35サイクル

プラチナ併用化学療法(n=151)

シスプラチン 75mg/m² day1
+ ペメトレキセド 500mg/m² day1 またはゲムシタビン 1250mg/m² day1, 8
カルボプラチン(AUC 5 または 6)day1
+ ペメトレキセド 500mg/m² day1 またはゲムシタビン 1250mg/m² day1, 8 またはパクリタキセル 200mg/m² day1
3週毎 4–6サイクル
※ペメトレキセドは維持治療可
※Pembのクロスオーバーあり

主な適格基準

前治療歴のない進行期NSCLC

18歳以上

EGFR遺伝子変異なし、ALK融合遺伝子が陰性

ECOG PS 0–1

PD-L1 TPS ≧50%

統計学的事項

主要評価項目: 本試験の主要評価項目は無増悪生存期間、副次評価項目は全生存期間、客観的奏効割合、安全性、探索的評価項目は奏効期間とした。試験全体のTypeⅠエラーはαを片側2.5%と設定し、2回の中間解析と最終解析を行う予定であった。1回目の中間解析は、191例目の症例が無作為化されてから6か月経過した時点で行われ、αを片側0.5%として客観的奏効割合の解析が行われた。2回目の中間解析は、約175例の進行または死亡のイベントが観察された時点でαを片側2.0%として優越性の検証が行われた。無増悪生存期間に関して優越性があると判断された場合、グループ逐次デザインで死亡症例が110例、さらに170例観察された際の2回において、Pemb群の優越性を検証するために、全生存期間における検定を実施することとされた。

Pemb群のプラチナ併用化学療法群に対する進行または死亡のハザード比0.55を検出するために、175例のイベントの観察により検出力は97%が確保されると算出した。死亡のイベントについては、αを片側1.18%、Pemb群のプラチナ併用化学療法群に対する死亡のハザード比を0.65と設定すると検出力は約40%であると算出された。2016年5月9日をカットオフとされた2回目の中間解析では、189例の無増悪生存イベント、108例の死亡イベントが観察された。結果、事前に設定した片側α1.18%でPemb群がプラチナ併用化学療法群と比較して有意に全生存期間を延長することが示され、本試験は早期中止となった。本論文のデータは第2回中間解析結果に基づいたものである。

試験結果

2014年9月19日〜2015年10月29日に登録が行われた。102施設の305例が登録され、Pemb群154例、プラチナ併用化学療法群151例に無作為に割り付けた。

Pemb群では、プラチナ併用化学療法群と比較し非喫煙者が多く(12.6% vs 3.2%)、脳転移症例が多かった(11.7% vs 6.6%)。その他の臨床背景では両群に大きな違いは見られなかった。

有効性解析のデータカットオフは2016年5月9日で、フォローアップ期間の中央値は11.2ヶ月であった。

プラチナ併用化学療法群の内66例でPembへのクロスオーバーがされ、その内38例(57.6%)でPembが継続されていた。

1. 無増悪生存期間(主要評価項目)

群中央値95%信頼区間
Pemb群10.3ヶ月6.7–NR*HR 0.50 (0.37–0.68) P<0.001
プラチナ併用化学療法群6.0ヶ月4.2–6.2

*NR: not reached

無増悪生存期間のサブグループ解析では、女性、現喫煙者、非喫煙者、脳転移ありの群でハザード比の95%信頼区間が1をまたいでいたが、いずれのサブグループでもPemb群で良好な結果であった。

2. 全生存割合

群6ヶ月生存率95%信頼区間
Pemb群80.2%72.9–85.7HR 0.60 (0.41–0.89) p=0.005
プラチナ併用化学療法群72.4%64.5–78.9

3. 客観的奏効割合

群中央値95%信頼区間
Pemb群44.8%36.8–53.0
プラチナ併用化学療法群27.8%20.8–35.7

4. 奏効までの期間及び奏効期間

群奏効までの期間中央値範囲奏効期間中央値範囲
Pemb群2.2ヶ月1.4–8.2NR*1.9+**–14.5+
プラチナ併用化学療法群2.2ヶ月1.8–12.26.3ヶ月2.1+–12.6+

*NR: not reached **「+」はデータカットオフの時点で病勢増悪がみられないことを示す(追跡期間中央値:11.2ヵ月)

5. 有害事象

有害事象Pemb群(N=154)プラチナ併用化学療法群(N=150)
Any gradeGrade 3,4,5Any gradeGrade 3,4,5
治療関連有害事象
全有害事象113(73.4%)41(26.6%)135 (90.0%)80 (53.3%)
重篤な有害事象33(21.4%)29(18.8%)31(20.7%)29(19.3%)
治療中止につながった有害事象11(7.1%)8(5.2%)16(10.7%)9(6.0%)
死亡につながった有害事象1(0.6%)1(0.6%)3(2.0%)3(2.0%)
10%以上に生じた有害事象
悪心15(9.7%)065(43.3%)3(2.0%)
貧血8(5.2%)3(1.9%)66(44.0%)29(19.3%)
倦怠感16(10.4%)2(1.3%)43(28.7%)4(3.3%)
食思不振14(9.1%)039(26.0%)4(2.7%)
下痢22(14.3%)6(3.9%)20(13.3%)2(1.3%)
好中球減少症1(0.6%)034(22.7%)20(13.3%)
嘔吐4(2.6%)1(0.6%)30(20.0%)1(0.7%)
発熱16(10.4%)08(5.3%)0
便秘6(3.9%)017(11.3%)0
口内炎4(2.6%)018(12.0%)2(1.3%)
好中球数減少0020(13.3%)6(4.0%)
クレアチニン上昇3(1.9%)015(10.0%)1(0.7%)
血小板数減少0018(12.0%)1(0.7%)
血小板減少症0017(11.3%)8(5.3%)
白血球数減少1(0.6%)016(10.7%)3(2.0%)
味覚障害1(0.6%)015(10.0%)0
免疫関連有害事象
全有害事象45(29.2%)15(9.7%)7(4.7%)1(0.7%)
甲状腺機能低下症14(9.1%)02(1.3%)0
甲状腺機能亢進症12(7.8%)02(1.3%)0
肺臓炎9(5.8%)4(2.6%)1(0.7%)1(0.7%)
インヒュージョンリアクション7(4.5%)02(1.3%)0
重症皮膚反応6(3.9%)6(3.9%)00
甲状腺炎4(2.6%)000
大腸炎3(1.9%)2(1.3%)00
筋炎3(1.9%)000
下垂体炎1(0.6%)1(0.6%)00
腎炎1(0.6%)1(0.6%)00
膵炎1(0.6%)1(0.6%)00
Ⅰ型糖尿病1(0.6%)1(0.6%)00

Grade3以上の治療関連有害事象が起きた症例は、Pemb群で41例(26.6%)、プラチナ併用化学療法群で80例(53.3%)であった。死亡例(Grade5)の原因として、Pemb群で原因不明が1例、プラチナ併用化学療法群で敗血症が1例、肺胞出血が1例、原因不明が1例であった。

Grade3以上の免疫関連有害事象が起きた症例は、Pemb群で15例(9.7%)。プラチナ併用化学療法群で1例(0.7%)であった。死亡例(Grade5)は両群とも認めなかった。

結語

ALK遺伝子転座またはEGFR遺伝子変異のない、PD-L1 TPS≧50%の進行非小細胞肺癌患者の一次治療において、Pemb群はプラチナ併用化学療法群と比較して有意に無増悪生存期間、及び全生存期間を延長した。

執筆・監修

執筆:横浜市立大学附属病院 呼吸器病学教室 久保 創介 先生 監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

Trial Pulse

この記事を読んだ先生にお聞きします

関連情報