Clinical Trial

JCOG9205

胃癌

Randomized phase III trial of fluorouracil alone versus fluorouracil plus cisplatin versus uracil and tegafur plus mitomycin in patients with unresectable, advanced gastric cancer: The Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG9205).

Ohtsu A, Shimada Y, Shirao K, et al. J Clin Oncol. 2003 Jan 1;21(1):54-9.

第3相一次治療Published
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値7.1 / 7.3 / 6.0カ月
1年生存割合28% / 29% / 16%
2年生存割合7% / 7% / 4%
PFS中央値1.9 / 3.9 / 2.4カ月
奏効割合11.4% / 34.3% / 8.6%
登録例数280例

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌
治療ライン一次治療
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域国内
日本の参加あり
試験名JCOG9205
レジメン5-FU単剤 vs 5-FU+シスプラチン vs UFT+マイトマイシン
登録期間1992年9月〜1997年3月

背景

本試験の立案当時、切除不能進行・再発胃癌においては、いくつかの無作為化比較試験でBest supportive care(BSC)と比較し、5-FUベースのレジメンで生存期間の延長効果が報告されてはいるものの、標準治療は確立されていなかった。本試験の開始までに日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)で実施されたテガフール+マイトマイシン療法とUFT+マイトマイシン療法(UFTM)の無作為化比較試験では、UFTM療法で高い奏効割合を示したが、生存期間は両群間で相違がなかった。 その後に行われた3つのプラチナ併用療法の臨床試験(ドキソルビシン+シスプラチン、エトポシド+ドキソルビシン+シスプラチン[EAP]、5-FU+シスプラチン[FP])では、EAP療法で高い奏効割合と良好な生存期間を示したものの、10%近い治療関連死亡を来したため、その後の臨床試験には許容できないと判断された。一方、FP療法とドキソルビシン+シスプラチン療法に関しては、両者の治療効果に差はなく、同等な結果であった。 これらの試験の終了後、標準治療確立のために5-FU単剤療法と5-FU+ドキソルビシン+マイトマイシン併用療法を比較する無作為化比較試験を実施したが、3剤併用療法にて生存期間の延長は示せなかった。 これらの臨床試験の結果より、切除不能進行・再発胃癌の標準治療を確立すべく、5-FU単剤療法を対照群として、世界で広く使われているFP療法と日本国内で広く使われているUFTM療法の有効性、安全性を検証する第3相試験が実施された。

シェーマ

JCOG9205 シェーマ
切除不能進行・再発胃癌
(n=280)
非盲検
R
1:1:1
優越性試験
5-FU(n=105)
フルオロウラシル(5-FU) 800mg/m² Day 1–5(120時間持続) 4週毎
5-FU+シスプラチン(FP)(n=105)
シスプラチン(CDDP) 20mg/m² Day 1–5(30分投与)、最大6コース
フルオロウラシル(5-FU) 800mg/m² Day 1–5(120時間持続)、4週毎
CDDP終了後は同スケジュールの5-FU単剤を継続
UFT+マイトマイシン(UFTM)(n=70)
テガフール・ウラシル(UFT)375mg/m²/日(1日2回)
マイトマイシン 5mg/m²(毎週)
主な適格基準
1)75歳未満
2)ECOG PS 0-2
3)経口摂取が可能である
4)主要臓器機能が保たれている
5)測定可能または評価可能病変を有する
6)手術以外の前治療歴なし(術後補助化学療法歴なし)

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間 症例数の計算は過去の第II相試験における6カ月および12カ月の生存データに基づいて計算された。5-FU単独群と比較して、FP群とUFTM群の全生存期間が、対照群を上回るかどうかを検証する優越性試験として設計され、検出力80%、両側α=0.05として、309人(各群103人)の登録が必要と設定された。 本試験の登録期間は3年、最終症例登録後1年の追跡を行うこととして計画された。

試験結果

試験開始後3年で行われた初回の中間解析にて、UFTM群の生存期間が5-FU群と比較して有意に劣っており、UFTM群の登録が中止された。 1992年9月から1997年3月までの間に31施設から280例が登録された(5-FU群105例、FP群105例、UFTM群70例)。 5-FU群の1例、FP群の3例、UFTM群の3例は実際の治療を受けておらず、安全性解析から除外された。 平均観察期間は5-FU群8.9カ月、FP群10.1カ月、UFTM群7.6カ月であった。 患者背景は3群間で概ねバランスがとれていた。253例(90%)がECOG PS 0-1であり、248例(89%)が測定可能病変を有していた。また77例(28%)が登録前に胃切除術を受けていた。

1. 全生存期間(主要評価項目)

中央値95%信頼区間1年生存割合2年生存割合
5-FU7.1カ月5.8–8.228%7%5-FU vs FP:p=0.345-FU vs UFTM:p=0.11
FP7.3カ月6.0–9.729%7%
UFTM6.0カ月4.6–7.416%4%

2. 無増悪生存期間

中央値95%信頼区間
5-FU1.9カ月1.3–2.75-FU vs FP
p<0.001
FP3.9カ月3.1–4.8
UFTM2.4カ月1.3–3.2

3. 奏効割合

奏効割合95%信頼区間
5-FU11.4%6.0–19.15-FU vs FP
p<0.0001
FP34.3%25.3–44.2
UFTM8.6%3.2–17.7

4. 投与状況/後治療

投与サイクル中央値(範囲) 5-FU:2サイクル(1–13) FP:3サイクル(1–11) UFTM(マイトマイシンの投与回数):6回(1–23) 最も高頻度のプロトコール治療中止理由は病勢進行で次に高頻度なのが有害事象であった。 有害事象中止は5-FU群と比較して、FP群・UFTM群でより高頻度であった。 患者拒否による中止は5-FU群(7%)・UFTM群(7%)と比較して、FP群(25%)でより高頻度であった。 5-FU群60例(57%)、FP群55例(52%)、UFTM群34例(49%)で二次化学療法が実施された。 3群合わせて最も頻用された(約40%)二次化学療法レジメンはMTX+5-FU、続いてシスプラチン併用レジメン(FPまたはイリノテカン+シスプラチン)であった。

5. 有害事象

FP群・UFTM群における重篤な血液学的有害事象の頻度は5-FU群に比して有意に高かった。 3群で最も高頻度な非血液学的有害事象は悪心/嘔吐であり、Grade 2-3の悪心/嘔吐は5-FU群(16%)に比して、FP群(51%)、UFTM群(41%)で高頻度であった。 5-FU群・FP群における口内炎の頻度は、UFTM群より高頻度であった。

数値は%
主な有害事象5-FU(n=104)FP(n=102)UFTM(n=67)
全GradeGrade 3以上全GradeGrade 3以上全GradeGrade 3以上
白血球減少22.51.082.426.564.225.4<0.001
好中球数減少23.85.084.753.160.737.7<0.001
貧血71.69.890.225.574.614.90.22
血小板数減少4.02.044.117.655.229.9<0.001
血中ビリルビン増加17.85.926.57.835.811.90.17
クレアチニン増加15.71.035.32.016.400.65
低ナトリウム血症55.42.090.05.953.03.00.59
悪心/嘔吐58.45.086.17.975.810.60.17
下痢20.8033.73.027.300.77
粘膜炎32.71.042.06.016.71.50.63
神経障害:感覚性4.0010.91.07.600.87
発熱20.82.032.02.019.700.34
安全性解析対象は5-FU 104例、FP 102例、UFTM 67例。
安全性アウトカム
安全性結果5-FU(n=105)FP(n=105)UFTM(n=70)
早期死亡10例(9.5%)7例(6.7%)15例(21.4%)
治療関連死亡1例(1.0%)4例(3.8%)1例(1.4%)

結語

UFTM療法とFP療法の試験治療は、5-FU単剤療法と比較し、全生存期間の有意な延長が認められなかった。以上より、進行胃癌における次の臨床試験の標準治療は、引き続き、5-FU単剤療法で継続される予定である。

執筆・監修

執筆:独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 消化器内科 医師 長谷川 裕子 先生 監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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