Clinical Trial

HIMALAYA

肝細胞癌

Tremelimumab plus Durvalumab in Unresectable Hepatocellular Carcinoma

Abou-Alfa GK, Lau G, Kudo M, et al. Tremelimumab plus Durvalumab in Unresectable Hepatocellular Carcinoma. NEJM Evidence 2022;1(8). DOI: 10.1056/evidoa2100070. [PubMed]

第3相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

主要評価項目OS
STRIDE OS16.43ヶ月
Sora OS13.77ヶ月
STRIDE OS HR0.78
Durva OS HR0.86
STRIDE ORR20.1%

基本情報

項目内容
対象疾患肝細胞癌
治療ライン一次治療
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域国際
日本の参加あり
試験名HIMALAYA
レジメンデュルバルマブ+トレメリムマブ vs デュルバルマブ vs ソラフェニブ
登録期間2017年10月〜2019年6月

背景

切除不能肝細胞癌に対する治療として、PD-1またはPD-L1阻害薬と様々なマルチキナーゼ阻害薬や血管内皮増殖因子(VEGF)阻害薬、細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)阻害薬の組み合わせが期待されている。これらのうちアテゾリズマブ(PD-L1阻害薬)+ベバシズマブ(VEGF阻害薬)はソラフェニブ(Sora)と比較して全生存期間の改善を示し、現在、切除不能肝細胞癌の1次治療として使用されている。

その他の組み合わせとして、腫瘍の免疫逃避機構を抑制し抗腫瘍免疫反応を誘発するPD-L1阻害薬と、T細胞を活性化させ、がんに対する免疫反応を増強し、がん細胞死を引き起こすCTLA-4阻害薬を同時に用いることで相補的な免疫賦活作用を示すことが期待されており、PD-L1阻害薬であるデュルバルマブ(Durva)とCTLA-4阻害薬であるトレメリムマブ(Treme)を組み合わせたレジメンの有用性を検証する第3相試験(HIMALAYA)が実施された。

HIMALAYAは、進行肝細胞癌の初回薬物療法症例を対象として、Treme 300mg 1回+Durva 1500mg 4週毎(STRIDE群)、Durva 1500mg 4週毎(Durva群)、Sora 400mg 1日2回(Sora群)、Treme 75mg 4週毎4回+Durva 4週毎(T75+D群)の4群を比較する第3相試験として始まったが、試験中に第2相試験であるStudy22の結果で、T75+Dレジメンが安全性では許容できるものの、Durva単剤と比べて有効性の点で有意差を認めないことが示されたため、T75+D群は中止となり、3群の比較試験となった。

シェーマ

HIMALAYA シェーマ

進行肝細胞癌(n=1171)
主な適格基準:初回薬物療法、ECOG PS 0-1、Child-Pugh A、Vp4は除外
R
非盲検 / 1:1:1:1
STRIDE群(n=393)
トレメリムマブ300mg 1回
+デュルバルマブ1500mg 4週毎
Durva群(n=389)
デュルバルマブ1500mg 4週毎
Sora群(n=389)
ソラフェニブ400mg 1日2回
T75+D群:試験途中で登録中止
トレメリムマブ75mg 4週毎4回
+デュルバルマブ1500mg 4週毎

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

主要評価項目は全生存期間で、STRIDE群はSora群に対する優越性の検証、Durva群はSora群に対する非劣性の検証である。副次評価項目は、無増悪生存期間、客観的奏効割合、奏効期間、患者報告アウトカム、安全性などであった。有効性の解析はIntent-to-treat解析で行われた。最終解析は、STRIDE群の優越性の検証で515人の死亡イベントがある場合に検出力は97%、ハザード比が0.70を設定した。Durvaの非劣性の検証は560人の死亡イベントがある場合に検出力は84%で、非劣性マージンを1.08未満と設定した。解析はCox比例ハザードモデルで、Log-rank検定で行われた。

試験結果

2017年10月から2019年6月にかけて、16カ国の181施設で1950例の患者をスクリーニングし、1171例の患者が登録され、393例がSTRIDE群に、389例がDurva群に、389例がSora群に割り付けられた。

患者背景に大きな差は認められなかった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

レジメンイベント, no. (%)中央値(95%信頼区間)HR(95%CI)
STRIDE群(n=393)262 (66.7%)16.43か月(14.16-19.58)0.78(0.65-0.93)
Durva群(n=389)280 (72.0%)16.56か月(14.06-19.12)0.86(0.73-1.03)
Sora群(n=389)293 (75.3%)13.77か月(12.25-16.13)-

2. 無増悪生存期間

レジメンイベント, no. (%)中央値(95%CI)HR(95%CI)
STRIDE群(n=393)335 (85.2%)3.78か月(3.68-5.32)0.90(0.77-1.05)
Durva群(n=389)345 (88.7%)3.65か月(3.19-3.75)1.02(0.88-1.19)
Sora群(n=389)327 (84.1%)4.07か月(3.75-5.49)-

3. 奏効割合(RECIST1.1、担当医判定)

レジメン奏効割合(RECIST1.1)奏効までの期間中央値
95%CI
STRIDE群(n=393)20.1%(CR12例、PR67例)1.84-3.98
Durva群(n=389)17.0%(CR6例、PR60例)1.87-3.98
Sora群(n=389)5.1%(CR0例、PR20例)1.89-8.44

4. QOL・身体機能・役割機能低下までの期間(EORTC QLQ-C30)

レジメンイベント, no. (%)中央値(95%CI)HR(95%CI)
STRIDE群(n=302)142 (47.0%)7.5か月(5.82-10.84)0.76(0.61-0.96)
Durva群(n=319)153 (48.0%)7.4か月(5.68-9.33)0.77(0.62-0.96)
Sora群(n=323)162 (50.2%)5.7か月(4.80-7.39)-

5. 有害事象(NCI CTCAE ver.4.0)

n, (%)STRIDE(n=388)Durva(n=388)Sorafenib(n=374)
すべての有害事象 Any grade378 (97.4)345 (88.9)357 (95.5)
すべての有害事象 Grade 3/4196 (50.5)144 (37.1)196 (52.4)
免疫関連有害事象 Any grade139 (35.8)64 (16.5)-
免疫関連有害事象 Grade 3/449 (12.6)25 (6.4)-
ステロイドを使用した症例78 (20.1)37 (9.5)-
STRIDE群(n=388)Durva群(n=388)Sora群(n=374)
Any GradeGrade 3/4Any GradeGrade 3/4Any GradeGrade 3/4
下痢103 (26.5)17 (4.4)58 (14.9)6 (1.5)167 (44.7)16 (4.3)
便秘36 (9.3)042 (10.8)035 (9.4)0
腹痛46 (11.9)5 (1.3)37 (9.5)4 (1.0)63 (16.8)12 (3.2)
吐き気47 (12.1)037 (9.5)053 (14.2)0
掻痒感89 (22.9)056 (14.4)024 (6.4)1 (0.3)
発疹87 (22.4)6 (1.5)40 (10.3)1 (0.3)51 (13.6)4 (1.1)
脱毛2 (0.5)05 (1.3)053 (14.2)0
手足症候群3 (0.8)01 (0.3)0174 (46.5)34 (9.1)
AST上昇48 (12.4)20 (5.2)56 (14.4)26 (6.7)24 (6.4)12 (3.2)
ALT上昇36 (9.3)10 (2.6)44 (11.3)12 (3.1)20 (5.3)7 (1.9)
アミラーゼ上昇29 (7.5)14 (3.6)9 (2.3)3 (0.8)10 (2.7)4 (1.1)
ビリルビン上昇20 (5.2)3 (0.8)23 (5.9)7 (1.8)29 (7.8)8 (2.1)
γGTP上昇18 (4.6)8 (2.1)12 (3.1)7 (1.8)19 (5.1)7 (1.9)
リパーゼ上昇34 (8.8)24 (6.2)23 (5.9)16 (4.1)15 (4.0)11 (2.9)
食欲不振66 (17.0)5 (1.3)53 (13.7)2 (0.5)67 (17.9)3 (0.8)
無力症39 (10.1)7 (1.8)49 (12.6)8 (2.1)44 (11.8)10 (2.7)
疲労66 (17.0)8 (2.1)38 (9.8)071 (19.0)11 (2.9)
発熱50 (12.9)1 (0.3)36 (9.3)7 (1.8)33 (8.8)0
末梢性浮腫33 (8.5)2 (0.5)24 (6.2)1 (0.3)19 (5.1)0
咳嗽30 (7.7)031 (8.0)022 (5.9)1 (0.3)
不眠症40 (10.3)1 (0.3)21 (5.4)016 (4.3)0
甲状腺機能低下症47 (12.1)019 (4.9)016 (4.3)0
高血圧症23 (5.9)7 (1.8)17 (4.4)4 (1.0)68 (18.2)23 (6.1)
貧血36 (9.3)11 (2.8)29 (7.5)9 (2.3)33 (8.8)12 (3.2)
高カリウム血症20 (5.2)6 (1.5)20 (5.2)8 (2.1)13 (3.5)9 (2.4)
低カリウム血症13 (3.4)4 (1.0)9 (2.3)3 (0.8)12 (3.2)2 (0.5)
低ナトリウム血症21 (5.4)16 (4.1)12 (3.1)5 (1.3)15 (4.0)11 (2.9)

結語

切除不能肝細胞癌に対する一次治療として、STRIDE群はSora群に比較して、全生存期間を有意に延長した。Durva群は、全生存期間においてSora群に対して非劣性を示した。STRIDE群、Durva群はともに良好な安全性プロファイルを示した。

現在、日本の肝癌診療ガイドライン2021年度版(2023年5月30日改訂版)では、切除不能肝細胞癌に対する一次治療として、アテゾリズマブ+ベバシズマブ併用療法とSTRIDEレジメンはどちらも選択が可能と記載されており、これらのレジメンの使い分けやこれらの治療に不応/不耐な症例での最適な2次治療については、今後、検討が必要である。

執筆・監修

執筆:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 平 知尚 先生 監修:国立がん研究センター東病院 肝胆膵内科 科長 池田 公史 先生

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