LBA479/4104肝臓癌ASCO-GI(米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム)2026/ASCO(米国臨床腫瘍学会)2026年次総会アップデート関連試験:CheckMate 9DW
2026年9月

CheckMate 9DWアップデート:Nivolumab+Ipilimumabの4年生存率は31%―深い奏効と長期無治療生存を確認

CheckMate 9DW update: 4-year follow-up, depth of response, and outcomes in long-term survivors

First Author:Peter R. Galle; Aiwu R. He, et al.
関連する臨床試験サマリ:CheckMate 9DW

今回のアップデート

4年時点でもOS利益は維持され、48か月OS率は31%対18%。深い奏効と長期生存の関連、治療終了後も後治療を必要としない患者の存在が示されました。

CheckMate 9DWは、全身療法未治療の切除不能肝細胞癌を対象に、Nivolumab+IpilimumabをLenvatinibまたはSorafenibと比較した国際共同第III相試験です。

ASCO-GI(米国臨床腫瘍学会消化器癌シンポジウム)2026で4年追跡結果が報告され、続くASCO(米国臨床腫瘍学会)2026年次総会では、腫瘍縮小の深さとOSの関係、および4年以上生存した患者の治療経過が追加解析されました。

本記事では、初回解析から4年追跡までの変化、奏効深度、長期生存者、日本人サブグループ、安全性を一つのアップデートとして整理します。

試験デザイン

試験番号NCT04039607/CA209-9DW/ONO-4538-92
試験デザイン国際共同、多施設、無作為化、非盲検、第III相
対象全身療法未治療の切除不能肝細胞癌
主な適格条件Child-Pugh分類A、ECOG PS 0~1
登録数668例(無作為化:NIVO+IPI群335例、LEN/SOR群333例)
試験群Nivolumab 1 mg/kg+Ipilimumab 3 mg/kgを3週ごとに最大4回、その後Nivolumab 480 mgを4週ごと
対照群医師選択のLenvatinibまたはSorafenib
対照群の内訳Lenvatinib 85%、Sorafenib 15%
安全性解析集団投与例:NIVO+IPI群332例、LEN/SOR群325例
主要評価項目全生存期間(OS)
4年解析の追跡期間中央値52.5か月(範囲44.0~66.1か月)

4年追跡でもOS利益を維持

OS中央値

23.7 vs 20.6か月

NIVO+IPI vs LEN/SOR

OS HR

0.78

95%CI 0.65–0.93

48か月OS率

31% vs 18%

13ポイント差

追跡期間中央値

52.5か月

4年追跡解析

初回解析のOS HRは0.79でしたが、追跡期間が延長された4年解析でもHR 0.78と効果はほぼ変わりませんでした。OS中央値の差だけでなく、48か月時点で生存率の差が維持されたことが今回の重要な更新点です。

項目NIVO+IPILEN/SOR補足
中央値OS23.7か月20.6か月HR 0.78
OS HR0.78—95%CI 0.65–0.93
24か月OS率50%39%長期生存率
36か月OS率39%25%長期生存率
48か月OS率31%18%4年時点のOS率

奏効率と奏効持続期間

Nivolumab+Ipilimumab群ではORRが高いだけでなく、奏効期間中央値は34.3か月でした。奏効例の37%では48か月以上にわたり奏効が持続していました。

項目NIVO+IPILEN/SOR補足
ORR36%13%RECIST 1.1 / BICR
CR8%2%完全奏効
PR28%11%部分奏効
DoR中央値34.3か月12.9か月奏効持続期間
48か月以上DoR割合37%12%奏効例における長期持続

腫瘍縮小の深さとOS

ASCO(米国臨床腫瘍学会)2026年次総会では、BICR判定によるベースラインからの最大腫瘍径変化とOSの関係が探索的に解析されました。両群とも腫瘍縮小が深いほどOSが長い傾向を示し、30%以上縮小した患者ではNivolumab+Ipilimumab群でその傾向がより明確でした。

最大腫瘍径変化NIVO+IPILEN/SOR補足
60~100%縮小未到達未到達両群で長期生存
30~60%縮小31.1か月20.9か月NIVO+IPI群でより長い傾向
30%未満縮小~20%未満増大17.0か月20.5か月明確な群間差なし
20%以上増大14.3か月7.8か月探索的解析

奏効深度は治療後に得られた結果で患者を分類した探索的解析です。「深い奏効が長期生存の原因である」と断定したり、治療開始時に長期生存を予測したりするデータではありません。

4年以上生存した患者の解析

4年以上生存した患者はNivolumab+Ipilimumab群62例、対照群33例でした。Nivolumab+Ipilimumab群の長期生存者ではORR 76%、CR率21%で、42%が試験治療終了後も後治療を受けずに経過していました。

項目NIVO+IPILEN/SOR
4年以上生存者62例33例
長期生存者のORR76%24%
長期生存者のCR率21%6%
奏効期間中央値未到達未到達
無治療期間中央値23.3か月0.5か月
治療終了後、後治療なし26例(42%)2例(6%)

長期生存者の解析分母:NIVO+IPI群62例、LEN/SOR群33例。

Nivolumabの投与期間は最長2年であり、治療終了後にも効果が持続する患者が存在することを示唆します。ただし、すでに4年以上生存した患者だけを対象とした記述的・探索的解析である点に注意が必要です。

日本人サブグループ

日本人56例の解析でも全体集団と整合する傾向がみられました。もっとも、症例数が少なく、OS HRの95%CIは1をまたぐため、日本人集団だけで統計学的優越性が証明された結果ではありません。

項目NIVO+IPILEN/SOR
症例数25例31例
OS中央値未到達32.0か月
OS HR0.64(95%CI 0.27–1.50)—
36か月OS率64%40%
ORR56%16%
CR率16%0%
Grade 3/4 TRAE50%65%

日本人集団は全体集団よりECOG PS 0、HCV関連、BCLC stage B以下の割合が高く、対照群の94%がLenvatinibを使用していました。患者背景の違いを踏まえた解釈が必要です。

安全性アップデート

4年追跡の抄録では新たな安全性シグナルは報告されませんでした。初回解析ではGrade 3/4 TRAEの頻度は両群で同程度でしたが、TRAEによる治療中止はNivolumab+Ipilimumab群で多く認められました。

項目NIVO+IPILEN/SOR補足
全Grade TRAE83%91%治療関連有害事象
Grade 3/4 TRAE137例(41%)138例(42%)重症度の高いTRAE
TRAEによる治療中止18%10%全Grade
Grade 3/4 TRAEによる治療中止13%6%Grade 3/4
治療関連死12例3例Lancet初回解析

安全性解析の分母は投与を受けたNIVO+IPI群332例、LEN/SOR群325例。治療関連死12例/3例はLancet初回解析の報告値です。4年追跡の抄録に更新後の累積死亡数の記載は確認できず、新規の治療関連死がなかった、または累積値が不変だったことを意味しません。

免疫関連有害事象への注意

免疫介在性肝炎、大腸炎・下痢、間質性肺疾患、内分泌障害などの早期発見と介入が重要です。肝細胞癌では、原疾患による肝機能異常と免疫介在性肝障害の鑑別が必要になります。

国内での位置づけ

日本では2025年6月24日、Nivolumab+Ipilimumab併用療法が「切除不能な肝細胞癌」に対して承認されました。

CheckMate 9DWの対照はLenvatinibまたはSorafenibであり、Atezolizumab+BevacizumabやDurvalumab+Tremelimumab(STRIDE)との直接比較ではありません。交差試験比較から一次治療間の優劣を判断することはできません。

抗VEGF薬を含まないこと、高いORRと長い奏効期間は治療選択上の特徴となりますが、早期進行リスク、肝予備能、免疫関連有害事象への対応力を含めた患者選択が重要です。

解釈上の注意点

  • 1

    4年追跡および長期生存者解析は現時点で学会抄録であり、査読付き原著論文の全文公表は確認されていません。

  • 2

    対象はChild-Pugh分類A、ECOG PS 0~1で、Vp4門脈腫瘍栓を有する患者は除外されています。

  • 3

    OS曲線は早期に交差しており、治療開始後早期にはNivolumab+Ipilimumab群で死亡リスクが高かったことが初回解析で報告されています。

  • 4

    長期生存者解析と奏効深度解析は探索的であり、治療開始前の患者選択に直接用いることはできません。

  • 5

    現在の主要な免疫療法併用レジメンとの直接比較データはありません。

まとめ

CheckMate 9DWの4年追跡解析では、Nivolumab+IpilimumabのOS利益が維持され、48か月OS率は31%と、Lenvatinib/Sorafenib群の18%を上回りました。

奏効期間中央値は34.3か月で、4年以上生存した患者の42%は試験治療終了後も後治療を受けずに経過していました。長期奏効を得る患者が存在することは、本レジメンの重要な特徴と考えられます。

一方、早期の病勢進行、免疫関連有害事象、試験対象の選択性、他の免疫療法との直接比較がないことを踏まえ、実臨床では患者ごとの病勢と肝予備能に応じた選択が必要です。

Trial Pulse

この記事を読んだ先生にお聞きします

References

  1. Yau T, Galle PR, Decaens T, et al. Nivolumab plus ipilimumab versus lenvatinib or sorafenib as first-line treatment for unresectable hepatocellular carcinoma: CheckMate 9DW. Lancet. 2025;405:1851–1864. PMID 40349714/DOI
  2. Galle PR, Sangro B, Decaens T, et al. CheckMate 9DW: 4-year follow-up. J Clin Oncol. 2026;44(suppl 2):LBA479. 原抄録
  3. He AR, Galle PR, Sangro B, et al. Overall survival by depth of response and outcomes in long-term survivors. J Clin Oncol. 2026;44(suppl 16):4104. 原抄録
  4. Kudo M, et al. CheckMate 9DW Japanese subgroup analysis. Liver Cancer. 2026;15:381–393. PMID 42338692

執筆・公開情報

執筆:OncoTribune編集部
公開:2026年9月

本記事は、公開された学会演題情報をもとにOncoTribune編集部が医療従事者向けに整理したものです。診療判断の代替を目的とするものではありません。