Clinical Trial

KEYNOTE-042

肺癌

Pembrolizumab versus chemotherapy for previously untreated, PD-L1-expressing, locally advanced or metastatic non-small-cell lung cancer (KEYNOTE-042): a randomised, open-label, controlled, phase 3 trial

Mok TSK, Wu YL, Kudaba I, et al. Lancet. 2019;393:1819-30.

第3相一次治療PublishedUpdated Jun 2026
PubMed

主要結果サマリ

OS TPS≧50%20.0 / 12.2ヶ月
OS HR TPS≧50%0.69
OS TPS≧20%17.7 / 13.0ヶ月
OS HR TPS≧20%0.77
OS TPS≧1%16.7 / 12.1ヶ月
Grade3-5 AE18% / 41%

背景

ペムブロリズマブ(Pemb)は、ヒト化IgG4モノクローナル抗PD-1抗体である。進行非小細胞肺がんに対するPembの有効性と、腫瘍細胞表面のPD-L1発現量の上昇との間には相関関係がある。KEYNOTE-024試験において、腫瘍細胞表面のPD-L1発現スコア(TPS)が50%以上の進行非小細胞肺癌305例に対して、一次治療としてのPembは化学療法よりも有意に無増悪生存期間と全生存期間を延長させた。本試験は、PD-L1 TPSが1%以上の進行非小細胞肺がんを対象に、一次治療としてPembとプラチナ製剤を用いた化学療法を比較・検討するランダム化第3相試験である。

シェーマ

KEYNOTE-042 試験シェーマ
非小細胞肺癌(NSCLC)
n=1274
非盲検
R
1:1
ペムブロリズマブ群(n=637)
ペムブロリズマブ 200mg/body day1、3週毎、最大35サイクル
プラチナ併用化学療法群(n=637)
カルボプラチン AUC 5–6
パクリタキセル 200mg/m² またはペメトレキセド 500mg/m²
ペメトレキセドは維持治療も推奨
3週毎、4–6サイクル
※ペムブロリズマブへのクロスオーバーは認められない。
主な適格基準
前治療歴のない進行期NSCLC
PD-L1 TPS≧1%
EGFR変異/ALK転座を有さない
ECOG-PSが0-1
未治療または不安定な中枢神経への転移がある場合は除外

統計学的事項

主要評価項目:PD-L1 TPS 50%以上、20%以上、1%以上の集団の全生存期間

2014年当初、本試験の主要評価項目はPD-L1 TPSが50%以上の患者群での全生存期間(OS)であったが、KEYNOTE−010試験とCheckMate−026試験の結果に基づき、患者登録終了後の2017年4月に、主要評価項目をPD-L1 TPSが50%以上、20%以上、1%以上のそれぞれの患者群でのOSへ変更した。50%以上、20%以上、1%以上の順に評価を行い、先行する仮説での優越性が確立された場合にのみ次の検定を行なうこととした。Pembと化学療法のOSを比較した場合、非比例ハザードとなる可能性を考慮してピースワイズハザード比(HR)を使用した。

登録期間が約26ヵ月、最小フォローアップ期間は19ヵ月、試験脱落率が0.003/月と仮定し、片側αが0.025としてPembのTPS50%以上におけるHR 0.65を見込むと、約1240例の症例数に対して、398例の死亡イベントが確認されたときに、検出力は99%と計算された。またTPS20%以上において、治療期間0−6ヵ月間のHR 0.80、および治期期間6ヵ月後のHR 0.64を見込むと557例の死亡イベントで検出力は98%と計算された。TPS1%以上において、治療期間0−6ヵ月間のHR 0.92、および治期期間6ヵ月後のHR 0.73を見込むと900例の死亡イベントで検出力は91%と計算された。最初の中間解析は、最後の患者が登録されてから約6カ月後に計画され、2回目の中間解析は、最初の患者の登録から38.3ヶ月後に実施された。本論文は2回目の中間解析の結果に基づくものである。

試験結果

2014年12月9日〜2017年3月6日の期間に1275例をPemb群(638例)と化学療法群(637例)に無作為に割り付けた。Pemb群で1例が治療前に死亡し、ITT集団には1274例が含まれた。

TPSが50%以上の患者は599例(47%)、TPSが20%以上の患者は818例(64%)であった。

患者背景の特徴は、両群間およびTPS集団間で偏りは認められなかった。

有効性解析のデータカットオフは2018年2月26日。フォローアップ期間の中央値は12.8ヶ月であった。

Pemb群で240例(38%)、化学療法群で282例(44%)が1レジメン以上の後治療を受け、そのうち免疫チェックポイント阻害剤はそれぞれ19例(3%)、126例(20%)で投与された。

1. 全生存期間:主要評価項目

PD-L1群中央値95%信頼区間(CI)
PD-L1 TPS≧50%Pemb群20.0ヶ月15.4–24.9HR 0.69 (0.56–0.85) p=0.0003
化学療法群12.2ヶ月10.4–14.2
PD-L1 TPS≧20%Pemb群17.7ヶ月15.3–22.1HR 0.77 (0.64–0.92) p=0.002
化学療法群13.0ヶ月11.6–15.3
PD-L1 TPS≧1%Pemb群16.7ヶ月13.9–19.7HR 0.81 (0.71–0.93) p=0.0018
化学療法群12.1ヶ月11.3–13.3

PD-L1 TPSが50%以上の集団で356例、TPS20%以上の集団で496例、TPS1%以上の集団で809例が死亡した。

24ヵ月生存割合は、Pemb群と化学療法群でそれぞれ、TPS50%以上で45%と30%、TPS20%以上で41%と30%、TPS1%以上で39%と28%であった。

探索的評価項目として、PD-L1 TPSが1-49%の集団では、生存期間中央値はPemb群で13.4ヵ月(95%CI:10.7–18.2)、化学療法群で12.1ヵ月(11.0–14.0)であり、両群のカプランマイヤー曲線はクロスしており、有意差がなかった。

2. 無増悪生存期間

PD-L1群中央値95%信頼区間(CI)
PD-L1 TPS≧50%Pemb群7.1ヶ月5.9–9.0HR 0.81 (0.67–0.99) p=0.0170
化学療法群6.4ヶ月6.1–6.9
PD-L1 TPS≧20%Pemb群6.2ヶ月5.1–7.8HR 0.94 (0.80–1.11)
化学療法群6.6ヶ月6.2–7.3
PD-L1 TPS≧1%Pemb群5.4ヶ月4.3–6.2HR 1.07 (0.94–1.21)
化学療法群6.5ヶ月6.3–7.0

TPS50%以上の集団における無増悪生存期間の有意性は、事前に規定された片側p値の境界0.0146に達さなかった。そのためTPS20%以上と1%以上の集団で優越性を検証しなかった。

3. 奏効割合

PD-L1群奏効割合95%信頼区間(CI)
PD-L1 TPS≧50%Pemb群39%34–45
化学療法群32%27–38
PD-L1 TPS≧20%Pemb群33%29–38
化学療法群29%25–34
PD-L1 TPS≧1%Pemb群27%24–31
化学療法群27%23–30

奏効期間の中央値は、Pemb群では全TPS集団において20.2カ月、化学療法群ではTPS50%以上、20%以上、1%以上でそれぞれ10.8カ月、8.3カ月、8.3カ月であった。

4. 有害事象

有害事象(AE)PEMB群(N=636)化学療法群(N=615)
全GradeGrade 3-5全GradeGrade 3-5
全有害事象399(63%)113(18%)553(90%)252(41%)
治療中止につながったAE57(9%)48(8%)58(9%)43(7%)
死亡につながったAE13(2%)13(2%)14(2%)14(2%)
5%以上に生じたAE
疲労感50(8%)3(<1%)102(17%)8(1%)
皮膚そう痒46(7%)2(<1%)15(2%)0
皮疹46(7%)3(<1%)27(4%)0
ALT上昇45(7%)9(1%)53(9%)5(<1%)
肺炎43(7%)20(3%)00
AST上昇41(6%)4(<1%)42(7%)2(<1%)
食欲減退40(6%)5(<1%)109(18%)9(1%)
貧血35(6%)4(<1%)229(37%)80(13%)
下痢34(5%)5(<1%)46(7%)1(<1%)
嘔気31(5%)0184(30%)7(1%)
関節痛27(4%)046(7%)0
無力症27(4%)3(<1%)60(10%)10(2%)
筋痛20(3%)1(<1%)50(8%)0
嘔吐15(2%)097(16%)2(<1%)
白血球減少症10(2%)035(6%)10(2%)
便秘8(1%)068(11%)0
口内炎7(1%)031(5%)0
好中球減少症5(<1%)1(<1%)88(14%)46(7%)
末梢感覚神経障害3(<1%)041(7%)6(1%)
血小板減少症3(<1%)1(<1%)56(9%)10(2%)
白血球数減少3(<1%)071(12%)32(5%)
好中球数減少2(<1%)086(14%)54(9%)
血小板数減少2(<1%)064(10%)20(3%)
末梢神経障害1(<1%)050(8%)5(<1%)
免疫関連有害事象
免疫関連有害事象177(28%)51(8%)44(7%)9(1%)
甲状腺機能低下症77(12%)1(<1%)9(1%)0
肺臓炎53(8%)22(3%)3(<1%)1(<1%)
甲状腺機能亢進症39(6%)1(<1%)4(<1%)0
重症皮膚反応15(2%)11(2%)2(<1%)1(<1%)
インフュージョンリアクション10(2%)1(<1%)26(4%)6(1%)
甲状腺炎10(2%)000
肝炎9(1%)7(1%)00
腸炎7(1%)4(<1%)2(<1%)1(<1%)
副腎不全4(<1%)2(<1%)1(<1%)0
下垂体炎3(<1%)3(<1%)00
腎炎3(<1%)1(<1%)00
心筋炎1(<1%)1(<1%)00
膵炎1(<1%)000

グレード3以上の治療関連有害事象は、Pemb群636例中113例(18%)、化学療法群615例中252例(41%)に発現し、それぞれ13例(2%)、14例(2%)で死亡に至った。治療中止に至った有害事象はそれぞれ57人(9%)、58人(9%)だった。

免疫関連有害事象はPemb群で177例(28%)、化学療法群で44例(7%)に発現した。Pemb群で5例以上に発生したGrade3以上の免疫関連有害事象は、肺炎、重症皮膚反応、肝炎であった。

結語

ALK融合またはEGFR変異のない、PD-L1 TPS1%以上の局所進行非小細胞肺がん患者において、Pemb単剤治療は、リスク・ベネフィットを考慮すると一次治療の選択肢の一つになり得る。

執筆・監修

執筆:千葉大学医学部附属病院 呼吸器内科 池田 英樹 先生 監修:神奈川県立循環器呼吸器病センター 呼吸器内科 医長 池田 慧 先生

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