Clinical Trial
RAINBOW
胃癌
Ramucirumab plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel in patients with previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RAINBOW): a double-blind, randomised phase 3 trial.
Wilke H, et al. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35. [PubMed]
主要結果サマリ
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | 胃癌/食道胃接合部癌 |
| 治療ライン | 2次治療 |
| 研究の相 | 第3相 |
| 主要評価項目 | 全生存期間 |
| 実施地域 | 国際 |
| 日本の参加 | あり |
| 試験名 | RAINBOW[ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01170663] |
| レジメン | パクリタキセル+ラムシルマブ vs パクリタキセル+プラセボ |
| 登録期間 | 2010年12月〜2012年9月 |
背景
進行胃癌/食道胃接合部癌では、一次治療後に増悪しても全身状態が保たれている症例では二次治療の候補となる。二次治療として、タキサン系薬剤やイリノテカン単剤による延命効果が示されているが、治療効果は限定的であり、新たな治療選択肢が求められていた。
ラムシルマブはVEGFR-2に対する完全ヒト型IgG1モノクローナル抗体であり、VEGFリガンドのVEGFR-2への結合を阻害することで腫瘍血管新生を抑制する。既治療進行胃癌/食道胃接合部癌を対象としたREGARD試験では、ラムシルマブ単剤がプラセボと比較して全生存期間を延長することが示されている。
RAINBOW試験は、フッ化ピリミジン系薬剤および白金系薬剤を含む一次化学療法後に増悪した進行胃癌/食道胃接合部癌に対し、標準的な二次治療であるパクリタキセルへラムシルマブを追加する意義を検証するために実施された国際共同二重盲検第3相試験である。
シェーマ
RAINBOW シェーマ
併用1次化学療法に不応となった
切除不能胃癌/食道胃接合部癌
(n=665)
統計学的事項
主要評価項目:全生存期間
本試験は、パクリタキセル+プラセボ群を対照として、パクリタキセル+ラムシルマブ群の全生存期間延長を検証する優越性試験として実施された。
QoL/PS解析では、患者報告アウトカムとしてEORTC QLQ-C30およびEQ-5Dを用い、ベースラインおよび6週ごとに評価された。EORTC QLQ-C30では、各スケールにおける10ポイント以上の悪化を臨床的に意味のある悪化と定義し、悪化までの期間(Time to Deterioration:TtD)が解析された。ECOG PSについては、PSが2以上へ悪化するまでの期間を主な解析対象とした。
試験結果
本試験では665例が無作為化され、パクリタキセル+ラムシルマブ群に330例、パクリタキセル+プラセボ群に335例が割り付けられた。
QoL解析では、665例中650例(98%)がベースラインのQLQ-C30およびEQ-5Dデータを提供し、560例(84%)ではベースライン後の少なくとも1時点のデータも得られた。ベースライン時点のQoLスコアは両群で概ね同様であった。
1. 全生存期間(主要評価項目)
| 中央値 | 95%信頼区間 | ||
|---|---|---|---|
| パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330) | 9.6カ月 | 8.5–10.8 | HR 0.807 95%信頼区間 0.678–0.962 p=0.017 |
| パクリタキセル+プラセボ群(n=335) | 7.4カ月 | 6.3–8.4 |
HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。
2. 無増悪生存期間
| 中央値 | 95%信頼区間 | ||
|---|---|---|---|
| パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330) | 4.4カ月 | 4.2–5.3 | HR 0.635 95%信頼区間 0.536–0.752 p<0.0001 |
| パクリタキセル+プラセボ群(n=335) | 2.9カ月 | 2.8–3.0 |
HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。
3. 奏効割合
| 奏効割合 | 95%信頼区間 | ||
|---|---|---|---|
| パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330) | 28% | 23–33 | p=0.0001 |
| パクリタキセル+プラセボ群(n=335) | 16% | 13–20 |
4. 病勢制御割合
| 病勢制御割合 | ||
|---|---|---|
| パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330) | 80% | p=0.0001 |
| パクリタキセル+プラセボ群(n=335) | 64% |
5. 主な有害事象
原著で安全性解析対象となったパクリタキセル+ラムシルマブ群327例、パクリタキセル+プラセボ群329例における主な有害事象を示す。
| 有害事象 | ラムシルマブ群 全Grade | ラムシルマブ群 Grade 3以上 | プラセボ群 全Grade | プラセボ群 Grade 3以上 |
|---|---|---|---|---|
| 白血球減少 | 111例(35%) | 57例(17%) | 69例(21%) | 22例(7%) |
| 好中球数減少 | 178例(54%) | 133例(41%) | 102例(31%) | 62例(19%) |
| 末梢性感覚ニューロパチー | 150例(46%) | 27例(8%) | 119例(36%) | 15例(5%) |
| 高血圧 | 78例(24%) | 46例(14%) | 16例(5%) | 8例(2%) |
| 蛋白尿 | 54例(17%) | 4例(1%) | 20例(6%) | 0例(0%) |
| 鼻出血 | 100例(31%) | 0例(0%) | 23例(7%) | 0例(0%) |
原著の主な有害事象の抜粋。安全性解析対象はパクリタキセル+ラムシルマブ群327例、パクリタキセル+プラセボ群329例。
6. QoL/Performance Status解析
EORTC QLQ-C30の15スケール中14スケールで、パクリタキセル+ラムシルマブ群のHRは1未満であり、パクリタキセル+プラセボ群と比較してQoL悪化までの期間が同等または延長する傾向を示した。唯一、下痢についてはパクリタキセル+ラムシルマブ群に不利な方向であった。
EQ-5DのindexスコアおよびVASスコアは、治療中は両群で概ね安定しており、治療終了時には両群とも悪化した。
ECOG PSが2以上へ悪化するまでの期間は、パクリタキセル+ラムシルマブ群で遅延する傾向を示した(HR 0.798, p=0.0941)。別定義によるPS悪化解析でも同様の傾向が認められ、PSが1段階以上悪化するまでの期間(HR 0.802, p=0.0444)、2段階以上悪化するまでの期間(HR 0.608, p=0.0063)では有意差を認めた。
| 項目 | 結果 | 解釈 |
|---|---|---|
| ベースライン | 650例(98%) | QLQ-C30/EQ-5Dデータを提供 |
| 評価継続 | 560例(84%) | ベースライン後1時点以上のデータを提供 |
| QLQ-C30 | 15尺度中14尺度でHR<1 | ラムシルマブ群で同等または悪化遅延傾向 |
| 下痢 | HR 1.333(95%信頼区間 1.007–1.764) | 唯一ラムシルマブ群に不利な方向 |
| EQ-5D | 両群で治療中は概ね安定 | 治療終了時には両群とも悪化 |
ECOG PS悪化解析
| 悪化定義 | HR | p値 |
|---|---|---|
| PS 2以上への悪化 | HR 0.798 | p=0.0941 |
| PS 3以上への悪化 | HR 0.656 | p=0.0508 |
| PS 1段階以上の悪化 | HR 0.802 | p=0.0444 |
| PS 2段階以上の悪化 | HR 0.608 | p=0.0063 |
HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。
結語
パクリタキセル+ラムシルマブ併用療法はパクリタキセル+プラセボ療法と比較して全生存期間を有意に延長し、切除不能胃癌/食道胃接合部癌の2次治療における新たな標準治療となった。
Reference
Wilke H, et al. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35 Al-Batran SE, et al. Ann Oncol. 2016 Apr;27(4):673-679.
執筆・監修
執筆:香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 助教 大北 仁裕先生
Trial Pulse
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