Clinical Trial

REGARD

胃癌

Ramucirumab Monotherapy for Previously Treated Advanced Gastric or Gastro-Oesophageal Junction Adenocarcinoma (REGARD): An International, Randomised, Multicentre, Placebo-Controlled, Phase 3 Trial.

Fuchs CS, Tomasek J, Yong CJ, et al. Lancet. 2014 Jan;383(9911), 31-39. [PubMed]

第3相二次治療Published
PubMedJournalClinicalTrials.gov

主要結果サマリ

比較方向RAM vs Placebo
OS中央値5.2 vs 3.8カ月
OS HR0.776
PFS中央値2.1 vs 1.3カ月
PFS HR0.483
DCR49% vs 23%

基本情報

項目内容
対象疾患胃癌/食道胃接合部癌
治療ライン二次治療
研究の相第3相
主要評価項目全生存期間
実施地域国際
日本の参加なし
試験名REGARD
レジメンラムシルマブ vs プラセボ
登録期間2009年10月〜2012年1月

背景

進行胃腺癌に対する一次化学療法として標準的な殺細胞性抗癌剤が使用されるが、生存期間中央値は8–10カ月である。米国や欧州では、この一次化学療法後に使用する二次化学療法が未だ承認されていないのが現状である。

血管内皮増殖因子(VEGF)とVEGFレセプター2(VEGFR-2)を介したシグナル伝達と血管新生は胃癌の発症に重要な役割を有し、基礎的検討ではVEGFR-2の阻害は腫瘍の増殖や血管新生を抑えることが報告されている。また、胃癌症例においてVEGFの血中/腫瘍内濃度が腫瘍の増殖と生存期間の短縮に関与することも示されている。

ラムシルマブはVEGFR-2の細胞外ドメインに結合するヒト型IgG1モノクローナル抗体であり、VEGFリガンドの結合を遮断し、受容体の活性化を阻害する。

本試験は一次化学療法後に病勢進行した進行胃癌/食道胃接合部癌患者に対し、ラムシルマブ単剤療法の有効性、安全性を検証することを目的にしたランダム化第3相比較試験である。

シェーマ

REGARD シェーマ

切除不能胃癌/食道胃接合部癌(n=355)
R
盲検化/2:1/優越性試験
ラムシルマブ(n=238)
ラムシルマブ 8 mg/kg Day 1 2週ごと
プラセボ(n=117)
プラセボ Day 1 2週ごと
主な適格基準
1) 年齢:24–87歳
2) 切除不能進行・再発胃癌/食道胃接合部腺癌
3) ECOG PS:0–1
4) プラチナ併用またはフッ化ピリミジン系併用の一次化学療法または術後補助化学療法を受けた症例
5) 一次化学療法終了後4カ月以内または術後補助化学療法終了後6カ月以内に不応となった症例
6) RECIST version 1.0で測定可能または評価可能病変を有する

統計学的事項

主要評価項目:全生存期間

本試験は当初、プラセボ群を対照としてラムシルマブ群の全生存期間のハザード比が0.71となることを検証する優越性試験として設計され、検出力90%、両側α=0.05として、615例の登録が必要と設定された。しかし登録が進まず、全生存期間のハザード比が0.69となることを検証する優越性試験として再設計され、検出力80%、両側α=0.05として、348例の登録が必要と最終決定された。

試験結果

2009年10月から2012年1月の間に355例が登録され、238例がラムシルマブ群に、117例がプラセボ群に無作為割り付けされた。各群2例で実際の投与が行われず、安全性解析はラムシルマブ群236例、プラセボ群115例となった。

患者背景は概ねバランスがとれていたが、腹膜播種例はラムシルマブ群でわずかに低頻度だった(ラムシルマブ群64例(27%) vs プラセボ群45例(38%))。

1. 全生存期間(主要評価項目)

全生存期間はラムシルマブ群で有意に延長した。

イベント数
(%)
中央値
(四分位範囲)
6カ月生存割合
(95%信頼区間)
12カ月生存割合
(95%信頼区間)
ラムシルマブ179例(75%)5.2カ月
(2.3–9.9)
41.8%
(35.4–48.1)
17.6%
(11.8–24.3)
HR 0.776
95%信頼区間
0.603–0.998
p=0.047
プラセボ99例(85%)3.8カ月
(1.7–7.1)
31.6%
(23.2–40.2)
11.8%
(6.0–19.7)

1-1. 全生存期間に関するサブ解析

ECOG PS、原発部位、腹膜播種の有無で調整した解析でもラムシルマブ群の生存期間延長が示され、多変量解析のHRは0.767(95%信頼区間 0.598–0.984、p=0.037)であった。性別によるサブグループ解析のHRは、男性0.676(95%信頼区間 0.499–0.916)、女性1.431(95%信頼区間 0.852–2.405)であり、治療との交互作用は統計学的有意差に至らなかった(交互作用p=0.063)。

2. 無増悪生存期間

無増悪生存期間はラムシルマブ群で有意に延長した。

中央値(四分位範囲)12週無増悪生存割合(95%信頼区間)
ラムシルマブ2.1カ月(1.3–4.2)40.1%(33.6–46.4)HR 0.483
95%信頼区間
0.376–0.620
p<0.0001
プラセボ1.3カ月(1.1–2.1)15.8%(9.7–23.3)

3. 奏効割合/病勢制御割合

4. 病勢制御期間

中央値四分位範囲
ラムシルマブ4.2カ月2.8–8.1p=0.036
プラセボ2.9カ月2.7–4.3

5. 投与状況

データカットオフ時点で、ラムシルマブ群222例(93%)、プラセボ群114例(97%)が治療を中止していた。

治療期間中央値はラムシルマブ群8週(四分位範囲 6–16)、プラセボ群6週(四分位範囲 4–8)であった。

相対用量強度は両群とも高く、ラムシルマブ群99.6%、プラセボ群100%であった。

試験薬中止後の抗癌治療は、ラムシルマブ群よりプラセボ群で多く使用された。

6. 主な有害事象

原著Table 3から抜粋した主な有害事象。NCI-CTCAE version 4.02に基づき、安全性解析対象はラムシルマブ群236例、プラセボ群115例。試験薬との関連ありと判定された死亡は、ラムシルマブ群5例(2%:心筋梗塞、胃出血、腸管穿孔2例、肺炎)、プラセボ群2例(2%:腸管穿孔、肺塞栓症)であった。

有害事象ラムシルマブ
全Grade
ラムシルマブ
Grade 3以上
プラセボ
全Grade
プラセボ
Grade 3以上
疲労84例(36%)15例(6%)46例(40%)11例(10%)
腹痛68例(29%)14例(6%)32例(28%)3例(3%)
食欲不振57例(24%)8例(3%)26例(23%)4例(3%)
嘔吐47例(20%)6例(3%)29例(25%)5例(4%)
便秘36例(15%)1例(<1%)26例(23%)3例(3%)
貧血35例(15%)15例(6%)17例(15%)9例(8%)
嚥下障害25例(11%)5例(2%)12例(10%)5例(4%)
呼吸困難22例(9%)4例(2%)15例(13%)7例(6%)
高血圧38例(16%)18例(8%)9例(8%)3例(3%)
出血30例(13%)8例(3%)13例(11%)3例(3%)
動脈血栓塞栓症4例(2%)3例(1%)0例0例
静脈血栓塞栓症9例(4%)3例(1%)8例(7%)5例(4%)
蛋白尿7例(3%)1例(<1%)3例(3%)0例
消化管穿孔2例(<1%)2例(<1%)1例(<1%)1例(<1%)
瘻孔形成1例(<1%)1例(<1%)1例(<1%)1例(<1%)
注入に伴う反応1例(<1%)0例2例(2%)0例
心不全1例(<1%)0例0例0例

7. QOL

QOL評価はEORTC QLQ-C30を用いて、ベースライン、治療開始後6週、12週、18週に実施された。

ベースラインのQOLデータはラムシルマブ群230例(97%)、プラセボ群110例(94%)で得られた。6週時点のデータはラムシルマブ群114例(48%)、プラセボ群29例(25%)で得られた。

6週時点で、global quality of lifeが安定または改善した症例割合はラムシルマブ群で高い傾向を示したが、有意差は認めなかった(p=0.23)。

ラムシルマブ(n=238)プラセボ(n=117)
データなし128例(54%)91例(78%)
悪化29例(12%)11例(9%)
安定58例(24%)10例(9%)
改善23例(10%)5例(4%)

8. ECOG PSが2以上に悪化するまでの期間

中央値四分位範囲
ラムシルマブ5.1カ月1.9–16.8HR 0.586
95%信頼区間
0.414–0.829
p=0.002
プラセボ2.4カ月1.3–未到達

結語

ラムシルマブは一次化学療法後に病勢進行した胃癌/食道胃接合部癌症例に対して、無増悪生存期間および全生存期間を有意に延長し、忍容性も良好であった。

執筆・監修

執筆:香川大学医学部附属病院 腫瘍内科 助教 大北 仁裕 先生 監修:北海道大学病院 消化器内科 助教 結城 敏志 先生

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