Clinical Trial
KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B
胃癌
Multicenter phase II study of SOX plus trastuzumab for patients with HER2+ metastatic or recurrent gastric cancer: KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B
Yuki S, Shinozaki K, Kashiwada T, et al. Cancer Chemother Pharmacol. 2020;85(1):217–223.
主要結果サマリ
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象疾患 | 胃癌 |
| 治療ライン | 一次治療 |
| 研究の相 | 第2相試験 |
| 主要評価項目 | 全奏効割合 |
| 実施地域 | 日本 |
| 日本の参加 | あり |
| 試験名 | KSCC/HGCSG/CCOG/PerSeUS 1501B |
| レジメン | トラスツズマブ+S-1+オキサリプラチン |
| 登録期間 | 2015年6月〜2016年5月 |
背景
ToGA試験の結果、トラスツズマブ(T-mab)+FP(フルオロウラシル+シスプラチン)またはXP(カペシタビン+シスプラチン)併用療法はHER2陽性胃癌に対する標準的な一次治療として認識されている。オキサリプラチン(OX)は、胃癌を対象とした複数の臨床試験によってシスプラチン(CDDP)に対する非劣性が示されており、CDDPよりも安全性において優れている。 経口フッ化ピリミジン製剤であるS-1とOXの併用療法(SOX)は、胃癌を対象にSOX(OX 130mg/m²)とカペシタビン+OX(CAPOX)を比較する無作為化比較第2相試験1)において、CAPOXと同等の安全性と有効性を示したことより東アジア諸国の標準治療の一つとなった。本試験は、HER2陽性胃癌に対するT-mab+SOX(OX 130mg/m²)療法(T-SOX130)の有効性と安全性を検討する第2相試験として実施された。
シェーマ
統計学的事項
主要評価項目:全奏効割合 G-SOX試験におけるSOX療法(OX 100 mg/m²)の奏効割合50%を基に閾値奏効割合を50%、トラスツズマブの上乗せによる20ポイントの改善を見込み期待奏効割合を70%と設定した。片側α=0.05、検出力80%の条件で、二項分布の正規近似により必要症例数は37例と算出された。不適格例・脱落例を10%見込み、予定登録数を40例とした。
試験結果
2015年6月から2016年5月に日本国内27施設から42例が登録された。登録後に不適格と判定された3例を除外し、少なくとも1コースの試験治療を受けた39例を有効性・安全性解析対象とした。 患者背景:年齢中央値66.0歳(範囲44–79歳)、男性31例(79.5%)/女性8例(20.5%)、胃切除歴あり5例(12.8%)/なし34例(87.2%)。 HER2発現状況:IHC 3+ 34例(87.2%)、IHC 2+かつFISH陽性5例(12.8%)。 データカットオフは2018年5月31日、観察期間中央値は22.4カ月だった。
1. 全奏効割合(主要評価項目)
| 症例数 | 割合 | |
|---|---|---|
| CR | 9例 | 23.1% |
| PR | 23例 | 59.0% |
| SD | 2例 | 5.1% |
| PD | 5例 | 12.8% |
| NE | 0例 | 0% |
| 全奏効割合 | 32例 | 82.1%(90%信頼区間 70.0–90.0) |
| 病態制御割合 | 34例 | 87.2%(95%信頼区間 73.3–94.4) |
2. 全生存期間
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| イベント数 | 20/39例(51.3%) |
| 中央値 | 27.6カ月 |
| 95%信頼区間 | 15.6カ月–未到達 |
| 1年生存割合 | 74.4% |
| 2年生存割合 | 57.9% |
3. 無増悪生存期間
| イベント数 | 中央値 | 95%信頼区間 |
|---|---|---|
| 32/39例(82.1%) | 7.0カ月 | 5.5–14.1カ月 |
4. 治療成功期間
35例(89.7%)が二次化学療法を受けた。
| 中央値 | 95%信頼区間 |
|---|---|
| 5.7カ月 | 4.6–7.0カ月 |
5. 有害事象
有効性・安全性解析対象39例における有害事象を示す。治療関連死亡は認められなかった。
| 全Grade | Grade 3–4 | |
|---|---|---|
| 白血球数減少 | 18例(46.2%) | 1例(2.6%) |
| 好中球数減少 | 29例(74.4%) | 4例(10.3%) |
| 貧血 | 38例(97.4%) | 5例(12.8%) |
| 血小板数減少 | 37例(94.9%) | 7例(17.9%) |
| 低アルブミン血症 | 39例(100.0%) | 2例(5.1%) |
| AST増加 | 36例(92.3%) | 2例(5.1%) |
| ALT増加 | 20例(51.3%) | 2例(5.1%) |
| 低ナトリウム血症 | 23例(59.0%) | 4例(10.3%) |
| 低カリウム血症 | 16例(41.0%) | 1例(2.6%) |
| 悪心 | 23例(59.0%) | 3例(7.7%) |
| 嘔吐 | 9例(23.1%) | 1例(2.6%) |
| 食欲不振 | 32例(82.1%) | 7例(17.9%) |
| 疲労 | 24例(61.5%) | 2例(5.1%) |
| 倦怠感 | 28例(71.8%) | — |
| 下痢 | 20例(51.3%) | 3例(7.7%) |
| 口腔粘膜炎 | 19例(48.7%) | 0例(0.0%) |
| 末梢性感覚ニューロパチー | 32例(82.1%) | 2例(5.1%) |
| 手掌・足底発赤知覚不全症候群 | 16例(41.0%) | 0例(0.0%) |
| 流涙 | 8例(20.5%) | 1例(2.6%) |
| 注入に伴う反応 | 2例(5.1%) | 0例(0.0%) |
| 駆出率減少 | 2例(5.1%) | 2例(5.1%) |
| 血栓塞栓性イベント | 1例(2.6%) | 1例(2.6%) |
| 肺臓炎 | 1例(2.6%) | 1例(2.6%) |
6. 投与状況
39例に計428コースが投与され、治療コース数中央値は8コース(範囲1–33コース)だった。 相対用量強度:S-1 87.1%、オキサリプラチン80.1%、トラスツズマブ73.8%。 38例の治療中止理由:病勢進行22例、有害事象6例、根治切除への移行9例、その他1例。データカットオフ時点で1例は試験治療を継続していた。
結語
HER2陽性の切除不能進行・再発胃癌に対するT-SOX130療法は良好な忍容性と有望な有効性を示した。ただし、本試験は単群第2相試験であり、標準治療との直接比較ではない。
関連論文
- Kim GM et al. A randomized phase II trial of S-1-oxaliplatin versus capecitabine–oxaliplatin in advanced gastric cancer. Eur J Cancer. 2012;48(4):518–526.
執筆・監修
執筆:九州がんセンター 消化管外科 中島 雄一郎 先生 監修:近畿大学医学部 内科学教室 腫瘍内科部門 医学部講師 川上 尚人 先生
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