Clinical Trial

KEYNOTE-189

肺癌

Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non-Small-Cell Lung Cancer

Gandhi L, et al. N Engl J Med. 2018;378:2078-92.

第3相一次治療PublishedUpdated Jun 2026
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値NR / 11.3ヶ月
OS HR0.49
PFS中央値8.8 / 4.9ヶ月
PFS HR0.52
客観的奏効割合47.6% / 18.9%
Grade3以上TRAE67.2% / 65.8%

背景

ドライバー遺伝子変異のないPD-L1腫瘍発現割合(TPS)≧50%の非小細胞肺癌の一次治療ではペムブロリズマブ(Pemb)単剤が標準治療となっている。未治療非扁平上皮非小細胞肺癌(non-Sq NSCLC)患者を対象としてPembとプラチナ併用化学療法の併用の有用性を検討した第2相試験(KEYNOTE021G試験)において、併用療法は奏効割合と無増悪生存期間を延長させる可能性が示されたが、第3相試験による検証が必要である。本試験は、未治療進行再発non-Sq NSCLCに対してプラチナ併用化学療法とPembの併用療法の有効性を検証する第3相試験である。

シェーマ

KEYNOTE-189 試験シェーマ
非扁平上皮非小細胞肺癌
n=616
二重盲検
R
2:1
シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ(n=410)
シスプラチン 75mg/m² day1 もしくはカルボプラチン AUC5 day1
ペメトレキセド 500mg/m² day1
ペムブロリズマブ 200mg day1
3週間毎 最大4サイクル
→ペメトレキセド+ペムブロリズマブ
※ペムブロリズマブ、ペメトレキセドは最大35サイクルまで維持治療可
シスプラチン/カルボプラチン+ペメトレキセド+プラセボ(n=206)
シスプラチン 75mg/m² day1 もしくはカルボプラチン AUC5 day1
ペメトレキセド 500mg/m² day1
プラセボ day1
3週間毎 最大4サイクル
→ペメトレキセド+プラセボ
※ペメトレキセドは最大35サイクルまで維持治療可
※病勢進行後のペムブロリズマブ単剤治療へのクロスオーバー可
主な適格基準
前治療歴のない進行期 non-Sq NSCLC
18歳以上
EGFR遺伝子変異なし/ALK遺伝子転座が陰性
ECOG PS 0-1

統計学的事項

主要評価項目: 本試験の主要評価項目は全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)であった。副次評価項目は奏効割合、奏効期間、安全性、探索的評価項目は、PD-L1発現割合に応じた有効性やアウトカムとされた。有効性は無作為化したすべての患者(intention-to-treatment population)、安全性は割り付けられた治験薬を1回以上投与されたすべての患者(as-treated population)で解析が行われた。OSとPFSはKaplan-Meier法を、群間比較には層別ログランク検定が用いられた。ハザード比と95%信頼区間には層別Cox比例ハザードモデルが使用された。

PFSのイベントに関しては、αを片側0.0095、Pemb併用群のプラセボ併用群に対するハザード比0.70と設定すると、468例のイベント観察により検出力は90%が確保されると算出された。また、OSのイベントに関しては、αを片側0.0155、ハザード比0.70と設定すると、416例のイベントの観察により検出力は90%が確保されると算出した。以上から、570例の患者集積が必要と計算された。

2017年11月8日をカットオフとした1回目の中間解析では、進行または死亡のイベントは410例、死亡のイベントは235例観察された時点で実施された。多重性の調整のため、PFSのαは片側0.00559、OSのαは0.00128を有意水準として解析が実施された。この中間解析においてOS及びPFSの有効性のカットオフを上回ったことから早期有効中止とされ、さらにはアウトカムを継続して評価するための追加のフォローアップが行われている。本論文のデータは1回目の中間解析結果に基づいたものである。

試験結果

2016年2月26日~2017年3月6日に118施設の616症例が登録され、Pemb併用群に410例、プラセボ併用群に206例が割り付けられた。

Pemb併用群で男性の割合が多かったが(62.0% vs 52.9%)、その他の臨床背景では両群に大きな違いは見られなかった。

有効性解析のデータカットオフ時(2017年11月8日)に、Pemb併用群のうち405例中137例(33.8%)、プラセボ併用群のうち202例中36例(17.8%)が割り当てられた一次治療が継続されていた。

プラセボ併用群のうち206例中67例(32.5%)でPemb単剤へクロスオーバーされていた。

追跡期間中央値は10.5ヵ月(範囲: 0.2-20.4ヵ月)であった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

登録から12ヶ月時点での生存割合は、Pemb併用群で69.2%(64.1-73.8%)、プラセボ併用群で49.4%(42.1-56.2%)であった。

12ヶ月時点の生存割合におけるPD-L1発現割合のサブグループ解析では、PD-L1 TPS 50%≧ではPemb群73.0% vs プラセボ併用群48.1%(ハザード比0.55(0.26-0.68))、1-49%の群で71.5% vs 50.9%(ハザード比0.55(0.34-0.90))、1%未満で61.7% vs 52.2%(ハザード比0.59(0.38-0.92))であった。

群中央値95%信頼区間
Pemb併用群NRNRHR 0.49 (0.38–0.64) P<0.001
プラセボ併用群11.3ヶ月8.7–15.1ヶ月

NR: not reached

2. 無増悪生存期間(主要評価項目)

登録から12ヶ月時点での無増悪生存割合は、Pemb併用群で34.1%(28.8-39.5)、プラセボ併用群で17.3%(12.0-23.5)であった。

PD-L1 TPS 1%未満を対象にしたサブグループ解析では、無増悪生存期間の中央値は、Pemb併用群で6.1ヶ月 vs プラセボ併用群5.1ヶ月(ハザード比0.75(0.53-1.05))であり、ハザード比の95%信頼区間が1をまたいでいた。

群中央値95%信頼区間
Pemb併用群8.8ヶ月7.6–9.2HR 0.52 (0.43–0.64) P<0.001
プラセボ併用群4.9ヶ月4.7–5.5

3. 客観的奏効割合

群中央値95%信頼区間
Pemb併用群47.6%42.6–52.5P<0.001
プラセボ併用群18.9%13.8–25.0

4. 奏効期間

群奏効期間中央値範囲
Pemb併用群11.2ヶ月1.1+*–18.0+
プラセボ併用群7.8ヶ月2.1+–16.4+

*「+」はデータカットオフの時点で病勢増悪がみられないことを示す。

5. 有害事象

治療関連有害事象Pemb併用群(N=405)プラセボ併用群(N=202)
Any GradeGrade 3,4,5Any GradeGrade 3,4,5
全有害事象404(99.8%)272(67.2%)200(99.0%)133(65.8%)
全ての治療中止につながった有害事象56(13.8%)48(11.9%)16(7.9%)14(6.9%)
何らかの治療中止につながった有害事象112(27.7%)81(20.0%)30(14.9%)22(10.9%)
Pembまたはプラセボの中止につながった有害事象82(20.2%)64(15.8%)21(10.4%)17(8.4%)
ペメトレキセドの中止につながった有害事象93(23.0%)69(17.0%)23(11.4%)17(8.4%)
カルボプラチンまたはシスプラチンの中止につながった有害事象31(7.7%)27(6.7%)12(5.9%)10(5.0%)
死亡につながった有害事象27(6.7%)27(6.7%)12(5.9%)12(5.9%)
15%以上に生じた有害事象
悪心225(55.6%)14(3.5%)105(52.0%)7(3.5%)
貧血187(46.2%)66(16.3%)94(46.5%)31(15.3%)
疲労165(40.7%)23(5.7%)77(38.1%)5(2.5%)
便秘141(34.8%)4(1.0%)64(31.7%)1(0.5%)
下痢125(30.9%)21(5.2%)43(21.3%)6(3.0%)
食欲不振114(28.1%)6(1.5%)61(30.2%)1(0.5%)
好中球減少症110(27.2%)64(15.8%)49(24.3%)24(11.9%)
嘔吐98(24.2%)15(3.7%)47(23.3%)6(3.0%)
咳嗽87(21.5%)057(28.2%)0
呼吸困難86(21.2%)15(3.7%)52(25.7%)11(5.4%)
衰弱83(20.5%)25(6.2%)49(24.3%)7(3.5%)
皮疹82(20.2%)7(1.7%)23(11.4%)3(1.5%)
発熱79(19.5%)1(0.2%)30(14.9%)0
末梢性浮腫78(19.3%)1(0.2%)26(12.9%)0
血小板減少症73(18.0%)32(7.9%)29(14.4%)14(6.9%)
流涙の増加69(17.0%)022(10.9%)0
免疫関連有害事象
全有害事象92(22.7%)36(8.9%)24(11.9%)9(4.5%)
甲状腺機能低下症27(6.7%)2(0.5%)5(2.5%)0
肺臓炎18(4.4%)11(2.7%)5(2.5%)4(2.0%)
甲状腺機能亢進症16(4.0%)06(3.0%)0
インヒュージョンリアクション10(2.5%)1(0.2%)2(1.0%)0
大腸炎9(2.2%)3(0.7%)00
重症皮膚反応8(2.0%)8(2.0%)5(2.5%)4(2.0%)
腎炎7(1.7%)6(1.5%)00
肝炎5(1.2%)4(1.0%)00
下垂体炎3(0.7%)000
膵炎3(0.7%)2(0.5%)00
副腎不全1(0.2%)1(0.2%)1(0.5%)1(0.5%)
筋炎1(0.2%)000
甲状腺炎1(0.2%)000
Ⅰ型糖尿病1(0.2%)1(0.2%)00

結語

ALK遺伝子転座またはEGFR遺伝子変異のない進行非扁平上皮非小細胞肺癌患者の一次治療において、Pembとプラチナ+ペメトレキセドの併用療法は、プラチナ+ペメトレキセド療法単独と比較して有意に無増悪生存期間、及び全生存期間を延長した。

執筆・監修

執筆:横浜市立大学附属病院 呼吸器病学教室 久保 創介 先生 監修:静岡県立静岡がんセンター 呼吸器内科 医長 和久田 一茂 先生

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