Clinical Trial

RAINBOW

胃癌

Ramucirumab plus paclitaxel versus placebo plus paclitaxel in patients with previously treated advanced gastric or gastro-oesophageal junction adenocarcinoma (RAINBOW): a double-blind, randomised phase 3 trial.

Wilke H, et al. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35. [PubMed]

第3相2次治療Published

主要結果サマリ

比較方向RAM+PTX vs Placebo+PTX
OS中央値9.6 vs 7.4カ月
OS HR0.807
PFS中央値4.4 vs 2.9カ月
PFS HR0.635
奏効割合28% vs 16%

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌/食道胃接合部癌
治療ライン2次治療
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域国際
日本の参加あり
試験名RAINBOW[ClinicalTrials.gov Identifier:NCT01170663]
レジメンパクリタキセル+ラムシルマブ vs パクリタキセル+プラセボ
登録期間2010年12月〜2012年9月

背景

進行胃癌/食道胃接合部癌では、一次治療後に増悪しても全身状態が保たれている症例では二次治療の候補となる。二次治療として、タキサン系薬剤やイリノテカン単剤による延命効果が示されているが、治療効果は限定的であり、新たな治療選択肢が求められていた。

ラムシルマブはVEGFR-2に対する完全ヒト型IgG1モノクローナル抗体であり、VEGFリガンドのVEGFR-2への結合を阻害することで腫瘍血管新生を抑制する。既治療進行胃癌/食道胃接合部癌を対象としたREGARD試験では、ラムシルマブ単剤がプラセボと比較して全生存期間を延長することが示されている。

RAINBOW試験は、フッ化ピリミジン系薬剤および白金系薬剤を含む一次化学療法後に増悪した進行胃癌/食道胃接合部癌に対し、標準的な二次治療であるパクリタキセルへラムシルマブを追加する意義を検証するために実施された国際共同二重盲検第3相試験である。

シェーマ

RAINBOW シェーマ

フッ化ピリミジン系+白金系薬剤併用1次化学療法に不応となった切除不能胃癌/食道胃接合部癌(n=665)
R
二重盲検 / 1:1 / 優越性試験
パクリタキセル+ラムシルマブ(n=330)
パクリタキセル 80mg/m²(Day 1, 8, 15; 28日毎)
ラムシルマブ 8mg/kg(Day 1, 15; 28日毎)
パクリタキセル+プラセボ(n=335)
パクリタキセル 80mg/m²(Day 1, 8, 15; 28日毎)
プラセボ Day 1, 15; 28日毎
主な適格基準
1) PS:0–1
2) 評価可能病変あり
主な除外基準
1) 6カ月以内の消化管穿孔や動脈血栓症
2) 3カ月以内の消化管出血や静脈血栓症
3) コントロール不良な高血圧

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

本試験は、パクリタキセル+プラセボ群を対照として、パクリタキセル+ラムシルマブ群の全生存期間延長を検証する優越性試験として実施された。

QoL/PS解析では、患者報告アウトカムとしてEORTC QLQ-C30およびEQ-5Dを用い、ベースラインおよび6週ごとに評価された。EORTC QLQ-C30では、各スケールにおける10ポイント以上の悪化を臨床的に意味のある悪化と定義し、悪化までの期間(Time to Deterioration:TtD)が解析された。ECOG PSについては、PSが2以上へ悪化するまでの期間を主な解析対象とした。

試験結果

本試験では665例が無作為化され、パクリタキセル+ラムシルマブ群に330例、パクリタキセル+プラセボ群に335例が割り付けられた。

QoL解析では、665例中650例(98%)がベースラインのQLQ-C30およびEQ-5Dデータを提供し、560例(84%)ではベースライン後の少なくとも1時点のデータも得られた。ベースライン時点のQoLスコアは両群で概ね同様であった。

1. 全生存期間(主要評価項目)

中央値95%信頼区間
パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330)9.6カ月8.5–10.8HR 0.807
95%信頼区間 0.678–0.962
p=0.017
パクリタキセル+プラセボ群(n=335)7.4カ月6.3–8.4

HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。

2. 無増悪生存期間

中央値95%信頼区間
パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330)4.4カ月4.2–5.3HR 0.635
95%信頼区間 0.536–0.752
p<0.0001
パクリタキセル+プラセボ群(n=335)2.9カ月2.8–3.0

HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。

3. 奏効割合

奏効割合95%信頼区間
パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330)28%23–33p=0.0001
パクリタキセル+プラセボ群(n=335)16%13–20

4. 病勢制御割合

病勢制御割合
パクリタキセル+ラムシルマブ群(n=330)80%p=0.0001
パクリタキセル+プラセボ群(n=335)64%

5. 主な有害事象

原著で安全性解析対象となったパクリタキセル+ラムシルマブ群327例、パクリタキセル+プラセボ群329例における主な有害事象を示す。

有害事象ラムシルマブ群
全Grade
ラムシルマブ群
Grade 3以上
プラセボ群
全Grade
プラセボ群
Grade 3以上
白血球減少111例(35%)57例(17%)69例(21%)22例(7%)
好中球数減少178例(54%)133例(41%)102例(31%)62例(19%)
末梢性感覚ニューロパチー150例(46%)27例(8%)119例(36%)15例(5%)
高血圧78例(24%)46例(14%)16例(5%)8例(2%)
蛋白尿54例(17%)4例(1%)20例(6%)0例(0%)
鼻出血100例(31%)0例(0%)23例(7%)0例(0%)

原著の主な有害事象の抜粋。安全性解析対象はパクリタキセル+ラムシルマブ群327例、パクリタキセル+プラセボ群329例。

6. QoL/Performance Status解析

EORTC QLQ-C30の15スケール中14スケールで、パクリタキセル+ラムシルマブ群のHRは1未満であり、パクリタキセル+プラセボ群と比較してQoL悪化までの期間が同等または延長する傾向を示した。唯一、下痢についてはパクリタキセル+ラムシルマブ群に不利な方向であった。

EQ-5DのindexスコアおよびVASスコアは、治療中は両群で概ね安定しており、治療終了時には両群とも悪化した。

ECOG PSが2以上へ悪化するまでの期間は、パクリタキセル+ラムシルマブ群で遅延する傾向を示した(HR 0.798, p=0.0941)。別定義によるPS悪化解析でも同様の傾向が認められ、PSが1段階以上悪化するまでの期間(HR 0.802, p=0.0444)、2段階以上悪化するまでの期間(HR 0.608, p=0.0063)では有意差を認めた。

出典:QoL/PS二次解析 PubMed/原著論文

項目結果解釈
ベースライン650例(98%)QLQ-C30/EQ-5Dデータを提供
評価継続560例(84%)ベースライン後1時点以上のデータを提供
QLQ-C3015尺度中14尺度でHR<1ラムシルマブ群で同等または悪化遅延傾向
下痢HR 1.333(95%信頼区間 1.007–1.764)唯一ラムシルマブ群に不利な方向
EQ-5D両群で治療中は概ね安定治療終了時には両群とも悪化

ECOG PS悪化解析

悪化定義HRp値
PS 2以上への悪化HR 0.798p=0.0941
PS 3以上への悪化HR 0.656p=0.0508
PS 1段階以上の悪化HR 0.802p=0.0444
PS 2段階以上の悪化HR 0.608p=0.0063

HRはパクリタキセル+ラムシルマブ群/パクリタキセル+プラセボ群。

結語

パクリタキセル+ラムシルマブ併用療法はパクリタキセル+プラセボ療法と比較して全生存期間を有意に延長し、切除不能胃癌/食道胃接合部癌の2次治療における新たな標準治療となった。

Reference

Wilke H, et al. Lancet Oncol. 2014 Oct;15(11):1224-35 Al-Batran SE, et al. Ann Oncol. 2016 Apr;27(4):673-679.

執筆・監修

執筆:香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 助教 大北 仁裕先生

Trial Pulse

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