Clinical Trial
CheckMate 9DW
肝細胞癌
Nivolumab plus ipilimumab versus lenvatinib or sorafenib as first-line treatment for unresectable hepatocellular carcinoma (CheckMate 9DW): an open-label, randomised, phase 3 trial
Yau T, Galle PR, Decaens T, et al. Lancet. 2025;405:1851-1864. [PubMed]
主要結果サマリ
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | 切除不能肝細胞癌 |
| 治療ライン | 一次治療 |
| 研究の相 | 第3相 |
| 主要評価項目 | 全生存期間 |
| 実施地域 | 国際(25ヵ国、163施設) |
| 日本の参加 | あり |
| 試験名 | CheckMate 9DW |
| レジメン | ニボルマブ+イピリムマブ vs レンバチニブまたはソラフェニブ |
| 登録期間 | 2020年1月〜2021年11月 |
背景
切除不能肝細胞癌では、ソラフェニブ、レンバチニブなどのマルチキナーゼ阻害薬に加え、免疫チェックポイント阻害薬を含む併用療法が一次治療として用いられている。しかし長期予後は依然として十分ではなく、より持続的な有効性を示す治療選択肢が求められている。
ニボルマブはPD-1阻害薬、イピリムマブはCTLA-4阻害薬であり、CheckMate 040ではソラフェニブ治療後の進行肝細胞癌においてニボルマブ+イピリムマブの有効性と管理可能な安全性が示されていた。本試験では、未治療の切除不能肝細胞癌に対する一次治療として、ニボルマブ+イピリムマブと医師選択のレンバチニブまたはソラフェニブが比較された。
シェーマ
CheckMate 9DW シェーマ
1:1
その後、ニボルマブ 480mg 4週毎
または ソラフェニブ 400mg 1日2回
統計学的事項
主要評価項目:全生存期間
副次評価項目は、盲検下独立中央判定(BICR)によるRECIST v1.1に基づく奏効割合、奏効期間、症状増悪までの期間であった。安全性、無増悪生存期間、次治療後無増悪生存期間、健康関連QOLなどは探索的評価項目として評価された。
本試験は、650例を1:1に無作為化し、少なくとも520件の全生存期間イベントが発生するまで追跡することで、平均ハザード比0.74を検出する検出力約87%、両側α=0.05として設計された。中間解析は少なくとも416件のOSイベントが観察された時点で実施する計画であった。
試験結果
2020年1月6日から2021年11月8日までに668例が無作為化され、335例がニボルマブ+イピリムマブ群、333例がレンバチニブまたはソラフェニブ群に割り付けられた。
安全性解析対象は657例であり、ニボルマブ+イピリムマブ群332例、レンバチニブまたはソラフェニブ群325例であった。対照群のうち、275例(85%)がレンバチニブ、50例(15%)がソラフェニブを投与された。
データカットオフは2024年1月31日、追跡期間中央値は35.2ヶ月であった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
| OS中央値 | 24ヶ月OS率 | 36ヶ月OS率 | ||
|---|---|---|---|---|
| ニボルマブ+イピリムマブ(n=335) | 23.7ヶ月 (18.8–29.4) | 49% (44–55) | 38% (32–43) | HR 0.79 (0.65–0.96) p=0.018 |
| レンバチニブまたはソラフェニブ(n=333) | 20.6ヶ月 (17.5–22.5) | 39% (34–45) | 24% (19–30) |
OS曲線の早期交差
全生存期間のKaplan–Meier曲線は早期に交差しており、無作為化後6ヶ月以内ではニボルマブ+イピリムマブ群で死亡リスクが高かった(HR 1.65、95%CI 1.12–2.43)。一方、6ヶ月以降はニボルマブ+イピリムマブ群で持続的なOS曲線の分離が認められた(HR 0.61、95%CI 0.48–0.77)。
2. 奏効割合・奏効期間
| ORR | CR | PR | DOR中央値 | 奏効までの期間中央値 | |
|---|---|---|---|---|---|
| ニボルマブ+イピリムマブ(n=335) | 121例 36% | 23例 7% | 98例 29% | 30.4ヶ月 (21.2–NE) | 2.2ヶ月 |
| レンバチニブまたはソラフェニブ(n=333) | 44例 13% | 6例 2% | 38例 11% | 12.9ヶ月 (10.2–31.2) | 3.7ヶ月 |
3. 無増悪生存期間
| PFS中央値 | 18ヶ月PFS率 | 24ヶ月PFS率 | ||
|---|---|---|---|---|
| ニボルマブ+イピリムマブ(n=335) | 9.1ヶ月 (6.6–10.5) | 34% (28–39) | 28% (23–34) | HR 0.87 (0.72–1.06) |
| レンバチニブまたはソラフェニブ(n=333) | 9.2ヶ月 (7.9–11.1) | 18% (13–24) | 12% (8–17) |
4. 有害事象
| ニボ+イピ n=332 | レンバチニブ またはソラフェニブ n=325 | |
|---|---|---|
| 全治療関連有害事象 | 141 (42%)G3/4 137 (41%) | 159 (49%)G3/4 138 (42%) |
| 治療関連有害事象による中止 | 15 (5%)G3/4 44 (13%) | 13 (4%)G3/4 21 (6%) |
| 掻痒 | 88 (27%)G3/4 5 (2%) | 10 (3%)G3/4 0 |
| 皮疹 | 58 (17%)G3/4 6 (2%) | 26 (8%)G3/4 3 (<1%) |
| ALT上昇 | 47 (14%)G3/4 16 (5%) | 16 (5%)G3/4 3 (<1%) |
| AST上昇 | 45 (14%)G3/4 20 (6%) | 25 (8%)G3/4 2 (<1%) |
| 下痢 | 43 (13%)G3/4 4 (1%) | 104 (32%)G3/4 10 (3%) |
| 甲状腺機能低下症 | 40 (12%)G3/4 0 | 79 (24%)G3/4 0 |
| 無力症 | 33 (10%)G3/4 1 (<1%) | 46 (14%)G3/4 5 (2%) |
| 高血圧 | 5 (2%)G3/4 0 | 96 (30%)G3/4 38 (12%) |
| 手足症候群 | 6 (2%)G3/4 0 | 88 (27%)G3/4 11 (3%) |
| 蛋白尿 | 0G3/4 0 | 48 (15%)G3/4 17 (5%) |
安全性上の注意点
Grade 3–4の治療関連有害事象は、ニボルマブ+イピリムマブ群で41%、レンバチニブまたはソラフェニブ群で42%であり、全体として同程度であった。一方、治療関連死亡はニボルマブ+イピリムマブ群で12例、レンバチニブまたはソラフェニブ群で3例に認められた。ニボルマブ+イピリムマブ群では免疫関連肝炎、肝不全、肝機能不全、非代償性肝硬変、下痢・大腸炎、自己免疫性溶血性貧血、自律神経障害などが報告された。
結語
CheckMate 9DW試験では、未治療の切除不能肝細胞癌患者において、ニボルマブ+イピリムマブは医師選択のレンバチニブまたはソラフェニブと比較して全生存期間を有意に延長した。安全性プロファイルは管理可能であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。本結果は、ニボルマブ+イピリムマブを切除不能肝細胞癌の一次治療選択肢として支持するものである。
執筆・監修
執筆:OncoTribune編集部 池渕貴裕 監修:
Trial Pulse
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