Clinical Trial

OAK

肺癌

Atezolizumab versus docetaxel in patients with previously treated non-small-cell lung cancer (OAK): a phase 3, open-label, multicentre randomised controlled trial

Rittmeyer A, et al. Lancet 2017;389:255-65.

第3相二次治療/三次治療PublishedUpdated Jun 2026
PubMed

主要結果サマリ

OS中央値13.8 / 9.6ヶ月
OS HR0.73
PFS中央値2.8 / 4.0ヶ月
PFS HR0.95
奏効割合14% / 13%
Grade3-4 TRAE15% / 43%

背景

非小細胞肺癌において、PD-1阻害薬であるニボルマブやペムブロリズマブはドセタキセル(DOC)と比較して全生存期間を延長することが示されてきた。アテゾリズマブ(Atezo)は抗PD-L1抗ヒト化モノクローナル抗体であり、PD-L1だけでなくB7-1(CD80)も阻害することから、PD-1阻害薬とは異なる効果が得られる可能性があった。第2相試験であるPOPLAR試験でAtezoがDOCに比して全生存期間を延長したことを受けて、今回第3相試験であるOAK試験が行われた。

シェーマ

OAK 試験シェーマ
既治療 進行非小細胞肺癌
n=1225
1:1 非盲検
R
アテゾリズマブ(n=613)
1200mg day 1、3週毎
ドセタキセル(n=612)
75mg/m² day 1、3週毎
主な適格基準
18歳以上
プラチナ併用化学療法による治療歴を有する
ECOG PS 0-1
※EGFR遺伝子変異ないしALK融合遺伝子を有する場合は、分子標的薬による治療歴を有する
層別化因子
PD-L1発現:IC0 vs IC1 vs IC2 vs IC3
前治療レジメン数:1 vs 2
組織型:非扁平上皮 vs 扁平上皮

統計学的事項

主要評価項目: 本試験の主要評価項目はintention-to-treat(ITT)集団及びPD-L1 TC1/2/3またはIC1/2/3の集団(腫瘍細胞または腫瘍浸潤免疫細胞におけるPD-L1発現≧1%)における全生存期間(OS)とした。

ITT集団における、DOCに対するAtezoのOSのハザード比(HR)を0.73(OS中央値:DOC群10ヶ月、Atezo群13.7ヶ月)、両側α3%、検出力95.3%とし、TC1/2/3またはIC1/2/3集団におけるHRを0.63、両側α2%、検出力98.6%としたところ、850例の登録が必要となると考えられた(全体のαを両側5%に調整)。

当初、予定症例数は850例(一次解析対象集団)であったが、PD-L1強発現(TC3またはIC3)集団における比較を行うために、プロトコール改訂により1300例に変更された。

注:TC:腫瘍細胞(tumor cell)におけるPD-L1発現スコア、IC:腫瘍浸潤免疫細胞(tumor-infiltrating immune cell)におけるPD-L1発現スコア(PD-L1免疫染色はSP142クローンを用いて行われた) TC0:PD-L1発現<1%; TC1:PD-L1発現1-5%; TC2:PD-L1発現5-50%; TC3:PD-L1発現≧50% IC0:PD-L1発現<1%; IC1:PD-L1発現1-5%; IC2:PD-L1発現5-10%; IC3:PD-L1発現≧10%

試験結果

2014年3月~2015年4月の期間に194施設から1225例が登録された。このうち一次解析対象集団は850例で、Atezo群に425例、DOC群に425例が割り付けられた。一次解析対象集団のフォローアップ期間中央値は全群で21か月であった。

患者背景は各群で差を認めなかった。

DOC群では、試験治療終了後に17%で後治療として免疫チェックポイント阻害剤が投与された。

1. 全生存期間(主要評価項目)

主要評価項目であるOS中央値は、ITT集団、TC1/2/3またはIC1/2/3集団のいずれにおいてもAtezo群で統計学的に有意に延長した。

PD-L1発現がない(TC0かつIC0)集団においてもAtezo群でOSを延長した。

ITT集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)13.8ヶ月11.8–15.7HR 0.73 (95%CI 0.62–0.87) p=0.0003
DOC(n=425)9.6ヶ月8.6–11.2
TC1/2/3 または IC1/2/3 集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)15.7ヶ月12.6–18.0HR 0.74 (95%CI 0.58–0.93) p=0.0102
DOC(n=425)10.3ヶ月8.8–12.0
TC0かつIC0集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)12.6ヶ月9.6–15.2HR 0.75 (95%CI 0.59–0.96) p=0.0215
DOC(n=425)8.9ヶ月7.7–11.5

2. 無増悪生存期間

PFSは両群で有意差を認めなかった(ITT集団、TC1/2/3またはIC1/2/3集団)。

TC3またはIC3集団に限り無増悪生存期間の延長を認めた(HR0.63; 95%CI 0.43-0.91; p=0.0123)。

ITT集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)2.8ヶ月2.6–3.0HR 0.95 (95%CI 0.82–1.10) P=0.4928
DOC(n=425)4.0ヶ月3.3–4.2
TC1/2/3 または IC1/2/3 集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)2.8ヶ月2.6–4.0HR 0.91 (95%CI 0.74–1.12) P=0.3806
DOC(n=425)4.1ヶ月2.9–4.3
TC0かつIC0集団
群中央値95%信頼区間
Atezo(n=425)2.6ヶ月1.7–2.9HR 1.00 (95%CI 0.80–1.25) P=0.9924
DOC(n=425)4.0ヶ月3.1–4.2

3. 奏効割合

奏効割合は両群で同程度であった(ITT集団、TC1/2/3またはIC1/2/3集団)。

ITT集団
群奏効割合
Atezo(n=425)14%
DOC(n=425)13%
TC1/2/3 または IC1/2/3 集団
群奏効割合
Atezo(n=425)18%
DOC(n=425)16%

4. 有害事象(安全性解析対象集団)

有害事象ATEZO(N=609)DOC(N=578)
Any gradeGrade 3-4Any gradeGrade 3-4
全治療関連有害事象390(64%)90(15%)496(86%)247(43%)
倦怠感163(26.8%)17(2.8%)205(35.5%)23(4.0%)
食思不振143(23.5%)2(0.3%)136(23.5%)9(1.6%)
咳嗽141(23.2%)2(0.3%)105(18.2%)1(0.2%)
悪心108(17.7%)4(0.7%)131(22.7%)2(0.3%)
下痢94(15.4%)4(0.7%)141(24.4%)11(1.9%)
疲労116(19.0%)8(1.3%)114(19.7%)13(2.2%)
息切れ118(19.4%)15(2.5%)112(19.4%)14(2.4%)
貧血70(11.5%)14(2.3%)136(23.5%)33(5.7%)
脱毛3(0.5%)0202(34.9%)1(0.2%)
便秘107(17.6%)2(0.3%)82(14.2%)1(0.2%)
発熱108(17.7%)1(0.2%)76(13.1%)1(0.2%)
浮腫54(8.9%)1(0.2%)82(14.2%)3(0.5%)
嘔吐74(12.2%)2(0.3%)62(10.7%)4(0.7%)
関節痛73(12.0%)3(0.5%)58(10.0%)1(0.2%)
筋痛39(6.4%)1(0.2%)91(15.7%)4(0.7%)
背部痛67(11.0%)7(1.1%)42(7.3%)4(0.7%)
好中球減少症10(1.6%)3(0.5%)90(15.6%)75(13.0%)
末梢神経障害24(3.9%)065(11.2%)7(1.2%)
筋骨格系の疼痛64(10.5%)4(0.7%)25(4.3%)1(0.2%)
口内炎19(3.1%)1(0.2%)63(10.9%)11(1.9%)
味覚障害18(3.0%)058(10.0%)0
発熱性好中球減少症1(0.2%)1(0.2%)62(10.7%)62(10.7%)

免疫関連有害事象としては肺臓炎を6例(1%)、肝炎を2例(<1%)、大腸炎を2例(<1%)に認めた。有害事象による中止はAtezo群で8%、DOC群で19%であった。Atezo群では治療関連死亡はなかった。

5. PFSのサブグループ解析

OSのサブグループ解析では、PD-L1発現レベル、年齢(65歳以上、65歳未満)、組織型(非扁平上皮癌、扁平上皮癌)、脳転移の有無に関わらずAtezo群でOSが良好であった。

ただし、EGFR変異症例ではDOC群でOSが良好な傾向を示した(HR1.24[95%CI 0.71-2.18])。

結語

既治療進行非小細胞肺癌において、AtezoはPD-L1の発現量に関わらずDOCより全生存期間を統計学的に有意に延長した。毒性は許容されるものであった。

執筆・監修

執筆:慶應義塾大学病院 呼吸器内科 助教 堀内 康平 先生 監修:順天堂大学大学院 医学研究科 呼吸器内科学 助教 朝尾 哲彦 先生

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