切除不能肝細胞癌患者において、奏効深度(DpR)と奏効期間(DoR)は全生存期間(OS)と関連する:IMbrave150の探索的解析
Depth of response (DpR) and duration of response (DoR) are associated with overall survival (OS) in patients with unresectable hepatocellular carcinoma (HCC): Exploratory analyses of IMbrave150
3分でわかる演題概要
IMbrave150試験の探索的解析として、切除不能肝細胞癌における奏効深度(DpR)および奏効期間(DoR)と全生存期間(OS)との関連が検討されました。
アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法では、より深い奏効を示した患者ほどOSおよびPFSが長い傾向が示されました。
本解析は、ORRだけでなく、DpRやDoRが一次治療における有効性評価の重要な指標となる可能性を示唆しています。
背景
IMbrave150試験は、切除不能肝細胞癌に対するアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法の有効性を確立した第III相試験です。
近年、免疫療法や分子標的治療では、単に奏効の有無だけでなく、腫瘍縮小の深さである奏効深度(DpR)や、奏効がどれくらい持続するかを示す奏効期間(DoR)が、患者予後と関連する可能性が注目されています。
本演題では、IMbrave150試験データを用いて、DpRおよびDoRとOSとの関連が探索的に解析されました。
対象と方法
IMbrave150試験に参加した切除不能肝細胞癌患者を対象に、RECIST 1.1に基づく最良全奏効、奏効深度(DpR)、奏効期間(DoR)を評価しました。
アテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法群およびソラフェニブ群に無作為に割り付けられた患者のうち、ベースライン時点で測定可能病変を有する患者がDpR解析の対象となりました。
解析対象
| 試験 | IMbrave150 |
| 対象 | 切除不能肝細胞癌 |
| 治療群 | アテゾリズマブ+ベバシズマブ |
| 対照群 | ソラフェニブ |
| 評価基準 | RECIST 1.1 |
| 解析項目 | DpR、DoR、OS、PFS |
| 解析種別 | 探索的解析 |
| DpR解析対象 | ベースライン時点で測定可能病変を有する症例 |
DpRサブグループ分類
DpRのサブグループ解析では、患者をDpRに基づいて以下の5群に分類しました。
| 群 | DpR定義 | 解釈 |
|---|---|---|
| A群 | -100% ≤ DpR ≤ -60% | 深い腫瘍縮小 |
| B群 | -60% < DpR ≤ -30% | 明確な腫瘍縮小 |
| C群 | -30% < DpR < 0% | 軽度の腫瘍縮小 |
| D群 | 0% ≤ DpR < +20% | ほぼ不変〜軽度増大 |
| E群 | +20% ≤ DpR | 腫瘍増大 |
解析上の注意点
背景因子の偏りに関する注意
6か月ランドマーク解析において、A群からE群のベースライン特性は概ね均衡していましたが、E群では男性、BCLC-C、AFP高値、EHS、局所療法歴ありの割合が高い傾向がありました。そのため、本解析は探索的解析として慎重に解釈する必要があります。
DpR別OS:6か月ランドマーク解析
6か月目以降のランドマーク解析では、腫瘍増大を示すE群と比較して、より深い奏効を示した群ほどOS��良好な傾向が示されました。
E群を基準としたOS HR(6か月ランドマーク解析)
HR が低いほどE群(腫瘍増大群)と比較してOSが良好な傾向を示します。
DpR別PFS解析
DpRが深いほどPFS延長傾向
OSと同様の傾向を確認
探索的解析として解釈
DpRは早期有効性指標となる可能性
奏効期間(DoR)とOSの関連
Atezo+Bev群でDoR延長傾向
DoRはOSと関連する可能性
DoRが短くてもOSが長い症例も存在
DoRは臨床的な有効性指標となる可能性
結果の要点
- 1
アテゾリズマブ・ベバシズマブ群は、ソラフェニブ群より多くの症例で深い奏効が示されました。
- 2
DpRが深い患者では、OSおよびPFSが長い傾向が示されました。
- 3
6か月ランドマーク解析でのOS HRはA群0.08、B群0.23、C群0.51、D群0.90でした。
- 4
DoRもOSと関連する可能性が示唆されました。
- 5
DpRやDoRが一次治療評価指標として重要となる可能性があります。
結語
切除不能肝細胞癌において、アテゾリズマブ・ベバシズマブはソラフェニブと比較してDpRおよびDoRで良好な傾向を示しました。
本探索的解析では、DpRおよびDoRがOSやPFSと関連する可能性が示され、今後の治療評価指標として重要な役割を持つ可能性が示唆されました。
コメント
本解析は、一次治療における有効性評価を考える上で、ORRだけでなく奏効の深さと持続性が重要であることを示唆しています。
- 一次治療ではORRだけでなくDpRの深さも重要な評価軸となる可能性があります。
- DpRはOS、PFSと関連する可能性があり、患者単位での予後予測にも活用できる可能性があります。
- DoRもOSと関連する臨床的指標として注目されます。
- 本解析は探索的解析であるため、治療効果評価の補助的視点として捉える必要があります。
Trial Pulse
この記事を読んだ先生にお聞きします
Reference
Kudo M, et al. Depth of response (DpR) and duration of response (DoR) are associated with overall survival (OS) in patients with unresectable hepatocellular carcinoma (HCC): Exploratory analyses of IMbrave150. AASLD 2024.
執筆・公開情報
本記事は、公開された学会演題情報をもとにOncoTribune編集部が医療従事者向けに整理したものです。診療判断の代替を目的とするものではありません。